お相撲さんが土俵で輪になってやる「アレ」って?
大きく手を広げる姿がりりしい、「塵手水(ちりちょうず)」の様子を描いてみた。が、貧弱な印象を拭えないのはどうしてか!?
一月場所の大相撲、やっぱり両横綱の揃いぶみは壮観であった。
見せて……いや、魅せてくれましたね〜。

優勝こそ白鵬の手に渡ったものの、朝青龍も存分に横綱の貫禄を見せつけてくれたので、相撲ファンとしてはとっても満足。
相撲も再びおもしろくなってきそうな予感がします♪

ところで、いつもテレビで相撲を観ていると気になるのが、幕内力士が東方と西方に分かれて、一斉に土俵に上がって行うヘンな(失礼!)動き。十両の取組が終わったあとに、みんなで化粧まわしをチョイとつまんだり、両手を挙げてみたり……。
場所中は毎日行われているみたいだけど、アレって一体、何なんすかねえ。

というわけで、さっそく日本相撲協会の広報に問い合わせてみた。
「あの動きは『土俵入り』といい、横綱による『横綱土俵入り』とは区別されています。
『土俵入り』の動きは、塵手水(ちりちょうず)と、四股を簡略化したものと言われていますが、実際のところは不明です」
! 頼みの綱である相撲協会でもわからないとは正直意外。
どうやら、これらの動作は厳格な規定ではなく、あくまで伝統として残っているものなので、その意味合いが曖昧になっているようだ。

なお、「塵手水」とは、脚を開いてしゃがむ蹲踞(そんきょ)の姿勢で、両手を“ハ”の字に開き、柏手を打って手のひらを上に向ける動作。
「四股」は両足を左右に開き、膝を曲げて腰を下ろし、手を膝に添え、足を交互に高く上げ、下におろす一連の動作のことである。

同協会の説明によると、場内アナウンスを受けて、東方、または西方の全力士が土俵に上がったら、全員が一斉に内側を向き、「柏手を打ち」「右手を挙げ」「化粧まわしを持ち上げ」「両手を挙げる」のが、幕内の正しい土俵入り。
初日・3日目……などの奇数日は東方の、2日目・4日目……などの偶数日は西方の力士から土俵入りを行うそうだ。


ちなみに、天皇陛下が行幸になる「天覧相撲」と、皇太子殿下が行啓になる「台覧相撲」のときには、『御前掛かり』という特別な土俵入りが行われる。東方、または西方の全幕内力士が土俵に上がって、正面を向き、柏手を打ってから右2回、左1回の四股を踏むというものだが、もちろんこれはヒジョーにレア。

常日頃から「なんじゃありゃ?」と思っていた動きの正しい手順がわかったところで、3月9日から始まる三月場所をご覧になる際は、テレビの前で土俵入りの真似などされてみてはいかがでしょう。
(新井亨)

日本相撲協会公式サイト