
タイコスメは、韓国、中国に続くトレンドとして国内で支持が広がりつつあり、シーチャンはその人気を先導している。「動物虐待をしない」方針を持つクルエルティフリーでもあり、高品質・プチプラだけでなく、環境や社会にやさしいブランドを目指している。
動物保護団体のヒューマンソサエティによれば、2023年10月現在、化粧品の動物実験を禁止している国は44ヵ国にのぼる。世界的に禁止の傾向が高まるなか、日本では未だ規制されていない。
シーチャンおよびシーチャンの日本総代理店を務める日本機能性コスメ研究所への取材を通じ、世界的に愛されるコスメブランド・シーチャンの信念や取り組みを聞いた。
フェイスパウダーは、世界で累計600万個を販売
1948年に小さな漢方薬局からスタートしたシーチャンは、当時からタイのハーブをベースにしたパウダーを処方していた。タイは20万種以上の薬草やハーブなど化粧品原料の産地であり、高品質ながら低価格のコスメを開発しやすい環境がある。創業当初から人気は高かったというが、2007年に2代目経営者のRawit Hanutsaha氏が家業を継いだ際は、中高年の顧客がメインだった。
アジア最大級のドラックストアチェーンワトソンズ台湾が主催する「WATSONS HWB AWARDS(健康美容大賞)2022」ではBEST COSMETICS BRAND OF THE YEARを受賞。トランスルーセントパウダーは、2015年から2022年頭までの累計で600万個以上を販売するロングセラーとなっている。


動物実験をせず、イノベーションを促進する
そんなシーチャンが創業当初から守り続ける方針が、「動物虐待をしない」クルエルティフリーであること。「美しさは動物福祉を犠牲にしてはいけない」という信念を核として、安全性と高品質に加え、社会や環境を思いやるブランドを貫いている。

「革新的な研究への多額な投資により、最先端の技術や国際規格に準拠した高度な試験方法を探索している。当社の研究チームは、多様な肌のタイプや色調を分析し、製品が幅広い顧客のニーズに沿うよう努めている。イノベーション、持続可能性、包括性を統合することで、従来の美の基準を超えた総合的なブランド体験を生み出している」(シーチャンの広報担当者)
クルエルティフリーの姿勢を表す目的で、水彩画家タケダヒロキ氏とのコラボデザインアイテムを2023年9月に発売した。動物と草花を融合させた水彩画で知られ、Instagramでは13万人以上のフォロワー、受注制作は2年待ちと勢いのあるアーティストだ。


シーチャンでは動物実験の廃止推進に向けて、この限定アイテムの利益の10%をNPO法人 動物実験の廃止を求める会(JAVA)に寄付すると発表している。
取材・文:小林香織
写真提供:日本機能性コスメ研究所
【取材協力】
日本機能性コスメ研究所
シーチャン