女性モデルに登場してもらうことが多いASCII.jpのクルマ取材。その取材時「次にどんなクルマに乗ってみたい?」と尋ねることが多いのですが、その際に出てくる言葉は、決まってドイツ御三家に次いで「Jeep」なのです。
Jeepの魅力は大きくて荷物が載るところ
そして最高の悪路走破性

「Jeepの魅力ですか? カッコイイし大きいし、荷物が載るところ」と笑顔で語る唯さん。え、理由それだけ? とスタッフは目がテンです。「普段は車高の低いスポーツカーに乗っているので、大きくて実用的なクルマに憧れちゃうんですよ」と言葉を続けますが、(それってJeepでなくてもよくない?)と我々の心の声がダダ洩れしそうになります。ですが「無骨な感じに頼もしさを覚えますし、なにより個性的。独特の世界観を感じませんか? そこに魅力を感じてJeepってイイナと思うんです」と唯さんは力説します。

ですが唯さんはクルマを見るや「メッチャカッコイイ!」と大喜び。「このフロントグリルがイイんですよ。あとフェンダーが出っ張っているのも最高!」という一言にスタッフはホッと胸をなでおろしました。ここでラングラー アンリミテッド ルビコンについて、少しご説明しましょう。


Jeepが誕生したのは1941年のこと。
Jeepブランドは現在チェロキーをはじめ数多くのラインアップを有していますが、ラングラーはその中でも縦格子のフロントグリルやオーバーフェンダーといったスタイリングや高い走行性能を有しており、「先祖のDNAを最も色濃く残すモデル」として人気を集めています。




今回ご紹介するアンリミテッド ルビコンは、ラングラーモデルの中でも最上位に位置づけられる1台。アンリミテッドとはホイールベースを伸長し、後席用ドアを設けたモデルに与えられる名称で、3ドアモデルもラインアップにはあります。そしてルビコンは、世界一過酷と言われる米国ネバダ州からシエラネバダ山脈を越えてカリフォルニア州のタホ湖に至る険しい花崗岩の道「ルビコントレイル」から名付けられているとのこと。このルビコントレイル、ぜひ画像検索をしてもらいたいのですが、道とは名ばかりの、ただの岩山。とても道と言える代物ではありません。


そんな「道無き道」を行くための仕様ゆえ、タイヤはゴツゴツしたブロックパターンが目を惹くBFグッドリッチのマッドテレーンを装着。ほかのラングラーモデルが、普通のオールテレーンタイヤであることからも、このモデルの特殊性がうかがえます。ちなみに車体助手席側にTRAIL RATED 4×4というバッジがあるのですが、ルビコン仕様だけ特別なものが与えられているようです。
無骨だけど安心感のあるエクステリア

エクステリアにホレこんでいる唯さんは「このドア、ヒンジ部分が出ているんですね。それもカッコイイんですよ」笑顔。実はこのドア、工具があれば簡単に取り外すことができます。「え? 外して何かいいことあるんですか?」と頭にクエスチョンマークを浮かべますが、外すことで軽量化して走行距離を稼いだり、何度も車両に乗降する人にはメリットはいっぱい。ただドアを外してしまうとサイドミラーがなくなるため、走行すると道交法違反になります。




この軽量化は他にも及び、なんと運転席および助手席と後席~荷室の樹脂製ルーフも外すことができます。後席から荷室のルーフを取り外すには工具が必要ですが、運転席と助手席側はカンタンに着脱可能! ラゲッジスペースに乗せれば、オープンカー感覚を楽しむことができます。もちろん、この状態で公道を走っても大丈夫です。NDロードスター乗り=オープンカー乗りの唯さんは「これイイ!」と大絶賛。「室内を見た時、ロールバーがあるので何でだろう? と思っていたのですが、納得しました。これは面白いですね」とのこと。取材日は青いスポーツドリンクを何本飲んでも足りないほどの「39度のとろけそうな日」で、内側からルーフを触れると「かなり暑いですね。


Jeepのメリットとして積載性の高さを挙げる唯さん。早速リアに回って確認してみたところ「タイヤが外に出ている!」と、まずスペアタイヤの存在に驚いた様子。そういえばイマドキのSUVやクロカンモデルでもスペアタイヤを露出させることは少なくなりました。スタッフは逆に「パジェロにありましたね」と懐かしさを覚えていた次第。唯さんとのジェネレーションギャップを感じつつ、中央に配されたバックカメラにイマドキのクルマであることを再認識し、オッサンスタッフは歳を感じた次第です。

バックドアは横に開いてから、上を開けるデュアルバックドアタイプ。これは前出の着脱できるルーフによるものなのですが、ショッピングセンターの駐車場などで壁や他車が近くバックドアが開けづらい場所では重宝しそうです。大型バックドアのミニバンやSUVは、ちょっと見習ってほしいと思いました。



荷室は広さも十分。リアシートを倒すとフルフラットになる点も使い勝手の面で良好です。

「これなら車中泊できそう!」というわけで、唯さんには靴を脱いで「裸足の女神」となってもらい実際に試してもらいました。裸足の女神を希望するも、残念ながら靴下は履いたままだったのですが、「大丈夫です! これは寝られます」と合格点。道なき道でソロキャンプに行っても、安全に就寝できます!


続いて後席もチェック。「見た目に対して狭いけれど、十分に広いですね」と唯さん。そうなんです、ラングラーは車幅が1895mmあるのですが、それはフェンダーが外に張り出しているためで、室内の幅はCセグメントのハッチバックに近い印象。ただ足元は広く、エアコンダクトもあるので夏でも涼しいのです。
悪路を走るためのエンジンはとてもパワフル




気になるのはエンジン。ボンネットについているロックを外して開けると、3.6リットルのV型6気筒ターボエンジンが姿を現わします。最高出力は284馬力、最大トルクは35.4kg・mとハイパワーで、8速ATとオンデマンド方式の後二輪/四輪駆動システムによって地面に伝えられます。最終減速比は4.1とローギア―ドで、低中速重視のギアセッティングです。スタッフを驚かせたのはエンジンオイルの指定粘度が「0W20」とエコカー並の低粘度だったこと。大排気量ターボエンジンだから「10W40」といった粘度だと思っていたので意外でした。カタログ燃費はWLTCモードで8.0km/L、市街地モードで5.5km/Lとのこと。燃費は走り方で変わりますので、一概にはいえませんが、今回エアコン全開で都内の一般道を走り回ったところ5km/Lを下回りました。


ガソリンタンクの容量は81リットルですので、WLTCモードなら満タンで約640km走行できる計算になります。欧州車と異なりレギュラーガソリンに対応しているのはうれしい限りです。







ではではと運転席に乗り込もうとする唯さん。これが結構大変で、今回はパンツルックで事なきを得ましたが、スカートだと結構大変かもしれません。「質実剛健というのでしょうか。いい意味で独特の世界観ですね」と、見慣れないインテリアに驚いている様子。車内はプラスチック製ロールバーが露出しハードな印象を受けますが、赤いステッチの革製シートやステアリングによってチープな印象は皆無。「ところどころスポーツカーみたいで、特別なクルマという印象を抱きますね。でもさり気なくていいです」と高評価。


「シフトレバーの横にあるのは何ですか?」と見慣れぬレバーに興味を抱く唯さん。これは4輪駆動と2輪駆動の切り替えレバーで、一般道なら二駆、悪路なら四駆とシチュエーションによって切り替えます。二駆の方が燃費が向上すると思いましたが、メーカー担当者によると「それほど変わらないかもしれませんので、基本的にはオートモードで問題はありません」とのこと。ですので今回の試乗は四駆のままで行ないました。


その近くには赤いスイッチが。スポーツモードみたいなものと思いきや、オフロード走行時にスタビライザーのロックを外すもので、オンロード走行時にスタビライザーを外すと大きくロールするとのこと。試乗はロック状態で実施しました。




スマホ充電に便利なUSB端子は、運転席側に1個とアームレスト内に1個用意。運転席側には日本車ではいまだ珍しいUSB Type-C端子も用意されていました。カーナビ連携ももちろん可能で、Apple CarPlay、Android Autoの両方に対応しています。



カーナビは、交差点ごとに通過する直前で「〇〇交差点を直進です」と名称と進路をセットで音声案内するという日本車以上に親切なもの。都内のように交差点が多い場所では(さすがに……)とも思いつつも、いちいち画面を見なくてもよいのはいいですね。さらにメーターパネル中央にはインフォメーションディスプレイが設けられ、ナビゲーション表示もするではありませんか。タフな外観から親切機能に期待していなかった我々スタッフは「見た目はともかく普通のクルマなのかも」と考えを改めた次第です。


運転支援系もしっかり装備。リアカメラを装着し慣れない車庫入れでも安心ですし、前走車車速連動のアダプティブクルーズコントロールはストップ機能付きで、渋滞でもラクラク。残念ながら車線監視機能はないようですが、アダプティブだけでもありがたいものです。欧州車と異なり、この手のボタンが右側にあるので、日本車から乗り換えた時にもすんなりと受け入れられそう。ただワイパーとウインカーは輸入車らしく日本車とは逆位置です。
視界が高く広いので運転しやすいけど
車幅感覚は慣れが必要


唯さんにステアリングを託す前にスタッフが運転したところ、ほかのクルマと比べて車幅感覚がつかみづらいことが気になりました。一般的にタイヤはエンジンフードの両端にあるのですが、ラングラーのタイヤはエンジンフードの外側にあり、そのフェンダーが運転席からでは見えないのです。さらにフロントバンパーも長く位置が長く、鼻先がどこにあるのかわかりません。そして最小回転半径が6.1mと、小回りは効きづらく、車庫入れはちょっと大変。その様子は唯さんにも伝わってしまったようで「この人、運転に苦労しているなぁ」と感じたのだとか。不安を感じさせてしまいゴメンナサイ。

では、大変なクルマを唯さんに運転してもらいましょう。するとステアリングを握って少し走っただけで「あ、わかりました。大丈夫そうです」とすぐに独特の車幅感覚に慣れてしまったというから驚き。当方としては「左折時、縁石に乗り上げてしまい……」という状況を期待していたのですが、そのようなことはなく、スタッフよりも堂々としたドライビングを披露するではありませんか!


しかも「視界が高く、そして広いので運転しやすいですね」というから驚き。さらに「ハンドルは思ったよりも軽いフィーリングなんですね。あとアクセルをほとんど踏まなくてもクルマが進むトルクの太さを感じます。最初少し踏んだら、あとはアクセルオフのままで巡行するというイメージですね」と的確なコメントを連発します。「一方、車体が重たいからか、ブレーキの制動距離は長めで、ストロークも深い印象を受けました。だから、制御やパワーによる車体の軽さと物理的な車体の重さの両方を感じます」なのだとか。事前に運転していたスタッフもこの発言には納得で、パワーはあるので見た目以上に速いクルマなのですが、クルマの重量を感じながら、ゆとりをもって走るのがラングラーの楽しみ方と思われたようです。


乗り心地に関して唯さんは「助手席に座ってもらった時、乗り心地は思ったよりはしっかりしていて好ましく思いました。硬めですが、不快ではありません」と思ったうえで「運転していて手ごたえを感じさせる足だと感じました。ロール量も少ないので、運転しやすいです」と笑顔。「あと意外と走行中は比較的静かで、エンジンの振動が体に伝わったりしないんですね」とも。適度に聴こえるエンジン音も好ましく思われている様子です。「なんか慣れてしまえば、普通にイイクルマですね」と唯さんは笑顔でピースサイン。相当気に入った様子です。

「スポーツカーの対極にあるクルマですから、とても魅力に映るんですよ。本当は両方あるとイイんですけれどね」と唯さん。「それに女性がコレに乗っていたらカッコイイじゃないですか」と、どこか自分と重ねあわせている様子。確かに女性がラフな格好でラングラーに乗っていたらカッコイイかも!


そして「本格モデルなのに、クルマのあちこちにJeepのアイコンみたいなものがあるんですよ。これがカワイイんですよ」とフロントガラスを指さす唯さん。こういったところも、彼女の琴線に触れたようです。

「乗ったのは今日が初めてですけれど、他のJeepにも乗ってみたいですね」と、Jeepに一層興味を抱いた唯さん。「やっぱりJeepって本当にイイモノですね」と、某映画評論家のような言葉を残して取材を終了しました。

エクステリアや世界観だけのクルマだと思っていた我々スタッフは、今回ラングラー アンリミテッド ルビコンに触れて考えを改めたというのが正直なところ。想像以上に現代的で実用的、それでいて快適でありながら、伝統を守り続けているという点は、多くの人から支持されるのも納得です。ルビコントレイルのような道を走ることはなくても、走れるという自信をドライバーに与えてくれるラングラー アンリミテッド ルビコン。唯さんが帰った後、スタッフは「ほかのJeepにも触れてみたいですね」と気づけばJeepの魅力にハマりかけていることを正直に告白します。
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モデル紹介――新 唯(あらた ゆい)

10月5日栃木県生まれ。2020年に小林唯叶としてモデルデビューし、2020年シーズンのSUPER GT「マッハ車検GAL」をはじめ、SUPER FORMULA、スーパー耐久シリーズのレースクイーンとして活躍する。2021年4月の芸能事務所プラチナム・プロダクションへの移籍に伴い新 唯へと改名。今年はD1グランプリ「SAILUN Drift Team Girls」としてレースシーンを彩るほか、ファッションモデル/マルチタレントとしても活躍の場を拡げている。