●「20%」の根拠は景表法から
両社に話しを聞いてみると、返事はいたって短かった。LINE Payの広報担当は、「景表法に沿って決めている」と回答。PayPayの広報担当は、「景表法のガイドラインを守っているため」を答えた。
「景表法」(正式名称「不当景品類及び不当表示防止法」)とは、商品やサービスの品質、内容、価格などを偽って表示することを厳しく規制する法律。過大な景品の提供を防ぐために景品の最高額を制限するなど、消費者が納得して買い物できる環境を守ることを目的としている。
管轄する消費者庁は、「消費者なら、誰もがより良い商品やサービスを求めている。
キャッシュレス決済での「景品」とは、ユーザーに利用を促す手段として、サービス利用時に付与する自社の電子マネーやポイントのこと。サービス利用者にもれなく提供する「総付景品」と、くじや抽選によって景品を提供する「懸賞」に分かれ、「総付景品」の最高額は、「1000円未満の場合は200円、1000円以上の場合は取引価格の20%」という景品法の規定から、各社とも「20%還元キャンペーン」となったわけだ。
一方、「LINE Pay」の「もらえるくじ」や「PayPay」の「やたら当たるくじ」は「一般懸賞」に当たり、景品法では「懸賞による取引価格が5000円未満の場合、取引金額の20倍、5000円以上の場合は10万円、総額は懸賞に係る売上予定総額の2%」と規定されている。
つまり、「PayPay」の第1回「100億円あげちゃうキャンペーン」で、会計金額の全額がPayPay残高で戻る場合に、上限額が10万円だった理由は、一般懸賞の限度額に沿ったからだ。
スマホ決済、特にQRコード決済に参入する事業者が急に増え、サービスが乱立している。オトクなキャンペーンも「多すぎて、どれをどのように使えばいいのかわからない」などと、一般消費者の混乱を招いている。加盟店側でも、オペレーションの煩雑化が進み、負担が増しているという。
乱立した状況が続くと、「キャッシュレスという言葉が一人歩きし、スマホ決済が一時のブームで終わってしまう危険がある」と、LINE Payの長福久弘取締役COOは危惧する。筆者も同意見だ。
危機を回避するには、現在バラバラにサービスを展開している各社が結束する必要がある。
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