「公務員の年金は多い」というイメージがありますが、実際の受給額はどのくらいなのでしょうか。国家公務員は、2015年10月の被用者年金一元化で会社員と同じ厚生年金に加入するようになりましたが、旧共済年金の上乗せ分などが加わる人もいます。
男女の差も気になるところです。

今回は、国家公務員共済組合の最新の平均年金額を男女別に確認し、厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」の平均額と比べて、どのくらい違うのかを見てみましょう。

■国家公務員の年金は平均で月約19万円
厚生労働省の社会保障審議会年金数理部会の資料「令和6年度財政状況」によると、令和7年3月末時点で、国家公務員共済組合(国共済)の「老齢・退年相当」に該当する受給権者は約61万3000人です。

また「老齢・退年相当」の受給権者の平均年金月額は12万9608円です。これは基礎年金を含まない金額で、基礎年金の推計額を加えた平均額は19万976円となります。平均の加入期間は437カ月(約36.4年)です。

なお、この平均額には、旧共済年金の受給者に支給される旧3階部分(職域部分)が含まれています。一方、2015年10月以降の組合員期間を対象とする「退職等年金給付」は、公的年金とは別の制度であり、この平均額には含まれていません。

■男女別では約2万円の差
同じ資料から男女別でも確認してみると以下のとおりです。

【基礎年金を含まない平均年金月額】
・男性:13万2442円
・女性:11万5027円

【基礎年金を含んだ平均年金月額】
・男性:19万4422円
・女性:17万3235円

男女差は約2万1000円、女性は男性の約89%に当たります。

受給額の差の背景には、加入期間と給与の違いがあります。令和6年度では、平均の加入期間は男性が441カ月(約36.8年)、女性が417カ月(約34.8年)。
現役の公務員の標準報酬(賞与込みの月額換算)の平均は、男性が59万8600円、女性が約49万2822円です。

なお、受給者のうち女性は約10万人で、全体の約16%です。

2024(令和6)年度に新たに年金を受け取り始めた人(老齢相当、基礎年金を含まない)で見ると、男性が11万8127円、女性が10万2167円で、差は約1万6000円です。

平均の加入期間は男性が453カ月(約37.8年)、女性が437カ月(約36.4年)と、女性の加入期間も長くなっています。ただし、新たに受け取り始めた女性は約3000人と少ない点には注意が必要です。

■厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」と比べると
厚生労働省「2024(令和6)年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」では、会社員などが受け取る厚生年金(第1号、基礎年金を含む)の平均月額は、全体で15万289円。男性が16万9967円、女性が11万1413円です。

国共済の「基礎年金込み」の平均と比べると、次のようになります。

・全体:国共済約19万976円、厚生年金(第1号)15万289円で、国共済のほうが約4万687円高い

・男性:国共済約19万4422円、厚生年金(第1号)16万9967円で、国共済のほうが約2万4455円高い

・女性:国共済約17万3235円、厚生年金(第1号)11万1413円で、国共済のほうが約6万1822円高い

男女差も違います。会社員などは女性が男性の約66%(差は約5万9000円)ですが、国共済は約89%(差は約2万1000円)と、差が小さくなっています。

ただし、両者は加入期間や給与水準、受給者の構成が異なります。また、国共済は基礎年金の推計値を加えた額で、旧3階部分も含まれる一方、厚生年金第1号は基礎年金を含む実績額です。
上記は、同じ条件の人同士を比較したものではなく、制度ごとの受給者全体の平均を単純比較した結果です。

差が出る理由として、公務員は長く勤め続ける人が多く、女性でも加入期間が長いことが考えられます。国共済の女性の加入期間は417カ月(約34.8年)。給与の水準や、旧共済年金の上乗せ分が含まれることも影響しているといえます。

■まとめ
今回取り上げた平均額を単純比較すると、国共済のほうが厚生年金第1号より高く、特に女性で差が大きくなっています。背景には、女性も長く働き続け、年金の加入期間を積み重ねていることや、旧共済年金の上乗せ分などがあると考えられます。

一方、子育てや家事などで仕事を中断したり、働き方を変えたりすると、将来の年金額にも影響します。平均額はあくまで目安であり、年金だけで生活費を賄えるかどうかは、受給額や支出によって異なります。

まずは「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で、自分の年金見込額を確認してみましょう。老後の生活費と比べて不足が見込まれるなら、「貯める」「働く」「支出を減らす」のうち、できることから早めに取り組むことが大切です。

文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方を発信。
3匹の保護猫と暮らす。All About おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド。
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