ようやくライブやイベントでの声出しが解禁されたものの、「さあ声を出そう!」と思っても、まだまだ躊躇することが多いはず。そこで、このタイミングだからこそライブイベントの楽しみ方やマナーを思い出す企画として、シンガーソングライター・アイドルプロデューサー・声優の桃井はるこさんにお話をうかがいました。


声出しライブができていた3年前のようす、コロナ禍であらたにはじめたこと、そして懐かしの応援スタイルについて……。

桃井さんが直近にミニライブを控えているということで、声出し解禁ライブを前にした心境と、3年ぶりの声出しライブを実際にやってみての感想も聞いてみました。

はたしてライブをまたいだ桃井さんの気持ちの変化は……?

■声出し解禁!! モモーイ現場はどうなる?
――イベントやライブでの声出しが解禁されました。この3年でライブの盛り上がり方を忘れてしまった、あるいは生まれて初めてライブに参加するという方へ向けて、ここで一度コロナ前の盛り上がり方を思い出すきっかけになればと思い、今回桃井さんにおいでいただきました。

桃井 ところがですね、実は私「以前はどうだった」とか思い出さなくていいと思っているんですよ。

――そうなんですか?

桃井 私がデビューした2000年代はまだ「ライブはこう盛り上がるもの」みたいな型がなく、ただ黙って聞くのが一般的でした。
その時に戻っただけなんです。ここからです。一回すべてがリセットされた「ここ」を起点にして、またみんなでゼロから作り直せば良いんですよ。

――その視点はありませんでしたね。

桃井 そもそもライブって、日常生活にあふれる「やらなきゃいけないこと」を忘れて発散するためのものじゃないですか。その場所でまた何かに縛られるのは本末転倒です。
ですからすべてをリセットした状態で、少なくとも私のライブでは何の心配もなく参加して欲しいです。どう盛り上げるかは私が考えます!!

――頼もしいです。でも「前のような盛り上がりにはならないかも」という不安はないのですか?

桃井 幸いにもありませんね。コロナ前までは毎年のように海外のイベントに呼んでいただいたのですが、日本の文化を紹介するようなイベントだとお客さんが家族連れだったりアニメに興味がなかったりで、私のことを知らない方も多いんです。主催者の人にも「盛り上がらなかったらすみません」と頭を下げられたこともありました(笑)。
でも一生懸命やれば伝わるんです。


――それは桃井さんの現場を拝見すると何となく感じます。桃井さんのライブといえば、「LOVE.EXE」で一斉点灯されるウルトラオレンジやヲタ芸、「始発にのって」で繰り広げられるファンの環状線パフォーマンスが有名ですよね。あの熱い盛り上がり方はまさに桃井さんの「一生懸命」の結果なのかなと。

桃井 あのパフォーマンスについては、海外のイベントに行くと、たとえばチリやメキシコの方からよく言われますね。「モモーイのライブ映像を見てから一緒に『LOVE.EXE』で踊りたいと思ってました!」って(笑)。

ウルトラオレンジもヲタ芸も日本では迷惑行為として見られることがありますけど、なぜか海外では憧れの対象になっているんですよ。


――実際、傍から見ていると壮観です。様々な出演者が順番に登場する、いわゆる「対バン」形式のライブでも、出番が終わったアイドルの皆さんや主催者のアイドルのかたがフロアの後ろでキャッキャとウルトラオレンジを振っている姿をよく見かけました。
しかもそのサイリウムは、モモイストと呼ばれるファンのかたが配っていて、終演後はちゃんと回収するんですよね。

桃井 ありがたいですし嬉しいですね。そういえば私の現場、女性のお客さんが増えたんですよ。昔は女性といえば、楽曲提供した方や関係者がほとんどだったんですけど。


――「おうち時間」が求められた時期に、「屋根裏の桃井はるこ」のYouTubeチャンネルでトークの生配信をはじめたからでしょうか?

桃井 どうなんでしょうね。ただNACK5で放送中のラジオ番組『THE WORKS』に来ていただいた「にっぽんワチャチャ」の鈴木Mob.ちゃんは私の曲で育ったとかで、Mob.ちゃんひとりのために「LOVE.EXE」を歌うコラボをさせていただきました。

それにやはり『THE WORKS』にゲストで来ていただいたFRAMちゃんも地元のライブハウスでよく私の楽曲をカバーしてくれていたみたいなんです。この数年で同性からのラブコールをいただくターンに入ったんですかね?(笑)。

■サイリウムへの想いと懐かしの応援スタイル
――現在、大規模なライブではサイリウムやベンライトの存在が見直されています。桃井さんはサイリウムやペンライトへの想いが強く、特に禁止されがちなウルトラオレンジがトレードマークになっています。

そこでお聞きしたいのですが、桃井さんにとってサイリウムはどんな存在なのですか?

桃井 そうですね……。私がサイリウムと出逢ったのは1990年代の高校生の頃でした。六本木の「R?hall(アール・ホール)」というところで開催された、アイドルの水野あおいさんのお誕生日コンサートが最初だったんです。

「青い妖精」という曲の時にファンがサプライズとして青いサイリウムを一斉点灯させる企画があったのですが、そこでファンの方が配っていたサイリウムを手に取り、「こういうものがあるんだ」と感動しました。

そんな現場で育ったので、サイリウムやペンライトを持ってくれていると「聞いてくれているんだな」と安心するんですよ。

――もともと女性アイドルのファンだったんですよね。

桃井 そうなんです。あと私のワンマンライブでも毎回グッズとして出していて、ステージの上からフロアを見渡しては「すごい昔のペンライトを振ってるな」とか、「最新のものは綺麗だな」と思ったりしています。

お互い「世界でひとりの存在」が同じ場所に立ち、客席でライトを光らせたり、振り方によって、「聴いてるぞ!」「高まってるぞ!」と伝えていただける……その意味でもサイリウムは大事なものですね。

余談ですけど、もともとサイリウムの文化は西城秀樹さんのスタジアムライブが最初だと言われているんですよ。

――そうなんですか!?

桃井 私も伝聞で知ったのですが、どうやら会場が広く、後ろのお客さんがよく見えない状態だったらしいんです。それでステージから見やすいよう懐中電灯を持ってきてくださいとお願いしたのが最初みたいですね。ご本人がインタビューでおっしゃっていました。

――初めて知りました。

桃井 そしてそれがサイリウムになり、今はペンライトですよ。

――ちょっと脱線するのですが、桃井さんの現場は基本的にマナーがよく、だからこそウルトラオレンジやヲタ芸をいまだに楽しめる状況にあります。その一方で、楽しむあまりステージに背を向けて踊っている人もいました。正直なところどうでしたか?

桃井 でもそれって曲を覚えてないとできないと思うんです。覚えるくらい何度も聞いてくれた証拠ですよ。「桃井さんの現場はやりたい放題だ」みたいなことを言われることがありますけど、実際に来ていただければ違うことが分かっていただけると思います。

――それはそうですね。実際に拝見したのでよくわかります。

桃井 それにワンマンライブのたびにコール本を自主的に作ってくれるファンの方もいらっしゃいますし、このコロナ禍では、別の方がアンコールの代わりに小さな太鼓を持ってきてくれました。そういったファンの皆さんに支えられて、こうして毎年のようにワンマンライブをさせていただいています。

――太鼓は、「もう一度はるこが見たい」という定番のアンコールを、太鼓のリズムだけで表現したんですよね。

桃井 Tシャツに着替えて控室から袖に行こうとすると、客席の方から唐突に太鼓の音が聞こえてきましたからね。びっくりですよ(笑)。来てくれただけでも嬉しいのに。きっと心配してくれたんでしょうね。「アンコールってどうやってやるんだろう?」って。

皆さん、私がライブの準備をするのと同じくらいの熱量で準備してくれて、そしてライブ本番では盛り上がってくれます。そんなところからも思うんです。声出しOKになっても、私は何も心配することはないんだろうなって。

――桃井さんのサイリウムへの愛は今のお話からもうかがえるのですが、ご自身が作られた「ゆめのばとん」「ルミカ」「かがやきサイリューム」にもその愛が込められています。個人的にですが「ゆめのばとん」は曲名がとても素敵でした。

桃井 でも「ゆめのバトン」は私がもらったものだけでなく皆も持っているんですよ。この曲を聞いた人が「夢のバトン」をつないで欲しい……そんな想いも込めています。

今のペンライトって本当に便利になりましたよね。昔は一瞬で色が切り替わるものなんてありませんでしたし、パッと見ただけでは何色に光るのか区別がつきませんでした。ですから間違った色を出さないようラベルを貼って管理していたんです。それももう失われた文化ですよ。

あと応援だと、昔はほら貝を吹く人がいましたよね。「ぶぉぉぉぉぉぉぉん……」って。あれうるさくて迷惑でしたけど(笑)。

――ありましたね!!

桃井 「戦かよ!」って思いましたよ(笑)。それに伝説のシャンプー! ライブ会場で突然シャンプーして自己アピールするんですよ(笑)。あと紙テープもありましたね。女子プロレスラーコンビの「クラッシュギャルズ」は紙テープまみれになってリングで歌っていました。でもそこまで行くと応援というより妨害に近いような気がします(笑)。

――それは自分もテレビで見て覚えています(笑)。

桃井 紙テープも楽しいんですよ。今は禁止になっていると思いますけど、昔、ヤクルトスワローズが優勝した時には紙テープを投げていました。ただ芯が当たると危険なので一度テープを巻き直すんですよね。しかも職人になると、その間に紙吹雪を仕込むんです! 応援といえば、あとは法被を着る人もいましたよね。

――自分は昔、ハロプロの現場に通っていた時に特攻服をよく見かけました。

桃井 私の現場にもいましたよ。「トップク」って言うんですよね!
私が志倉千代丸さんと共同プロデュースさせていただいている「純情のアフィリア」というアイドルグループは“振りコピ”が多いんですよ。メンバーの振り付けをコピーして一緒に踊るという。ですからリリースされたばかりの新曲では、一緒に踊りやすいよう振り付けの先生が考えてくれました。

――「純情のアフィリア」といえば、1月29日に開催された「MAGES;FES」の招待席に桃井さんもいらっしゃいましたね。元「アフィリア・サーガ」のユカフィンさんと一緒に腕を振り上げてめちゃめちゃ楽しんでいらっしゃいました。

桃井 ワンマンライブと違ってフェスは色々な人が集うのがおもしろいですよね。例えば「純情のアフィリア」のファンはライブ慣れしているのでペンライトを自分の推しメンバーの色にしていましたし、cadodeさんのステージでは応援の仕方を変え、身体を揺らすような感じで耳を傾けていました。あとすごかったのは松澤由美さんです!!

――自分も我が耳を疑いました(笑)。

桃井 「MAGES;FES」なのに、MAGES作品にまったく関係のない『機動戦艦ナデシコ』のオープニング曲ですよ! でもあれがいいんです、私も勉強になりました。

MAGES.のスタッフさんも、今回のフェスは「また再開していくぞ」という決意表明だとおっしゃっていました。私は「またやる時は出してくださいね!」と言って帰ってきましたけど(笑)。

あと私、FM NACK5で「THE WORKS」というラジオ番組をユカフィンさんと一緒にやらせていただいているのですが、長いことリモート収録をしていてスタッフさんたちと直接会う機会がなかったんです。でも現地でそのスタッフさんたちとも会えて楽しかったですね。

■モモーイ流! ライブを意識した楽曲制作スタイル
――桃井さんはクリエイターとしても活躍されており、自身の曲はもちろん楽曲提供もされています。
作詞作曲ではコールが入る余地を作るなど、ライブ重視の創作スタイルとお聞きしましたが、それは今も変わらずですか?

桃井 少し変わりましたね。コールがまだ一般的じゃなかった時代はコールしやすいよう間を開けるとか、初めてライブに来た人でも応援できるよう覚えやすい曲にしたことはありました。

でも今はそこまで重視しなくなりましたね。自分が想定していたのとは違うコールがファンの皆さんから出てくることがあり、それを楽しみにするようになりました。

――今はどういった作り方をされているのですか?

桃井 ボーカルの迫力が増すようにとか、その人がそこで歌っている感じがするように……とかですね。たとえばサビ前の5秒間をめちゃめちゃ伸ばしたりすると、みんな「フゥーーー!!」って高まってくれるんですよ。そうやってパフォーマンスを引き出すことでコールを促すようにしたいと思うようになりました。

――なるほど。

桃井 2月28日にリリースされたばかりの純情のアフィリアの新曲「ファンシー・フリー・デストロイヤー」は私が作詞作曲を担当させていただいたのですが、声出しOKのタイミングだったので、最後にみんなで「デストロイヤー!!」って叫んでもらうことをイメージしました。

あとはアウトロをなくし、メンバーの声で曲が終わるようにしましたね。それもファンの皆さんに「そこにメンバーがいる感」をより強く感じてもらいたくてそのようにしました。

――どこか桃井さんの創作スタイルは独特な気がするのですが、何かベースになっているものがあるのですか?

桃井 おそらく根底の部分でプロ野球の応援が影響している気がします。私はヤクルトスワローズのファンですけど、ジャイアンツの応援歌って工夫されていると思うんですね。

ジャイアンツの応援歌って選手の名前を叫ぶところが必ずひとつあって、応援団の人が「わからない人は『坂本』だけでも叫んでください!!」って言うんですよ。

つまり応援歌を知らなくても、1ヶ所叫ぶところを入れるだけで参加できるんです。それに触発されたのが先ほどの「ファンシー・フリー・デストロイヤー」の「デストロイヤー!!」の部分なんです。

応援歌って、どれだけ選手のためになっているか実は分かりませんよね。その意味では「お前のことが大好きなんだよ!」という観客側の意思表示であり欲求だと思うんです。そこってアイドルと重なるんですよ。

――創作スタイルの話はフレーズの意味や楽曲としての完成度を語るインタビューをよく見かけますけど、桃井さんのように「その先にあるもの」というか、ライブの盛り上がりまで考えているのは珍しい気がします。

桃井 おこがましい言い方ですけど、私はその場を制圧できるかどうかで盛り上がり方が違ってくると思っているんです。私が作った曲をそのアイドルが歌ったときにライブ会場がその色で一色になるかどうか、一瞬で空気が変わるかどうかをつねに考えて作っています。

幸い私は編曲の方に恵まれているので、「ファンシー・フリー・デストロイヤー」もすごく高揚感あるアレンジにしていただきました。ただ恵まれすぎて自分で編曲することがなくなっちゃいましたから、最近はまた自分でやろうかなと考えています(笑)。

あとVTuberの名取さなさんに提供した「PINK,ALL,PINK!」は、まだVTuberのライブステージが一般的ではなかった頃でしたので、ファンの皆さんがコールし慣れていないだろうと思い、繰り返しのコールを入れて一体感を出しやすくしました。

ただあの曲を作った直後にコロナになってしまいましたからね。公演中止になったりして彼女も随分と辛い思いをしたと思うんです。今は歌えるようになって私も本当に嬉しく思っています。

――最近はKizuna AI株式会社所属のVTuber・loveちゃんにも楽曲提供されていましたね。

桃井 「love chance -らぶのおんがえし-」ですね。2月18日にloveちゃんが単独ライブ「lovechan 1st live “dreamy girl”」を開催したのですが、「love chance -らぶのおんがえし-」は歌うだろうなと思っていたところへ、私の「もっと、夢、見よう!!」もカバーしてくれて本当に驚きました。まさかのサプライズだったんですよ!

もともと「もっと、夢、見よう!!」は、私の音楽活動のひとつであるUNDER17が解散しそうな時に、言えなかった本音や自分の決意みたいなものを書いた特別な曲でした。その曲をアレンジして歌ってくれてたんです。自分の根底から沸き上がってくるものは、どんなに時間を経ても共感してくれる人がいるんだなと噛み締めましたね。

loveちゃんもまだまだ暗中模索というか、それこそVTuberは道なき道ですから、そこが当時のUNDER17と重なったのかなと感じています。20年の時を経て共感してもらえるって、音楽って本当にすごいです!!

――VTuberが周年ライブや生誕祭で歌う曲は、そのときの本人の気持ちを代弁するケースが多いです。その意味では、桃井さんの楽曲ってぴったりなものが多いと思うんですよね。

桃井 何かを演じるというよりは、本人が歌ってるから気持ちを重ねやすいんですかね。今年はサブスクにも力を入れようと思っているので、ぜひよろしくお願いします(笑)。

■怒涛の変化を迎えた3年間で得られたものもあった
――この3年の変化といえば、桃井さんのワンマンライブでは新たにアコースティックコーナーを取り入れました。以前は全力疾走で駆け抜けていましたが、ゆったりできるアコースティックコーナーが入ることで楽しみ方が広がりましたね。

桃井 発声禁止が、逆に「自分の歌をしっかりと聞いてもらえるチャンス」だと思ったんです。CD用に録音したのとは違う聞こえ方がしたり、歌詞をじっくりと味わっていただいたりできたらと思いました。

もちろん若者が騒ぎたくなる気持ちもわかっています。私も20代の頃はギュウギュウになりながらライブに参加していましたし、高校生の頃はアイドルの現場でジャンプしていましたからね。

――新しい試みもそうですが、そもそもこのコロナ禍で年に2度、ワンマンライブを欠かさずできたというのが奇跡的でした。そのあたりからも桃井さんがいかにライブを大切にし、自分の居場所を守るために踏ん張ってきたかわかります。

桃井 毎年ワンマンライブができているのは本当にありがたいですよ。思い返せば2019年までは発声がOKで、その中でいかに自分の声がかき消されないか、ある種のバトルをお客さんとしていました。コールって悪者にされがちですけど、どんなにコールの声が大きくても、私がそれ以上に大きな声で歌えばいいだけなんです。

私は歌がうまいと言われるよりは、ライブがおもしろかったとか、「なんかモモーイがすごかった」と言われるほうが嬉しいんです。そしてその「なんかすごい」にはモモイストも含まれているんです。それがコロナ禍で発声禁止になり、「なんかすごい」ができず自分の声だけで勝負しなきゃいけなくなったことでずいぶんと悩みました。

でも発声禁止の状況でも「モモイストならきっとここでこういうコールを入れてくれるはず」と思っていましたから、次第にモモイストの心のコールが聞こえるようになりました。それに配信という新たな公演形式がプラスされたことで「モニターの向こうにもモモイストがいる」と考えるようになり随分と励まされました。

――そういえばワンマンライブはこの3年で配信も同時に行うようになったんですよね。

桃井 おそらくコロナ禍にならなかったら絶対やっていなかったと思います。ライブは現場で観て価値があると思っていますし、それは弊社の社長も同じです。ただ実際にやってみると、「県をまたげないからありがたい」とか、「子育て中でも参加できました」という感想をいただいて、やってよかったなと思いました。選択肢が増えるのはいいことです。それにこの3年、悪いことばかりではなかったと思いたいじゃないですか。

――配信はただ便利になったというだけでなく、そのアーティストの一番輝いているところを観る機会を増やしてくれます。でもやはり映像と現場は別物なので、できるなら現場に行きたいですよね。

桃井 そう思ってもらえるよう、これからもがんばります。

■公開生放送番組「モモーイ党せーけん放送」も声出し解禁に!!
――桃井さんが月に一度やられている「モモーイ党せーけん放送」という番組でも、このたびようやく発声OKになりました。桃井さんにとってはその番組のミニライブコーナーが3年ぶりの発声OKライブになるわけですが、番組を直前に控えた今の心境はいかがですか?

桃井 どうなんですかね……。当初はけっこう「声出し解禁になる日を待っています」というおたよりをいただいたんですよ。最近はあまり言われなくなりましたけど(笑)。

セットリストも提出していないので悩み中ではあるんですけど……たぶんコールを意識した曲を選ぶのかな……。

ただ声出しOKをきっかけに「はじめて観覧に来ました」というかたがいらっしゃると嬉しいですね。楽しんでもらえるよう頑張ります。

――しかも番組開始10周年という節目です。

桃井 ありがたいですよね。この「モモーイ党せーけん放送」という番組はトークコーナーとミニライブで構成された番組です。緊急事態宣言の期間は歌えない時期もあり、マスクをしてトークのみで終わらせたりとか、キーボードを持ち込んで演奏をしたり、とにかくどうにか乗り越えたこともありました。それだけにお客さんの前で歌える喜びを今噛みしめています。

あと今回は、トークコーナーのおたよりテーマのひとつに「『転売ヤーをぶっとばせ!』の口上を考えよう!」というものを入れてるんですよ。

――「転売ヤーをぶっとばせ!」は、このコロナ禍に桃井さんがYouTubeで発表した新曲ですね。

桃井 そうなんです、その曲のコール部分を募集したんです。というのも、コールってヲタ芸と同じように迷惑行為に思われている部分がありますよね。そんな風潮になりつつあったところへこの発声禁止ルールです。どこか最近のライブ文化から失われつつあるような気がして寂しく感じていたんですよ。

確かに歌声にかぶってうるさいと感じる時もあると思います。ただ私はコールの楽しさも知っていますから、良いところも悪いところも理解した上で「色々な楽しみ方があって良いんだよ」ということを提示したくて、今回このメールテーマを設定しました。

その、みなさんが考えたコールを発表したあとにライブコーナーに入ろうと思っています。はたしてどうなることやら……(笑)。

■ミニライブを終えたばかりの桃井さんにコメントをいただきました!!
そして去る3月4日。桃井はるこさんはWALLOP放送局で毎月第1土曜日に配信しているご自身の冠番組『モモーイ党せーけん放送』に出演。ミニライブコーナーで3年ぶりの発声ライブを楽しみました。

ライブ後のトークコーナーでご本人もおっしゃっていましたが、この日は1曲目からパワー全開。この3年間は全5曲のセットリストを歌い上げてもそれほど消耗することはなかったのですが、1曲目が終了する頃には会場に熱気が溢れ、桃井さんも大粒の汗を額に浮かべていました。

インタビューでは「コールより大きな声で歌う」と発言していた桃井さん。しかしこの日は珍しくコールに歌声がかき消される場面も。しかし2曲目ではいつもの調子を取り戻し、3年前とまったく変わらない盛り上がりを再現していました。

ちなみに口上を募集していた『転売ヤーをぶっとばせ!』は、紹介された口上を織り交ぜつつ桃井さんがステージでアドリブを披露。トークコーナーの盛り上がりの余韻もあり、会場からも声が上がるなど、3年前よりもパワフルなステージになっていました。

以下、当日のセットリストです。

1. 愛のメディスン
2. 転売ヤーをぶっとばせ!
3. くじびきアンバランス
4. 勝利の女ネ申☆
5. もっと、夢、見よう!!

【桃井はるこ コメント】
「言いたいことがあるんだよ/やっぱり声出し最高だ/WALLOP10年ありがとう/みんなこれからもよろしくね」

これは、私がミニライブ中『転売ヤーをぶっとばせ!』の間奏で即興で叫んでしまったロングコールです。

終演後に「高まると、歌っている側がその場で考えたコールをしてしまうなんて、そんなこともあるんだな」と、妙に客観的に珍しく感じました。

自分も知らない自分を引き出していただける、ちょっとした奇跡ですよね。そんな奇跡を呼び込んでくれたのは、ファンのみなさん一人一人の声が塊となって心に響いたからでした。

「自由」って一番難しいことだと思うのですが、深く考えたり考えなかったりしながら、また私も声を出せる自由を謳歌したいと思いました。

ありがとうございました!

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【おしらせ】

■『アフィリア15周年記念 ワンマンライブ』開催!

桃井はるこさんが『STEINS;GATE』などの原作を務める志倉千代丸さんと共同プロデュースするアイドルユニットが結成15周年ライブを開催! 現在のグループ名「純情のアフィリア」の現役メンバーはもちろんのこと、「アフィリア・サーガ・イースト」「アフィリア・サーガ」時代の卒業生も一堂に会する記念ライブです。

桃井はるこさんが手掛けた楽曲はもちろん、『STEINS;GATE』『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』『俺が好きなのは妹だけど妹じゃない』など人気作品の楽曲も楽しめるかも!?

【日程】2023年3月31日(金)
【会場】LINE CUBE SHIBUYA
【時間】17:45開場/18:30開演
【チケット】SSエリア:12,000円
      Sエリア:7,000円
      1F後方中央席:4,800円
      1F後方サイド席:3,500円
      2F席中央席:3,000円

【公式サイト】http://stand-up-project.jp/live/afilia15yr

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

■公開生放送「WALLOP開局祭」

桃井はるこさんが毎月・第1土曜日に出演している公開番組「モモーイ党せーけん放送」が4月に特別編成を実施! 放送局である「WALLOP」の開局を記念して、局全体でさまざまな企画をする予定です。

また桃井はるこさんと同じ事務所で、元「Little Non」の永野希さんもレギュラー番組「のぞみ家の一族」に出演中。毎月・第1土曜日に「モモーイ党せーけん放送」と隣接する形で放送しており、開局祭でも同日に公開番組を放送します。ゲストはLittle Nonの元メンバー。久々に全員集合して、「ハナマル☆センセイション」などの楽曲を演奏するかも……?

詳細はWALLOP公式サイト、またはライト・ゲージ公式ツイッターにて!

【日程】2023年4月1日(土)
【会場】WALLOP放送局(東京都墨田区業平4-16-6)
【時間】調整中
【チケット】調整中
【対象番組】「モモーイ党せーけん放送」「のぞみ家の一族」など

【公式サイト】https://www.wallop.tv/

(C)2016 Right Gauge All Rights Reserved.