東急ハンズが2月15日に東京・池袋サンシャインシティで「文具祭り2020 スペシャルイベント」を開催。イベント中には「文房具屋さん大賞2020」の授賞式が行われた。
大賞を受賞したのは、三菱鉛筆の「EMOTT」。SNS時代だからこその工夫と戦略で文房具のプロが選ぶ逸品の中で頂点に立った。

 扶桑社が主催する「文房具屋さん大賞2020」は文房具の目利きである文房具屋さんが審査して選ぶもので、2013年にスタートし、今年で8回目を迎える。今回、審査したアイテム数は約1500点。厳正な審査のもと、大賞・デザイン賞・アイデア賞・機能賞が選ばれた。
 これまでパイロットの「フリクションボール スリム」やゼブラの「デルガード」のような文房具の歴史に名を刻む画期的アイテムが選出されてきた「文房具屋さん大賞2020」の大賞。
今年は三菱鉛筆のカラーペン「EMOTT」がその栄冠に輝いた。
 「EMOTT」の名前の由来は「Emotion」。開発当初から「インスタ映え」をコンセプトにし、手帳やノートを彩るだけでなく、商品そのものが映える“エモさ”にこだわった。
 全40色を用意するが、ユニークなのがパッケージの仕方だ。カラーペンは各色をバランスよくセットにするのが普通だが、キャンディポップカラーやフローラルカラーなど世界観でまとめた5色セットを展開。自己表現したいというユーザーニーズを捉え、SNSを中心に人気が広がった。

 白を基調にしたペン自体のおしゃれさも人気の秘訣。Instagramでは手帳やノートと一緒にペンを写真に入れて投稿されることも多かったようだ。にじみにくい顔料インクや0.4mmの細さでつぶれにくい耐久性の高いペン先など、書き心地のよさも好評を博している。
 このほか、デザイン賞にサクラクレパスのレトロなモチーフが特徴の高級多機能ペン「サクラクラフト ラボ004」、アイデア賞に透明な素材がSNSで話題になったシードの消しゴム「クリアレーダー」、機能賞にカンミ堂のスタンプ式の両面テープ「タップテープ」が選ばれた。
 今年の受賞アイテムに共通していたのは、文房具としてのトータルバランスにすぐれていたことだ。審査はデザイン・機能・アイデアの3項目の評価基準を設けているが、いずれのアイテムもバランスよく各項目で高評価を獲得した。
“SNS映えする”という要素が人気に火を付けていることも共通点にあげられる。かつては“一芸”の文房具が注目を浴びることも多かったが、現在は「道具」としても「おしゃれアイテム」としても特出した“オールラウンダー”が脚光を浴びる傾向にあるようだ。(BCN・大蔵大輔)
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