老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。
そんな年金初心者の方の疑問に、専門家が回答します。今回は、専業主婦が60歳以降に国民年金に任意加入するための条件についてです。


■Q:来年60歳になる専業主婦です。夫は再雇用で働き、年金は繰下げ受給をするかもしれません。国民年金に任意加入する場合に影響はありますか?
「私は来年60歳になる専業主婦です。夫は再雇用で働いていています。
私は、障害のある成人の子どもを介護していますが、子どもも障害年金を受け取っているため、国民年金の受け取りは、65歳から受給するか、もしくはそれ以降に繰り下げるつもりでいます。

私は過去に国民年金保険料を支払えなかった期間があり、60歳以降は満額に近づけるために『任意加入』したいと思います。夫が再雇用で働いていたり、繰下げ受給を考えている場合は、『任意加入』することができなくなったりしますか? 厚生年金に加入したことはありません」(匿名希望)


■A:夫が再雇用で働き、年金受給開始を66歳以降に繰下げしても、国民年金の任意加入には差し支えありません
夫が再雇用で働いていても、年金の繰下げ受給をするつもりであっても、国民年金の任意加入は可能です。任意加入すると、国民年金から支給される老齢基礎年金が満額もらえる納付月数の480カ月に近づけることができます。

国民年金の任意加入手続きは、お住まいの市区町村役場または年金事務所で行うことができます。60歳になる前に、年金手帳(または基礎年金番号通知書など)、預金通帳、印鑑、運転免許証など身分証明を持参する必要があります。


なお、繰下げ受給の申請をするためにも手続きが必要です。65歳の誕生月の2、3カ月前に、年金請求書の書類一式が郵送で届きます。気になることがあれば、繰下げ受給の手続きについて、年金事務所または街角の年金相談センターに相談してみましょう。

文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)

銀行員、税理士事務所勤務などを経て自営業に。晩婚で結婚・出産・育児した経験から、日々安心して暮らすためのお金の知識の重要性を実感し、メディア等で情報発信を行うほか、年金相談にも随時応じている。