●一部の業種や個人経営店で明確な“加盟店数”の差
2018年末にPayPayが実施した100億円還元祭に端を発するキャンペーン合戦だが、ここにきて還元率以外の部分で各サービスの差がみえてきた。分かりやすいところでいえば、加盟店舗数だ。PayPayは1月末時点で加盟店舗数が約191万。au PAYは公表していないため、単純な比較ができないが、キャンペーンによってその差が浮き彫りになってきた。
コンビニや家電量販店、ドラッグストアなどは幅広いスマホ決済サービスに対応している。差が生まれているのは、一部の業種と個人経営店だ。たとえば、書店。PayPayはMARUZENやジュンク堂などの大手書店で対応しているが、au PAYは一部の中小規模の書店に限られている。
スーパーもPayPayが大手チェーンから地域密着の店舗まで日本全国で普及してきているのに対して、au PAYはやはり中小規模の店舗でしか利用できない。個人経営店でPayPayに対応する店舗はよく見かけるようになったが、au PAYとなるとその頻度は落ちる。
そもそもPayPayとau PAYのサービス開始には約半年のタイムラグがある。
●au PAYキャンペーン1週目で生じた逆効果
加盟店数の差はいずれ詰まるだろう。記者がそれ以上に差と感じたのが、キャンペーンによる効果だ。PayPayは100億円還元祭以降はキャンペーンの対象店舗を絞る戦略にシフトした。あるときはドラッグストア限定、あるときはスーパー限定。並行して対象となっている業種の導入店舗を増やし、「ここはPayPayが使えるようになった」という事実をユーザーに認識させた。この戦略は巧みだったように思う。
一方で、au PAYの今回の「誰でも!毎週10億円!もらえるキャンペーン」は高還元率・全店舗対象とユーザーからすれば最高にお得なキャンペーンなのだが、100億円祭並みの効果が得られるかというと少し疑問だ。新規ユーザー獲得が最大の狙いと思われるが、還元総額が10億円に達したら終了で次の週を待たなくてはいけない仕様は新規ユーザーに不親切だ。
予想通り、1週目は即終了となり、火曜日までしかキャンペーンは実施されなかった。
au PAYのキャンペーンはまだ6週残っている。PayPayの戦略をなぞるなら、この期間に加盟店を拡大し、ユーザーに「au PAYはここでも使える」と認知させるはずだ。頭一つ抜け出しているPayPayを射程に捉えるには、まずは加盟店やユーザー数など基礎数値で追いつくのが絶対条件。だが「PayPayではなくau PAYを使いたい」という独自の魅力を伝えられなければ、ユーザーの奪取は難しいだろう。(BCN・大蔵大輔)
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