中公文庫版の「あとがき」に米原万里はこう書いている。〈本書におさめられた文章は、二十世紀末から二十一世紀初頭にかけて、いくつかのメディアに連載したもので、いずれも今現在の日本と世界の状況を、わたしなりに解釈しようと試みたものばかりである。
では、そのころの米原はどんな立場から書いていたのだろうか。ひとことでいえば、政官財の集団がさまざまなトリックを仕掛けて、国民の税金をほとんど横領しているという立場で書いていた。彼女の見取り図では、世界中いたるところがそうなのだ。なるほど、現在でもこの図柄は生きている。彼女の文章がいまも新鮮なのはそのせいにちがいない。
【この解説が収録されている書籍】
【書き手】
井上 ひさし
(1934-2010)作家・劇作家。
【初出メディア】
米原万里展「ロシア語通訳から作家へ」図録 2008年10月刊
【書誌情報】
真夜中の太陽著者:米原 万里
出版社:中央公論新社
装丁:文庫(251ページ)
発売日:2004-08-01
ISBN-10:4122044073
ISBN-13:978-4122044074