現在スタジオジブリの原点を振り返る展覧会「アニメージュとジブリ展」が松屋銀座8Fイベントスクエアにて開催中だ。展示コンセプト・内容に大きく手が加えられた、その見どころを駆け足で紹介していこう。


1978年に創刊され、現在もアニメーションの最前線を紹介し続けるアニメ専門誌『アニメージュ』。本展示はスタジオジブリの取締役プロデューサー・鈴木敏夫が同誌の編集者として活躍していた時期(1970年代末から1980年代)に焦点を当て、アニメがヤングカルチャーとして認識され始めた時代、『機動戦士ガンダム』の大ヒットにより質的にも量的にもアニメが大きく飛躍するブーム期、そして鈴木氏が後のジブリにつながる高畑勲・宮崎駿両監督と繋がることで『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』の製作に傾倒するまでの道のりを紹介していく。

本展示は2021年4月の松屋銀座展、6月~9月のみやぎ石巻展、12月~2022年1月の大阪うめだ展、2月~3月の秋田展、4月~7月の福岡展、7月~9月の広島展、9月~12月のふくしま須賀川展に続く開催であり、ここから展示・物販がさらにバージョンアップされた内容となった。
キービジュアルも、スタジオジブリが発行する小冊子「熱風」に連載を持つタイ出身の写真家カンヤダ・プラテンさんが手がけたものに変更され、より親しみやすいイメージをアピールしている。
美樹本晴彦も熱中鑑賞『アニメージュとジブリ展』松屋銀座で開催中

今では名作と呼ばれるような様々なアニメ作品が次々と放映・公開され、熱心なファンによる同人誌活動などが盛り上がる中で雑誌「アニメージュ」が誕生。
児童雑誌「テレビランド」を起点としてアニメ作品をピックアップしたムック「ロマンアルバム」が誕生、さらに本格的なアニメ専門誌へ。
再現された編集部のデスク、当時発売されたオモチャ、時代の壁に大きく引き伸ばされた創刊号の記事の数々からも、そんな時代の熱気が伝わってくる。
美樹本晴彦も熱中鑑賞『アニメージュとジブリ展』松屋銀座で開催中
美樹本晴彦も熱中鑑賞『アニメージュとジブリ展』松屋銀座で開催中
美樹本晴彦も熱中鑑賞『アニメージュとジブリ展』松屋銀座で開催中
美樹本晴彦も熱中鑑賞『アニメージュとジブリ展』松屋銀座で開催中

アニメージュにとって大きな推進力となったのが、『機動戦士ガンダム』との出会い。TVシリーズから劇場版、そしてガンプラと、大きなうねりを見せていく過程が、当時の誌面と貴重な資料で明らかにされていく。
美樹本晴彦も熱中鑑賞『アニメージュとジブリ展』松屋銀座で開催中
美樹本晴彦も熱中鑑賞『アニメージュとジブリ展』松屋銀座で開催中

そして『機動戦士ガンダム』以後アニメファンのハートを掴んだ『超時空要塞マクロス』、また『魔法のプリンセス ミンキーモモ』『魔法の天使 クリィミーマミ』ほか魔法少女アニメ作品も大きくフィーチャーしたスペースも。当時のアニメファンの部屋を再現したエリアも込みで、80年代アニメブームの香りを楽しむことができるはずだ。
美樹本晴彦も熱中鑑賞『アニメージュとジブリ展』松屋銀座で開催中
美樹本晴彦も熱中鑑賞『アニメージュとジブリ展』松屋銀座で開催中
美樹本晴彦も熱中鑑賞『アニメージュとジブリ展』松屋銀座で開催中
※宮崎駿監督の崎はたつさき
(C)Studio Ghibli

当時電車で掲示されていたアニメージュの車内吊り広告がズラリと並ぶ通路を抜けると、いよいよ宮崎駿・高畑勲を紹介するスペースへ。
ジブリ設立前の二人の仕事が、アニメージュ本誌でどのように紹介されていたのかを、ここで知ることができる。
そしてアニメージュの付録・アニメージュ文庫のバックナンバーが展示されたスペースでは、昔の読者はそのひとつひとつを懐かしく、また知らない世代には「こんなものが作られていたのか」という驚きを感じられるはずだ。
美樹本晴彦も熱中鑑賞『アニメージュとジブリ展』松屋銀座で開催中
美樹本晴彦も熱中鑑賞『アニメージュとジブリ展』松屋銀座で開催中
美樹本晴彦も熱中鑑賞『アニメージュとジブリ展』松屋銀座で開催中
美樹本晴彦も熱中鑑賞『アニメージュとジブリ展』松屋銀座で開催中

さらに足を進めると、いよいよ『風の谷のナウシカ』へと至るエリアへ。ここでは『ナウシカ』原作コミックの連載からアニメ化への道のりを辿っていく。会場に飾られた貴重なレイアウト・原画・セル画には、ファンならずともドキドキすること必至だ。
美樹本晴彦も熱中鑑賞『アニメージュとジブリ展』松屋銀座で開催中
美樹本晴彦も熱中鑑賞『アニメージュとジブリ展』松屋銀座で開催中

そして本展覧会の目玉のひとつ、造型師・竹谷隆之さんが監修を手がけた「風使いの腐海装束」と腐海のジオラマも大必見。
圧倒的なリアリティを持って生み出された世界観と装備類に、きっと息を飲むことだろう。
美樹本晴彦も熱中鑑賞『アニメージュとジブリ展』松屋銀座で開催中
美樹本晴彦も熱中鑑賞『アニメージュとジブリ展』松屋銀座で開催中

『天空の城ラピュタ』コーナーでは、ラピュタのジオラマを中心にして各資料を展示。ひときわ目を惹く巨大な飛行船モデルは、1984年のマクセルのテレビCM用に宮崎駿さんがデザインした「ワンダー・シップ号」。貴重なプロップの圧倒的な存在感。
美樹本晴彦も熱中鑑賞『アニメージュとジブリ展』松屋銀座で開催中

鈴木プロデューサーが編集に関わったアニメージュ本誌12年分がズラリと並べられた最後のエリアには、本誌表紙に入ることができる撮影スポットやカンヤダさん撮影による宮崎駿監督がジブリパークを訪れた様子を記録した写真の展示スペースも。最後の最後まで、見逃しは厳禁なのだ。

美樹本晴彦も熱中鑑賞『アニメージュとジブリ展』松屋銀座で開催中

※宮崎駿監督の崎はたつさき
(C)Studio Ghibli

今回、内覧会に足を運ばれていた『超時空要塞マクロス』『トップをねらえ!』『甲鉄城のカバネリ』などで知られるイラストレーター・キャラクターデザイナー・漫画家の美樹本晴彦さんから特別コメントが到着した。

所用があり「アニメージュとジブリ展」に立ち寄らせていただきました。
元々出不精な上にコロナ禍以降、ほとんどカレンダーを気にしないような生活で、
展示会的なものも気付けば終了といったことばかりでしたので久しぶりのことです。
その展示内容は懐かしいものから初めて目にするものまで多種多様で、
日本のアニメの歴史とそこから生まれたジブリ作品の魅力を感じることができる
素晴らしいものばかりで、壁に張り付くように見させていただきました。
一部、私自身の絵なども混じっており、
これにつきましては正直なところ今からでも修正したいものばかりで、
なるべく見ないように足速に通過しました(笑)。

時代の移り変わりが激しい中、その普遍の魅力を放つ作品や、
時間が経ったからこそ改めてその魅力を再認識する作品もあり、
思い返してみたり再度鑑賞するのもいいな……と思う契機になるような展示と感じました。


美樹本晴彦

現在活躍するクリエイターの出発点・転換点も確認できる展示内容は、まさにアニメファン必見と言えるだろう。
「アニメージュとジブリ展」松屋銀座展は、1月23日(月)まで開催まで。

>>>『アニメージュとジブリ展』松屋銀座会場の展示内容を見る(写真40点)

「アニメージュとジブリ展 」
美樹本晴彦も熱中鑑賞『アニメージュとジブリ展』松屋銀座で開催中

会期:開催中~2023年1月23日(月)

会場:松屋銀座8階イベントスクエア
   東京都中央区銀座3-6-1

開場時間:午前10時~午後8時《日時指定制》
(最終日は午後5時閉場、入場は閉場の30分前まで)
※1月9日(祝・月)、15日(日)、22日(日)は午後7時30分まで

入場日時指定券:一般1500円/高校生1000円/中学生800円/小学生600円
※本展の入場は全日日時指定制となります。事前にご来場日時をお決めいただきチケットをご購入ください。
なお、各日時数量限定のため入場日時により完売の場合がございます。
美樹本晴彦も熱中鑑賞『アニメージュとジブリ展』松屋銀座で開催中

>>>チケット情報
>>>展覧会公式サイト
>>>展覧会公式Twitter

※宮崎駿監督の崎はたつさき
(C)Studio Ghibli