アメリカ・ラスベガスで開催された世界最大級のエレクトロニクス展示会「CES 2024」にて、ソニー・ホンダモビリティは「AFEELA プロトタイプ 2024」を発表しました。


 これは2025年の受注、2026年のデリバリーを目指して開発中のモデルです。

今回、その「CES2024」の会場において、「AFEELA プロトタイプ 2024」のデモンストレーションを体験できたので、その印象をレポートします。


ソニーホンダのEV「AFEELA プロトタイプ 2024」は運転をゲームのように楽しめる
AFEELA
ソニーホンダのEV「AFEELA プロトタイプ 2024」は運転をゲームのように楽しめる
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 直面した「AFEELA プロトタイプ 2024」のデザインやサイズ感は、昨年に発表されたものとほぼ変化はありません。「ニュートラル」をコンセプトとした、すっきりとしたデザインはそのままで、若干(3cm)ほど全長が伸びた程度です。寸法は、全長4915×全幅1900×全高1460mm。


 日本車としてみれば、大きく感じますが、さらに巨大なピックアップトラックなどが闊歩するアメリカでは、ミディアム・サイズと呼べるようなサイズ感です。セダン市場のど真ん中を狙っていることを感じさせます。


ソニーホンダのEV「AFEELA プロトタイプ 2024」は運転をゲームのように楽しめる
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 目を引くのはサイドミラーがカメラ式ではなく、鏡を使った一般的なものになっているくらいでしょうか。細かな変化としては、昨年前後バンパーにあったディスプレイが、今年はフロントのみになっています。


ソニーホンダのEV「AFEELA プロトタイプ 2024」は運転をゲームのように楽しめる
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ソニーホンダのEV「AFEELA プロトタイプ 2024」は運転をゲームのように楽しめる
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 このフロントバンパー内に収められたディスプレイは「メディアバー」と呼ばれ、文字や色などを表示することができます。人が近づけばセンサーで察知して、「AFEELA」の文字を映し出して歓迎します。バッテリーの残量を表示するなど、人とクルマのコミュニケーションを手助けしてくれるものです。


ソニーホンダのEV「AFEELA プロトタイプ 2024」は運転をゲームのように楽しめる
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ソニーホンダのEV「AFEELA プロトタイプ 2024」は運転をゲームのように楽しめる
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 また、室内のアインビエントライトとあわせ、「メディアバー」を「グランツーリスモ」や「スパイダーマン」などをテーマにしたカラーに変化させることも可能です。

車体本体は、シンプルなデザインであってもディスプレイのカラーで個性を演出するというわけです。


ソニーホンダのEV「AFEELA プロトタイプ 2024」は運転をゲームのように楽しめる
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 フロントガラスの上部にカメラなどのセンサーがあり、さらにルーフの上にはLiDAR(レーザーレーダー)が備えられています。2026年デリバリー予定の量産車では、自動運転レベル3(一定の条件をクリアすると、運転手はハンドルから手を放すだけでなく、周囲の警戒もしなくてよい)を予定するそうです。また、周囲の監視の精度を高めるために、AI技術を利用するとも説明しました。


 ちなみに、AI技術としてはほかにもマイクロソフトと連携して、Microsoft Azure Open AI Serviceを活用した対話型パーソナルエージェントも開発中です。「ハイ○○!」とクルマに声をかけて、カーナビやエアコン操作だけでなく、情報検索など多様なサービスを利用するカーライフになりそうです。


パノラミックスクリーンでエンタメを楽しめる

 室内での注目点は、インパネ全面を覆う巨大な「パノラミックスクリーン」です。この画面を見やすいようにと、上半分がカットされた「Yoke(ヨーク)ステアリング」を採用しています。


ソニーホンダのEV「AFEELA プロトタイプ 2024」は運転をゲームのように楽しめる
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 この巨大な画面をもって、様々な動画サービスを楽しもうというのが、「AFEELA プロトタイプ 2024」の大きな魅力です。デモカーには、ソニーグループのアニメ配信サービス「クランチロール」をはじめ、世界中のラジオ番組を楽しめる「チューインレディオ」、カラオケの「ストリングカラオケ」などの多数のアプリが搭載されていました。


 また、通信機能を使って、自宅にあるプレイステーションとつながり、車内でゲームを楽しむこともできます。こうしたアプリはオープン化されており、ソニーだけでなく社外のクリエイターも開発できるようにするそうです。

プレイステーションに多数のゲーム・アプリがあるように、「AFEELA」にも多数の、そしてユニークなアプリが用意されることが予想できます。


 そうしたコンテンツの魅力をさらに高めるのがソニーの音響技術です。車体だけでなくシートにも複数のスピーカーを配置。身体が包まれるような音響体験が得られます。実際のデモでも、音量はそれほど大きくないのに、しっかりと低音が骨にまで響いたことに驚かされました。「音楽を聴くだけのためにクルマに乗るのもありかな」と思わせる体験でした。


 また、走行シミュレーションでは、パノラミックスクリーンに、前面の映像に方向指示などを重ね合わせるARナビゲーションを体感することができました。しかも、ただのナビだけでなく、そこにゲーム画像を重ね合わせるという提案も。個人的には、実際に走りながら使うのは運転の邪魔に感じますが、モビリティに新しい価値を創造するという面で、「運転をゲームのように楽しむ」というアイデアは秀逸でしょう。


ソニーホンダのEV「AFEELA プロトタイプ 2024」は運転をゲームのように楽しめる
AFEELA
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 ひとつ驚いたのが、デモンストレーションに用意された街中の画像のリアルさです。実写動画を使っていたかと勘違いするほど。おかげでわずかな時間の体験でも、シミュレーション酔いをしてしまいました。

ソニーの持つグラフィック技術の高さを感じさせるものです。実際に「AFEELA」の開発では、グランツーリスモシリーズでおなじみのポリフォニー・デジタルが協力しているそうです。


ソニーホンダのEV「AFEELA プロトタイプ 2024」は運転をゲームのように楽しめる
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 ソニーならではの多彩なコンテンツ、音響技術、映像技術を結集する。それが「AFEELA プロトタイプ 2024」でした。2026年のデリバリーまでに、どれほど進化するのかにも注目です。


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