キャビアだけじゃない! チョウザメの魅力
(上)たまにしかお目にかからないキャビア。<br>(中)一番奥がチョウザメの刺身。<br>(下)蝶々の形をしたウロコ
先日のコネタで「スカンジナビアでは魚卵なら何でもキャビア」という話をしたが、今回は世界三大珍味といわれる一般的なキャビアの話。

キャビアとはご存じのとおり、チョウザメの卵を塩漬けにしたもので、なかでもロシア産が有名だ。
でも実は日本でも作っているって知ってました?

場所は岩手県の釜石市。三陸の海の幸に恵まれたこの街では、チョウザメの養殖を行っているのだ。キャビアの製造はもちろん、市内にはチョウザメ料理を出してくれる店もあるという。恥ずかしながら、チョウザメといえばキャビアしか思い浮かばず、チョウザメを食べるという発想がなかった私。しかし、チョウザメは古くはヨーロッパや中国でも珍重されていた高級食材。中国料理でおなじみのフカヒレも元々はチョウザメのヒレを使っていたのだとか。


そこで早速釜石へ行き、その味を楽しんでみることに。地元の居酒屋で出てきたのは、チョウザメの刺身。ほどよく身が引き締まったチョウザメは、淡白でクセがなく、それでいて適度な旨味があり実に美味。ほかにも揚げたり、鍋にいれたり、煮物にしたりと様々な味わい方ができるという。また健康食材としても知られ、「食べると寿命が延びる」なんて言う人もいるとか。いやはや、チョウザメの醍醐味って卵(キャビア)だけじゃなかったんですね……。


ちなみにチョウザメという名前からサメの仲間だと思っている人もいるかもしれないが、チョウザメはサメではない。その姿がサメに似ていること、そして表面の硬いウロコが蝶々のような形をしていることからそう呼ばれているのだ。実際にウロコを見せてもらうと(写真)、確か蝶々に見えなくもない。

キャビアのみならず、様々な楽しみ方ができるチョウザメ。グルメならずとも一度は食す価値ありだ。また釜石ではチョウザメのほかに「幻の魚」とも謳われる「マツカワ」の養殖もおこなっており、こちらも名物になっている。
チョウザメと合わせてぜひ一度ご賞味あれ。
(古屋江美子)