インフルエンザ、いつまで「“ソ連”型」?
旧“ソ連”代表の超人。コーホー。
この冬も、猛威をふるう、インフルエンザ。
たとえ予防接種をしたとしても感染したりすることもあって、なかなか油断できない、ウイルス性の感染症である。


インフルエンザのウイルスには、その表面のタンパク質の抗原型から、A、B、Cの3つの型に分けられているのだが、とくにA型については、「A香港型」だとか、「Aソ連型」だとか、国の名前のついた名称で呼ばれることが一般的である。しかし。
「ソビエト連邦という国は、91年に崩壊して、ロシアをはじめとした各国に分割されたのに、インフルエンザはなんで“ソ連”のままなのか」
インフルエンザの脅威を報じるニュースを見たりするたび、そんな疑問が出てくる。
そのウイルスが発見された場所の名称で呼ぶことになっているとしても、「ロシア型」や「ウズベキスタン型」とか、その土地に対応した新国名で呼ばなくていいのか。もしくは「旧ソ連型」とするとか。

厚生労働省にたずねてみたところ、名称の根拠はやはり、
「ウイルスが見つかった場所、土地の名前をつけることになっています」
とのこと。
ただし、
「それ自体が固有名詞のようになっているので、たとえば国名が変わったとしても、変更はされないんです」
ということ。もっと平たくいえば、
「見つかった場所の『記念』のような意味合いが強いともいえますね」
ということだそうだ。
たとえば差別的な意味合いを感じる場合など、中華そばの名称や特殊浴場の呼称のように変わることもあるが、この場合は、そのまま踏襲されていくようである。

じゃあ、今後また、新たに同じ場所でインフルエンザウイルスの新種が発見された場合、「ロシア型」とかの名称がつけられて、「ソ連」と「ロシア」が混在したりする可能性も、
「あると思います」
若干ややこしいが、そういうことらしい。

かつて、ソ連という国が、そこにあった。
そのこと自体、いまの中学生以下だと生まれる前の話だったりするわけなのだが、ウイルスの名前にその名残は残り続けることになっているようだ。


ともかく、ソ連でも香港でも、インフルエンザに感染しちゃうと大変なので、よく手を洗ってうがいをして、くれぐれも、気をつけてください。
(太田サトル)