公園・路上パフォーマンスに流行あるのか(東京編)
童謡「トレロカモミロ」にハニカミながら、腕を振り上げる人もチラホラ。あくまでも、はにかみはにかみ。
公園や路上で見かけるパフォーマンスの傾向には、関東、関西で差があるのだろうか。
今回、関西に住むBitライター・のなかなおみさんとともに、その東西差についてパフォーマンス調査を行うことにした。


東京で路上パフォーマンスがよく行われているところといえば、まず新宿伊勢丹前。民族音楽などの国際色あふれるパフォーマンスや、ジャグリング、全身白塗り舞踊など「前衛的」パフォーマンスも多く見られるのが特徴的だ。
代々木公園を中心とした渋谷では、学生など、若い人を中心とした音楽やダンスのパフォーマンスが多く、いつも賑わっている。

でも、東京で最も特徴的と思えるのが、なんといっても井の頭公園である。
日曜のある日。
中央線のゆる〜い空気が漂うこの場所には、Bit記事でも以前登場した漫画読みの東方力丸さんや、同じくテレビ朝日の「銭形金太郎」に出演した「ウクレレ侍」のおじさんなど、「あ! 見たことある!」な有名人(?)がチラホラ。

ゆずっぽいフォークデュオには女の子が立ち止まり、ブルースを歌うタンクトップ+短パンのおじさんには、おもいきりタメ口の若者グループが「おっちゃん、アレやって」「あかんあかん」などと、友達トークを繰り広げていた。

大勢が取り囲んでいた、この日のいちばん人気は、「少年山賊団」という童謡バンド。バンジョー以外、見慣れぬ楽器だと思ったら、なんと使っているのは、バケツと洗濯板! 
ジャンジャカジャンジャカジャンジャカジャンジャン、ジャン! オーレイ♪ のおなじみの節「トレロカモミロ」の演奏には、腕を振り上げる女性やおじさんの無邪気な姿が見られた。だが、賑やかだったのは、ここまで。

観客が一極集中しているせいか、控えめに「島唄」を演奏する二人組のほかは、木の根元でコンガの練習をする二人組、サックスを持ったまま柵に腰を下ろし、途方にくれる若者。川べりで一人、誰に聴かせるでもなく、黙々とタテ笛を吹くおじさんもいた。

みんなテンション、異常に低い。
パフォーマーたちのすぐ横には、フリマ系の人たちも同じように並んでいるが、やはり体温低そうな人が多く、服装もベージュやカーキなど、公園に溶け込んだ色の人が圧倒的多数。みんな膝を抱えて静かに座り、静かに微笑み、近寄っても誰も話しかけてこない。商売っけ、つくづくないのだ。

たまに、体温が高そうな人といえば、「わかる人だけわかってくれればいいんです!」と、特定の子をつかまえてアクセサリーのアピールをしていた程度。

フリマ組も含め、割合的には、18組と一番多かったのが、手作りTシャツやアクセサリーなど。他は、歌・演奏が8組(一人でタテ笛を吹くおじさん含む)、イラスト5組、似顔絵3組、マトリョーシカ2組、ポートレート2組、手彫り印鑑、猫グッズ、犬の服、PC用品、石ころ売り(?)が1組で、なかには自分のかばんの中身をシートにぶちまけただけのような人もいた。

みんな引き上げ時がつかみにくいらしく、隣の人と「今日、どう?」「全然ダメ」などと、これまたテンションの低い会話をしている。
というわけで、どこまでもゆる〜い空気の井の頭公園からお送りしました。西はどうですか?(実況風)
のなかさん、どうぞ!
(田幸和歌子)

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