通勤からツーリングまで快適に走れる
ホンダ「NT1100」
「日常での扱いやすさと長距離走行の快適さを両立したスポーツツアラー」と銘打たれたツアラー「NT1100」が3月17日にホンダからデビューする。このモデルは同社の人気モデルである「アフリカツイン(CRF1000L Africa Twin)」をベースに、オンロードに特化したツアラーに仕上げたバイクだ。毎日の通勤から長距離ツーリングまでオールマイティーに対応すると言うNT1100、その実力を検証した。



まずは動力性能だが、エンジン自体はアフリカツインや「レブル1100(Rebel 1100)」にも搭載されている。総排気量1082cc水冷4ストロークOHC4バルブ直列2気筒エンジンで、最高出力は75kw(102PS)を発生する。大排気量エンジンではあるが潤滑方式を圧送飛沫併用式にする事で、軽量、低重心コンパクトに仕上げられている。特に低重心化は、Uターンや取り回し時など、街中での快適性向上にも一役買っている。そして270度に設定された爆発間隔によって、よりスムーズで力のあるエンジンフィールとなっている。
※初掲出時、最高出力が間違っておりましたので、訂正してお詫びいたします。


実際に試乗してもパワーの出方が優しく、低速でギクシャクする事なく安心して扱える。それだけでは大人しくてつまらないエンジンと感じてしまうが、不等間隔爆発の生み出すトルクによりスムーズな加速感とパワー感を得ることができた。低速での扱いやすさと息の長い加速感は、普段使いとスポーツライディングを両立させたパワーユニットと言うにふさわしい仕上がりと言える。
クラッチ操作レスでライダーファーストに



そのエンジンにアフリカツインやレブルで培ったDCT(デュアルクラッチトランスミッション)を採用しよりライダーファーストなバイクに仕上げてきた。このDCTというシステムは1/3/5速側と2/4/6速側にそれぞれクラッチを組み、シフトアップ、シフトダウンに備える事でシームレスな変速を実現させるシステムだ。実際に乗っていても、エンジン音が変わらなければいつ変速したかわからないほどスムーズだった。もちろんオートマチックミッションだから、発進時も含めたクラッチ操作は必要としない。
これは毎日の通勤や街中での、クラッチ操作の煩わしさから解放してくれる。しかもワインディングなどスポーティーに走りたいシーンでも、ライディングモードだけではなく変速のタイミングを任意に変える事ができる。この味付けをする事でエンジンブレーキの利かせ方を、好みに設定できスポーツライディングの楽しさを増幅させてくれる。




車体についてもアフリカツイン同様セミダブルクレドールを採用。ただしシート高は820mmと、若干低く作られており、スリムなシートと相まって足付きはかなり向上している。フロントサスペンションには43パイの倒立フォークを採用し、サスペンションアームにはアルミ鋳造を取り入れる事で剛性を確保。市街地や高速道路、ワインディングでも長すぎないストロークと相まって、しっかりしたグリップ感を感じることができた。サスペンション自体にも、前後ともにプリロードアジャスター(調整ができない純正フォークに装着して文字どおりプリロードのセッティングを可能にする)が装備されておりライダーの好みを細かくセットすることが可能だ。


ツアラー特有の視点の高いアップライトポジションも、長時間のライディングでも疲労を軽減させてくれる。可変式のウインドスクリーンが装備されていることも、その効果に大きく寄与している。
【まとめ】2人乗りも快適に!
あらゆるシーンに対応できるツアラー





2人乗りでツーリングに出る時、最も気になるのがパッセンジャーの快適性だ。NT1100の場合、リヤシートの厚みや広さ、傾斜角にまで気を配りポジションを最適化し、快適性を追求したとの事。専用のトップケースとパニアケースを装着する事で、ロングツーリングでもパッセンジャーの快適性は飛躍的に向上する。
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■筆者紹介───折原弘之
1963年1月1日生まれ。埼玉県出身。東京写真学校入学後、オートバイ雑誌「プレイライダー」にアルバイトとして勤務。全日本モトクロス、ロードレースを中心に活動。1983年に「グランプリイラストレイテッド」誌にスタッフフォトグラファーとして参加。同誌の創設者である坪内氏に師事。89年に独立。フリーランスとして、MotoGP、F1GPを撮影。2012年より日本でレース撮影を開始する。

■写真集
3444 片山右京写真集
快速のクロニクル
7人のF1フォトグラファー
■写真展
The Eddge (F1、MotoGP写真展)Canonサロン
Winter Heat (W杯スキー写真展)エスパスタグホイヤー
Emotions(F1写真展)Canonサロン