いまどき「人生ゲーム」に、人生を考えてしまう
とってもシビアな「人生ゲーム」。でも、人生って、そんなもの。
「人生ゲーム」。もしくはそれに類する盤ゲームは、誰もが一度は、やったことのあるゲームだろう。


株式会社タカラ(現タカラトミー)の元祖人生ゲームシリーズでも、近年は人生のビターな一面を加えた「ブラック&ビター」や、一連のすったもんだがある前に出た、ホリエモン版「M&A」など、そのバージョンが多様化しているが、最近、子どもや姪、甥といまどきの人生ゲームをやるにつけ、「人生のシビアさ」を痛感してしまう。

たとえば、2005年に発売された「ドラえもんとのび太の人生ゲーム」の場合、ゲームの鍵となるのは、「未来の嫁が誰になるか」ということ。嫁候補が、しずちゃんかジャイ子かによって、未来がバラ色になるか真っ暗闇になるかが決まり、マイホームをもてるかどうかも変わってくるのだ。

とはいえ、こちらは様々なひみつ道具が出たり、人生最大のピンチが「ジャイアンリサイタル」だったりと、楽しい仕掛けも盛りだくさん。それに比べて、たまごっちの人生ゲームのようなすごろくゲーム、昨年発売された「しあわせイッパイ!ゆめイッパイ!これがたまごっちの生きるみっちゲーム」(株式会社バンダイ)は、「ゆめイッパイ」とうたうわりに、非常にシビアである。
たまごっちのキャラクターを使って、おみくじを振り、出た目の数だけ進むものだが、まず訪れる難関は「就職できるかどうか」ということ。
ここで就職できない場合、「アルバイト」として社会人スタートになるが、実際のところ、給料日のコマがそう多くないので、「アルバイト組」も「就職組」も、人生トータルでみると、もらえる金額はそう変わりないというのが、また「いまどき」な感じである。
さらに、「再就職チャンス」というのもあって、これは否応なく、「就職できるまで何度も」トライしなければいけない。過酷です……。

また、人生の途中で「仕事に生きるコース」「恋に生きるコース」の選択があり、これはおみくじの目で決まるため自分で選べないのだが、圧倒的に得するのは「恋に生きるコース」のほう。
「仕事に生きる」のほうは、真面目に仕事していても「はりきりすぎてから空回り。ちょっと疲れちゃった……」と、給料の額が決まる「ハッスルポイント」がダウンしてしまったり、見合い(強制!)でお金をとられたりする。

対して、「恋に生きるコース」は、相手を指名できるうえ、「今日は夕方からデート。はやく仕事を終わらせなくちゃね!」と浮き足立っていても、給料の額が決まるハッスルポイントが、アップするのだ。そんなのアリ!?

で、最終的にゴールでの勝ち組、負け組を分ける最大のポイントは、「子どもの数」だったりする。たとえば、アルバイトでもらえる給料は1回100ごっちポイントだが、子どもを持っていると、ゴール地点でもらえるポイントは1人につき「500ごっちポイント」! つまり、子どもを産めば産むだけ儲かるしくみなのだ。

このゲーム、先日、自分の娘と、高校時代の友人2人とともにやったのだが、勝ち負けだけを単純に考えて「よっしゃ〜恋に生きるコースだ〜」と喜ぶ娘の傍らで、大人たちはそれぞれに「人生って厳しい……」とかみしめ、うなだれてしまう結果になりました。
(田幸和歌子)
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