ぬれせんべいにソースバージョンもあった!?
はじめて食べるのに、ソースの香りが懐かしさを感じさせてくれます。
銚子電鉄の「ぬれ煎餅」が、経営難を乗り切るために購入をよびかけていることが話題となったり、ここ数年は、様々な「ぬれせん」がブームといわれる。

そんな「ぬれせん」はしょうゆ味が基本だけど、ソース味のしっとり煎餅が発売されていることをご存知だろうか。

新潟の岩塚製菓の「やわらかソースせんべい」だ。

「ぬれおかき」でも有名なメーカーだが、やっぱりそのノウハウを使って作ったもの? なぜソース味に? 
「ここ数年、『ぬれせん』ブームですが、基本的には地域の名産品などが多く、全国展開できるところがありませんでした。そこで、当社が『ぬれおかき』を2005年に発売し、全国展開したんです」と、営業管理課の小黒さんは言う。
やわらかくてモチッとしている食感が、なんといっても「ぬれせん」「ぬれおかき」の魅力。そこで、ぬれおかきのほかに、「何か食感の新しい米菓を作っていこう」ということで、今年7月に発売されたものだとか。
「別の背景として、米菓を食べるメインの層が、50〜60代の団塊の世代ということがありました。
さらに、近年の昭和レトロブームもあって、年配の人にとっては懐かしい、若い人にとっては新しい味は何かと考えたところ、“ソース”にいきついたんです」

ちなみに、20〜50代を対象にした好きな香辛料・調味料調査では、「ソースが好き」と答えた世代は50代がいちばん多かったのだとか。
「昔はソースをどぼどぼ……というのが憧れだったこともあったようですし(笑)」
ただし、このソースせんべい、食べてみると、ぬれせんと同様、一瞬「湿気ている?」と思うほど、やわらかで不思議な食感だが、作り方は全然違うのだそうだ。
「ぬれおかきは、中にしみこませるのに対し、ソースせんべいは、外側にソースをたっぷりからませる方法です。外側の水分で中をやわらかくしてるんですよ」
信州などの名物・ソースカツみたい!

見た目はゴツゴツで歌舞伎揚げなどにも似ているが、「このゴツゴツが、ソースをからみやすくする工夫なんですよ」とのこと。
この煎餅、予想に反して、発売当初は子ども連れの主婦などによく売れたというが、リピーターが多いのは、やっぱり50〜60代という。
「世の中には、『おせんべいをわざと湿気らせて食べている』なんて人もいるようで、『こういうのを待っていた』なんて言われました(笑)。
また、やわらかいので、70〜80代など、歯の弱い方にも『やわらかくて食べやすい』というお手紙をいただいてます」

正確にはぬれせんべいとは工程がまったく別のモノだけど、ぬれせん好きなら、間違いなく好きなはず。

新食感+懐かしいソース味のやわらかせんべいを、お試しあれ。
(田幸和歌子)