『けいおん!』や『映画 聲の形』の山田尚子監督による最新作として、完全オリジナル長編アニメ映画『きみの色』が現在公開中だ。このたび本作が、「第29回釜山国際映画祭」の「アジア映画の窓」部門へ出品されることが明らかになった。


『きみの色』は、少女たちそれぞれが向き合う自立、葛藤、恋の模様をまるで絵画のような美しい映像で描く、山田監督の待望の最新作となるオリジナル長編アニメ映画だ。

人が「色」で見える高校生のトツ子が、同じ学校に通っていた美しい色を放つ少女・きみ、街の片隅にある古書店で出会った音楽好きの少年・ルイとバンドを組む……という筋書きから始まる、監督が最も得意とする「音楽×青春」の物語を描く。

先日行われた初日舞台挨拶では、鈴川紗由、高石あかり(高は「はしごだか」、以下同)、木戸大聖、やす子らキャストと山田監督が登壇した。全国16都市を回る企画を終えた監督は各地で触れ合ってきたファンの反応を受けての感想を話し、キャスト陣は本作で初めてアフレコに参加した時の印象などを振り返った。楽しいトークで盛り上がる中、公開初日を祝してキャストから山田監督へのサプライズも行われ、会場はあたたかな拍手に包まれた。

山田監督は「ようやく公開を迎えることができて本当に感無量です。みんなで心を込めて、肩を組んでつくった作品ですので、皆さんも愛してくださったら嬉しいです」と公開を迎えた喜びとともに、観客へ向けて作品に込めた想いを伝えていた。

このたびそんな本作が、10月2日から10日(現地時間)にかけて韓国・釜山で実施が予定されている「第29回釜山国際映画祭」の「アジア映画の窓」部門に正式招待作品として選出され、韓国でプレミア上映が行われることが決定した。舞台挨拶には山田監督と日暮トツ子役の鈴川が登壇する予定。鈴川は国内外含め、映画祭への登壇は自身初となる。

「釜山国際映画祭」はアジア最大規模の映画祭として注目されており、国内外の約300作品(ワールドプレミア約100作品)が上映され、来場者数は約20万人を記録する。本作が選出された「アジア映画の窓」部門は、さまざまな視点とスタイルを持つアジアが誇る才能豊かな映画監督たちの優れた作品を紹介する部門で、過去には吉田恵輔(吉は「つちよし」)監督作『愛しのアイリーン』、瀬々敬久監督作『楽園』、沖田修一監督作『おらおらでひとりいぐも』などが選出されてきた。


その「アジア映画の窓」部門は、最優秀賞にあたる「キム・ジソク賞」の行方も気になるところ。2017年に制定された「キム・ジソク」賞は、映画祭の創立メンバーでアジア映画の成長に尽力した故キム・ジソクの名が冠せられ、アジア映画の現代的地位を反映した最も魅力的な映画を称えるために設立された。「第22回釜山国際映画祭」では、吉田大八監督の『羊の木』が同賞を受賞している。

山田監督は本映画祭でのプレミア上映決定を受けて、「映画祭の規模が大きすぎて想像がつきませんが、とても光栄なことで、とにかく楽しみたいと思っています。舞台挨拶では鈴川さんと一緒に、映画を楽しんでつくったエピソードや、今回オリジナル作品で観客の皆さんも未知数な部分があると思いますので、少しでもリラックスして観ていただきたい、というお話ができたらと思っています」と期待を寄せる。

また鈴川は、「オーディションから始まり、監督やキャスト、沢山のスタッフさんが一丸となって作り上げた『きみの色』が釜山国際映画祭で上映されることがとても光栄です。また私自身初めての映画祭に監督と登壇できること心から嬉しく思います。国境を越え、観た人に感動や勇気を与えてくれるアニメーションの力は素晴らしいものだと改めて感じています。全世界の方に『きみの色』の鮮やかで美しい色と音楽をお届けできる日を楽しみにしています」と参加への喜びを語った。

『けいおん!』や『映画 聲の形』の山田尚子監督による最新作の完全オリジナル長編アニメ映画『きみの色』は現在公開中。「上海国際映画祭」で最高賞にあたる金爵賞アニメーション最優秀作品賞を受賞し、国内外から高い評価を受ける本作から引き続き目が離せない。

『きみの色』
公開日:2024年8月30日(金) 全国東宝系公開
監督:山田尚子 「映画 聲の形」「リズと青い鳥」「けいおん!」「平家物語」
声の出演:鈴川紗由 高石あかり 木戸大聖 / やす子 悠木碧 寿美菜子 / 戸田恵子 / 新垣結衣
脚本:吉田玲子 「猫の恩返し」「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」「若おかみは小学生!
音楽・音楽監督:牛尾憲輔 「映画 聲の形」「チェンソーマン
主題歌:Mr.Children「in the pocket」(TOY'S FACTORY)
キャラクターデザイン・作画監督:小島崇史
キャラクターデザイン原案:ダイスケリチャード
製作:「きみの色」製作委員会
企画・プロデュース:STORY inc. 「
に関するニュース">君の名は。」「天気の子」「すずめの戸締まり」
制作・プロデュース:サイエンス SARU 「夜は短し歩けよ乙女」「映像研には手を出すな!」「平家物語」
配給:東宝
(C)2024「きみの色」製作委員会