女性管理職・女性役員の割合が過去最高も、「役員が全員男性」企業は依然50%超 男性育休取得率の伸びも目立つ
データバンクは、全国2万6,196社を対象に、女性登用に対する企業の見解についてアンケート調査を実施し、結果を公表した。

なお、同社は女性登用に関する調査を2013年以降、毎年7月に実施しており、今回で13回目となっている。


■女性管理職割合の平均は11.1%、過去最高も上昇幅はやや鈍化

自社における管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合を尋ねたところ、「30%以上」が11.9%、「20%以上30%未満」が6.4%、「10%以上20%未満」が9.9%、「10%未満」が25.4%となった。

また、管理職が全員男性である企業は42.3%と前年(43.0%)から0.7ポイント低下したが、全項目のうち最も高い。

政府は、管理職などの指導的地位に占める女性の割合を「2020年代の可能な限り早期に30%程度」という目標を掲げているが、同調査の結果、政府目標の「30%程度」を達成している企業の割合は前年から0.5ポイント上昇し、調査を開始した2013年以降最高を更新。

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管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合管理職に占める女性の割合の平均は11.1%で過去最高となったが、前年からの上昇幅は0.2ポイントとやや鈍化する結果となった。

企業からは「どの企業においても、女性の力は大変大きいと感じる。女性にしかできないこと、女性特有の感性などを生かした配置が必要だと考える」(機械製造)や「女性のきめ細やかさなどで仕事のクオリティが上がる」(メンテナンス・警備・検査)といった声が聞かれたという。

また、「適切な人材がいれば男女問わず登用したい」(電気機械製造)のような意見も複数寄せられたとのことだ。

一方で、女性管理職の割合が低いまたは女性管理職がいない企業からは、「女性の活躍を推進しているが、昇格する意欲がみられず、辞退するが人ほとんどである」(情報サービス)や「社内制度を含めて女性の活躍を推進しているが、結婚、出産、パートナーの転勤など女性が継続して勤務するにはまだまだハードルが高い印象」(化学品製造)といったコメントも。

女性管理職の割合を規模別にみると、「大企業」が平均8.3%で最低。他方、「中小企業」は11.6%、うち「小規模企業」は14.3%となり、女性管理職割合の平均は規模が小さい企業ほど高い状況が続いている。

女性管理職・女性役員の割合が過去最高も、「役員が全員男性」企業は依然50%超 男性育休取得率の伸びも目立つ
性管理職の割合(企業規模・業界別)業界別では、女性従業員が比較的多い「小売」が20.1%で全体(11.1%)を9.0ポイント上回り、トップに。次いで「不動産」(16.7%)、「サービス」(15.4%)、「金融」(12.8%)、「農・林・水産」(11.5%)が上位に並ぶ。

一方で、工場における三交代制などで生活時間が不規則になりやすい「製造」のほか、長時間労働や力仕事のイメージが強い「建設」など、女性従業員数が比較的少ない業界は依然として低水準にとどまった。


■女性役員割合の平均は13.8%と過去最高も、「役員が全員男性」の企業は依然半数を超える

自社の役員(社長を含む)に占める女性の割合は平均13.8%と、前年(13.5%)から0.3ポイント上昇し、過去最高に。一方で、役員が全員男性の企業は同0.3ポイント減の52.1%と低下傾向が続いているものの、依然として半数を超えた。

女性管理職・女性役員の割合が過去最高も、「役員が全員男性」企業は依然50%超 男性育休取得率の伸びも目立つ
自社の役員(社長を含む)に占める女性の割合

■31.8%の企業が「女性管理職割合の増加」を見込む。規模が大きいほど「増加する」割合高く

自社における女性管理職の割合が、現在と比較して今後どのように変わると考えているか尋ねたところ、女性管理職の割合が「増加する」と見込んでいる企業は31.8%となった。他方、「変わらない」は42.7%だった。

女性役員については、今後「増加する」と考えている企業は13.0%となった一方で、「変わらない」は56.9%と半数以上を占める結果に。

女性管理職・女性役員の割合が過去最高も、「役員が全員男性」企業は依然50%超 男性育休取得率の伸びも目立つ
性管理職の割合が、現在と比較して今後どのように変わると考えているか従業員数別にみると、従業員数「1000人超」では女性管理職の割合が今後「増加する」と見込む企業が72.7%と全体(31.8%)を40.9ポイント上回っており、女性役員の割合についても全体より20ポイント近く高い。

また、従業員数「301~1000人」も管理職、役員ともに全体を大幅に上回るなど、とりわけ行動計画の策定や比率の公表が義務化されている従業員数が多い企業では、女性管理職・役員が増加すると見込む企業の割合がより高い結果となった。

政府は、東証プライム市場に上場する企業の女性役員割合について、2025年には19%、2030年には30%以上とする目標を掲げている。

そこで、女性役員の割合が「増加する」と見込まれる企業を上場・非上場別に比較した結果、非上場企業の12.6%に対し、上場企業では32.7%と20.1ポイントも高く、上場企業など規模の大きい企業を中心に、女性役員割合の増加が加速することが見込まれる。

■女性活躍推進策、「公平な評価」が60%超でトップ。「男性育休」の伸びが目立つも、規模間格差が顕著

女性の活躍推進のために自社で行っていることについて尋ねたところ、「性別に関わらず成果で評価」が61.9%でトップとなった(複数回答、以下同)。次いで「性別に関わらず配置・配属」(51.5%)が続き、男女平等に関わる項目が上位に並ぶ。


以下、「女性の育児・介護休業の取り組み促進」(34.1%)といった、女性が家庭と仕事を両立しやすい環境づくりに関する対応策が続いた。

女性管理職・女性役員の割合が過去最高も、「役員が全員男性」企業は依然50%超 男性育休取得率の伸びも目立つ
女性の活躍推進のために行っていることまた、「時短勤務の対応」(27.7%)および「就業時間の柔軟化」(27.6%)といった男女問わず働き手の家庭と仕事の両立への支援となる柔軟な働き方関連の取り組みを行っている企業はおよそ4社に1社となった。

他方、政府が特に強化している「男性の育児・介護休業の推進」は19.8%(前年比2.3ポイント増)で前年からの上昇幅は全項目のうち最大となっている。

一方で、「キャリア開発・育成の充実」(7.2%)や「キャリアに関するモデルケースを提示」(2.8%)といった女性に対して直接的なキャリア支援となる項目は低水準だった。

■男性の育休取得率は平均20.0%、2年で8.6ポイント上昇。特に従業員数300人超の企業で高く

政府は2025年4月より、従業員数1000人を超える企業に義務化されていた男性労働者の育児休業取得率等の公表対象を従業員数301人以上の企業に拡大するなど、男性の育児参加を促す取り組みを強化している。

そこで、自社の男性育休取得率について尋ねたところ、平均は20.0%と2023年に実施した前回調査より8.6ポイント上昇する結果に。

女性管理職・女性役員の割合が過去最高も、「役員が全員男性」企業は依然50%超 男性育休取得率の伸びも目立つ
男性育休取得率について規模別にみると、「大企業」は前回調査から11.9ポイント増の26.0%、「中小企業」は同7.0ポイント増の18.3%、うち「小規模企業」は同2.3ポイント増の10.9%となり、すべての規模で上昇した。企業規模が大きいほど取得率が高く、上昇幅も大きい傾向にある。

従業員数別にみると、取得率の公表が新たに義務づけられている「301~1000人」が同16.3ポイント増の32.6%で最も高く、上昇幅も最大だった。次いで、「1000人超」の企業が同10.9ポイント増の31.7%で続いた。一方で、従業員数「5人以下」は10%台にとどまった。


女性管理職・女性役員の割合が過去最高も、「役員が全員男性」企業は依然50%超 男性育休取得率の伸びも目立つ
男性育休取得率について(企業規模・従業員数別)企業からは「中小企業は人的余裕などがなく、育児で出社できない期間の代替え要員も期間満了にて安易に退職させられない。継続雇用をすれば人員超過で利益を圧迫する」(その他サービス)といったコメントがあがったとのことだ。

【調査概要】
調査期間:2025年7月17日~7月31日(インターネット調査)
調査対象:全国2万6,196社、有効回答企業数は1万626社(回答率40.6%)

<参考>
帝国データバンク『女性登用に対する企業の見解についてアンケート調査
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