令和ではハイブリッドだけではクルマは選ばれない
2021年7月19日に新型となったトヨタのハイブリッド車「アクア」。2020年2月発売のヤリスと同じTNGA GA-Bプラットフォームとしながらもアクアはまったく違うクルマになっています。
先代のトヨタ アクアは2012年にプリウスに次ぐハイブリッド専用車として発売され、それ以来の販売台数ランキングではプリウスと常にトップを争うほど売れているハイブリッド車のビッグネームです。

しかし令和になってもう3年。ここ2~3年のうちに発売されてきた新型車のほとんどはグレードの一つとしてハイブリッドが採用されていることから、それがアドバンテージとして活かされるということは希薄になり、クルマとしての完成度が求められるようになってきています。

新型アクアは先代と全長、全幅はまったく同じ4050mmと1695mmとなっていますが、全高は30mm高い1485mmとなります。全長と全幅が同じ理由は小回りの利く先代の利点を継続していきたいという理由にほかなりません。そのため最小回転半径は先代と同じ5.2mを維持しています。
新型アクアで大きく変わったところはホイールベース。先代に比べて、またヤリスとも比べて50mm延長され、その拡大分はBピラーから後ろの居住性に振り分けられています。このホイールベースの延長が新型アクアの特徴を決定しているといってもいいでしょう。


この延長分のおかげでリアシートには前後方向に大きなゆとりが生まれます。しかし実際に着座すると延長分の50mm以上のゆとりを感じるかもしれません。これは頭上空間のゆとりの効果ともいえるでしょう。先代のアクアやヤリスに比べると後席乗員の頭上の天井高は高さで30㎜以上高くなっており先代のように頭上を圧迫されるような感じは皆無です。

また全高が30mm高くなったことにより、リアドアの上下も広がって乗り降りのしやすさも格段に良くなりました。


全長が同じでホイールベースが長くなったことで、リアシートの居住性が上がったということはラゲッジスペースが小さくなっているのではないかと思われる方も多いでしょう。5名乗車時のシートレイアウトでは前後方向の荷室長が44mm短くはなっていますが、荷室幅は53mm拡大されています。またラゲッジボードにより荷室がフラットになっているので数字以上の使い勝手の良さが光ります。


リアシートをたたんで2名乗車のレイアウトにした場合、リアシートのシートバック部分とラゲッジスペースの段差はほとんどなく、フラットは荷台として使うことができます。


ラゲッジスペースへのアクセスとなるバックドアは、開口部が上下方向に75mm広がって800㎜となっており、荷物の積み下ろしもスムーズにできます。開口部が上下方向に広くなるということはバックドアの取り付け部分も高くなってしまいがちですが、開閉に不便が無いように後端部分の高さは先代などとほぼ変わらないようになっており、身長160cmほどの佐々木萌香さんでも楽々手が届く位置となっています。

直進安定性が増した走行性能
バイポーラ型ニッケル水素電池を世界で初めて採用
またロングホイールベースのおかげで走行特性にかなりの変化をもたらしています。ホイールベースが増したことにより直進性が増し、全体的な乗り心地がコンパクトカーとしてはかなりどっしりとした印象を受けるのです。ヤリスでも言われたことですが、GA-Bプラットフォームの車体剛性は非常に高く、その分サスペンションセッティングに大きな自由度を与えています。そのため路面の段差での突き上げ感が大きいといわれた先代のアクアに比べて、サスペンションのセット自体はやわらかい印象を受けますが、だからと言って無駄にロールするような下品な柔らかさではなく、路面と追従しているようなフラット感が増しています。


エンジンについてはヤリスのハイブリッドと同じ、1.5リッター3気筒にハイブリッドシステムをつけたM15A-FXE型。しかし、ハイブリッドのバッテリーにはバイポーラ型ニッケル水素電池を世界で初めて採用。
ハイブリッドだけでは差をつけられない今の時代、新型アクアはクルマの基本に立ち返っていいクルマ、求められるクルマとしてしっかりと地に足をつけたモデルチェンジをしているのです。
細かい配慮と気配りがトヨタらしさ
これまでリアシート周辺の変化についてお知らせしてきましたが、運転席回りも進化に富んでいると言えます。


メーター類は先代のセンターメーターレイアウトからドライバーの正面に配置が帰られており、そのメーターパネルはフル液晶となっています。そのメーターの中央はマルチファンクションとなっており、バッテリーやエンジンの稼働状況や燃費表示などに切り替えることができます。

2018年の新型カローラから他社OEMを除くトヨタの新型車に搭載されてきたディスプレイオーディオ。新型アクアではZグレードが10.5インチ、その他のグレードでは7インチが搭載されます。試乗車はGグレードですがメーカーオプションの10.5インチサイズが装着されていました。

トヨタのディスプレイオーディオはApple CarPlayとAndroid Autoに対応しているので、オプションのカーナビユニットを装着しなくてもGoogleマップのナビ機能が使えます。初期のディスプレイオーディオと比べると、Apple CarPlayの表示画面がかなり洗練されていることに気づきます。

Apple CarPlayやAndroid Autoに接続する場合、スマートフォンの電池切れでマップの位置情報がロストすることを防ぐためにケーブル接続が必須となりますが、これまでのクルマはそのケーブルとスマートフォンの置き場所に苦慮することもしばしばでした。しかし、新型アクアはケーブルが隠せるセンターコンソールが装備されたので、スマートフォンの置き場所問題もクリアしています。

また、新型アクアでは走行用バッテリーの充電量を活かして、それを100V電源として活用できるようにコンセントも付いています。通常設定では50hzの100V電源を15A、つまり1500Wまで使用できます。これは無茶を承知で言えば電子レンジが使えるという電力量で、すでに自治体によっては防災対策車両として新型アクアを導入しているところがあるほどです。

シフトのシステムが大きく変わった
これまで新型アクアのきめ細やかな使い勝手の進化を見てきましたが、もう一つ大きな変化も見てみましょう。それはシフトシステムの変化です。

先代のアクアやヤリスではシフトはゲート式と呼ばれるもので、センターコンソールから生えるシフトレバーを操作するものでした。しかし、新型アクアではこれをプリウスと同じ電子スイッチ式に変更し、インパネに設置しています。

これによりセンターコンソールはフラットになり、先述のスマートフォンが置けるトレイができたのです。これは操作系が変わるという意味で大変化と言ってもいいでしょう。

【まとめ】数多くのハイブリッドの中でも
埋もれない個性を放つ新型アクア
先代アクアはコンパクトカーにもハイブリッドを、という目的で作られたクルマでした。新型アクアは、いまや溢れんばかりのハイブリッドラインナップの中に埋没することなく、このサイズのクルマとしてビッグネームという誇りをどこまで極められるか? ということを主眼に作りこまれたクルマであると言えます。

今回紹介した新型アクアのGグレードはトヨタモビリティ東京 井荻店よりお借りしました。これらの試乗車は事前に予約をすることでゆったりと試乗できます。

また、一緒に新型アクアを紹介してくれた佐々木萌香さんは8月25日に通算3枚目のイメージDVDを発売。現在、様々なイメージDVDのランキングで、すべての作品が常に上位に入っているという大人気グラビアアイドルなので、気になる方はそちらもチェックを!
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