不器用な人でも癒される? 「クラフトセラピー」
「クラフトセラピー」のシリーズは、冬用毛糸、春夏の毛糸、生地のほか、せっけんやレースなどの香りのインテリアがある。
昔、母の誕生日にルームシューズを贈るため、編み物に一度だけ挑戦したことがある。複雑怪奇な編み物記号は、まるで宇宙からの信号のように見え、編み物上手な姉に「センスない」と呆れられつつ教えてもらい、なんとか作った片足のサイズは、30センチもあった。

あれえ? 本の通りにやったのに……。以来、私にとって編み物は「封印された暗い過去」。

なのに、うっかり可愛いという理由だけで、買ってしまったのがクロバーの「クラフトセラピー」というグッズだ。
説明書きによると、「欧米では編み物や刺繍など、クラフトハンドメイドが心を癒し、ストレス解消に役立つことが認知されています」とある。「手づくりが苦手! と思っている人にも、人気のかわいい生活雑貨が簡単に楽しく作れるレシピ付き」と、頼もしいことも書いてあった。

こうした編み物などが癒しにつながる理由は、担当者によると「単純な反復動作をすると、脳内麻薬が出てきてリラックスできるため」とのこと。
頭をひねらず、ゆったりやるのがポイントだそうだ。自分なんかもイライラしたとき、夜中にチクチクとボタンつけをして、スッキリした経験があるが、それと同じこと? 難しくないことを無心にやるリラックス効果は、確かにあるかもしれない。

私の買ったタイプは、鉢入れとミニバッグ、ポーチの3つのレシピから1つ選べるというものだが、何を作るかは後で考えるとして、「基本の作り目」からスタート。
だが、手順3までの「輪ができます」部分が、どういうわけかできない。何度やっても輪にならず、キレイにすり抜けて、マジックのようです。
脇で見ていたダンナに、試しにやってもらうと、一発でキレイに輪ができていた。
あれ? キツネにつままれた気分になる。

なんとか編み目を続けていくが、一進一退、あるいは二進三退ぐらいの感じで、ちいとも進まない。結局、30分ほどたった時点で、できた編み目は10目ほど! 私、アホなのか。
ひどい方向音痴だから、こういう図が読めないのだろうか。因果関係はよくわからないが、それでもさすがに30分もすると、意味がわかってきた。
私の場合、普通の人の「スタート地点」に立つまで時間がかかってしまったが、要領さえつかめば、確かに「単純作業」は気持ちが良いもの。チクチクと無心でやるうち、晴れ晴れした気分にもなってくる。

普通の人なら2時間ぐらいで完成するレシピからあるので、うっとうしい雨の日など、「クラフトセラピー」してみませんか?
(田幸和歌子)
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