古代進艦長率いるヤマトの新しい航海を描く『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』。
2021年10月に上映された『前章 -TAKE OFF-』に続き、2月4日に『後章 -STASHA-』が上映となった。
今作では、『宇宙戦艦ヤマト2199』から描かれていたイスカンダルとガミラスに関する大きな ”謎” が明らかになり、同時にデスラーとスターシャのドラマが物語の大きな見どころとなる。
スターシャとデスラー、それぞれが胸に秘めた想いと、真実が明かされた先の選択——そこで表現される複雑な感情を、スターシャ役の井上喜久子と、アベルト・デスラー役の山寺宏一に語ってもらった。
>>>【画像】『ヤマト2205』場面カットと山寺宏一&井上喜久子の撮り下ろしショット(写真8点)
★掘り下げられたデスラーとスターシャ★
ーー後章のサブタイトルが『STASHA(スターシャ)』だと聞いた時は、どう感じましたか。
山寺 ズバリ、来たなという感じです。
井上 私もサブタイトルを知ってびっくりしました。何かの間違いじゃないかと思うくらい(笑)。でも、確かにそのタイトルが付いてもおかしくないくらい、スターシャからいろいろな秘密が語られますから。台本を読み進めるうちに明かされていく真実には、私も驚愕しました。でも、謎が解かれた部分も多かったので驚きつつとても納得がいって、「ああ、そうだったんだ……」という気持ちにもなりました。
ーー井上さんは『ヤマト 2199』からスターシャを演じられました。今、振り返ってスターシャにはどんな印象を抱いていらっしゃいますか。
井上 スターシャは素晴らしいキャラクターなので、『ヤマト 2199』から今回の『ヤマト2205』まで、ずっと緊張感が拭えないところがあります。心のどこかで「ああ、私なんかでいいんだろうか」というくらい。星の女王としての重責、苦しみ、悩みをたくさん抱えている女性なので、彼女のその深い思いを私がどれだけ表現できるか……スターシャというキャラクターと寄り添いながらも、どこか自分自身との戦いでもあった気がします。
ーー山寺さんは、井上さんが演じたスターシャを見てどう感じていますか。
山寺 もう、喜久子ちゃんしかいないなって。
井上 そんな……とんでもないですよ(笑)。
山寺 ずっと昔からやっていたんじゃないかという印象さえ受けましたね。神々しさ、凜々しさ、そして儚さみたいなものも感じられて。これは、とっても難しいと思うんです。演じて出そうと思ってもなかなか……もともと持っているものが、すっと自然に出てくるものだと思うので。
ーー逆に、井上さんから見た、山寺さんが演じるデスラーの印象は?
井上 本当にもう、前章の最初の長セリフから気持ちがぐぐっと持って行かれて。
山寺 まるでナレーターかのような導入でした(笑)。
井上 いえいえ、聴き応えがありました! そこから描かれた今作のデスラーは、総統としての強さや厳しさだけではなくて、内面が見えたことでさらに惹かれました。こんなに強い人でも悩んでいる、苦しんでいるということで魅力が増して。
山寺 スターシャとしてはね(笑)。
井上 でも私個人、『ヤマト』のファンの井上喜久子としては、デスラーは本当に格好よいと思いました。すいません、薄っぺらい表現ですが。
山寺 いえいえ、ありがとうございます! 嬉しいです。
ーー山寺さんは今回のデスラーを演じられて、どんな印象でしたか。
山寺 たくさんの見せ場を作っていただいてありがたいのですが、次々と起こる出来事があまりにも衝撃的すぎて……。
井上 (笑)
山寺 演じていて本当にぐったり、というのが率直な感想です。今、あげてもらった前章の最初の長セリフもね、後章で明かされる真実を知った上でその内容を振り返ると皮肉で……。
井上 そうそう、そう思うと辛いですよね、確かに。
山寺 でも、そういった部分も含めて、原作以上にデスラーを膨らませていただけたので、本当に演じていて嬉しかったです。
(C)西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2205製作委員会
★印象的なセリフに込めた想い★
——後章の予告編では、スターシャの「真実を伝える時がきました、ガミラスの青い血の真実を」というセリフが印象的でした。
井上 「いよいよこの時がきたんだな」という気持ちですよ。その言葉をきっかけに、いろいろな過去や真実が語られていく。自分としては、万感の思いを込めて演じさせていただきました。そして、そこから続くたくさんの言葉たちを台本で読んだ時は号泣しましたし、これを演じるのか、と……これをしっかり皆さんにお届けしなくちゃいけないという責任感を感じました。
——実際に演じてみていかがでしたか。
井上 今から思い返すと、自分自身がこれまで生きてきて感じた哀しみだったり、苦しみだったり、そういうものがすべてそのスターシャの言葉に乗せるためのものだったのかなと思うくらい、とても感情移入ができたんです。私自身は星の女王でもないのに(笑)。そして自分自身、その真実を語ったことによって浄化された気がしたんです。「そうだったんだ……」と。決して ”楽しい過去” ”嬉しい真実” ではないですが、それを語れたことが嬉しかったですね。
ーーそしてデスラーも、「古代、私ごと撃て!」というファンなら気になるセリフが、予告編で披露されていました。
山寺 あのセリフは原作でも有名で、伊武雅刀さんの名演が語り継がれており、もちろん僕も存じ上げています。でも、あまり意識しすぎてもなぁ……と。最近、「原作を気にしすぎているのは俺だけじゃないか?」と気付いたんですよ。他の作品で偉大な先輩を引き継ぐときもそうなのですが、「どうせ敵わないから」とか、つい気にしてしまって。
井上 真面目だから、山寺さん(笑)。
山寺 (引き継いだ先輩の演じ方に)似せようとか、そういうことを意識しすぎたかなとちょっと反省したんです。今回の『ヤマト』を見ていても(古代進役の)小野大輔くんと富山敬さんを比べたこともないですからね、自分の中で。スタッフも新しくなり、新しい脚本で、もちろん原作へのリスペクトはありつつ新たな『ヤマト』を作ろうとしている。まして今回は、原作にはなかったイスカンダルとガミラスの関係が語られて、その上での「私ごと撃て!」という言葉ですから。また違った重みがあると思うんです。だからとにかく、今回の台本とその瞬間の役の気持ちに向き合って演じました。
ーーでは最後に、ファンのみなさんにメッセージをお願いします。
山寺 前章を観てくださった方々は、後章がどんなストーリーになっているのか気になっていらっしゃると思います。特に今回は ”STASHA” というサブタイトルが付いているので、スターシャとデスラーのことも気にしてくれていると思いますが……衝撃の事実が明らかになります。ぜひ、心してご覧になっていただければと思います。とにかく、愛の物語になっています。
井上 後章では『ヤマト』という素晴らしい世界の、ひとつの到達点が描かれていると私は感じています。素晴らしい音楽、迫力ある映像、そしてヤマトクルーや、デスラーや、スターシャたちの、愛に溢れたヒューマンドラマ。たくさんの感動が詰まっている素晴らしい作品になっているので、たくさんの方にこの感動を味わっていただきたいと思います。
(C)西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2205製作委員会