販売の大部分を占める売れ筋は、NAKAGAMIが販売するSmalyブランドの「電子メモパッド」やキングジムの「Boogie Board」といったメモパッド類。税別の平均単価が1000円から3000円程度の安価な製品群だ。タッチペンを使って画面に書き込み、ボタン一つで書き込みを消すことができる。何回でも繰り返し使えるのが特徴だ。
しかし、安価なものはPCとの接続機能がなく、単純な電子メモだけの製品が多い。販売台数シェアでは、価格の安さでNAKAGAMIがトップを走っていたが、この9月、豊富なラインアップをそろえるキングジムが25.0%のシェアを獲得しトップに躍り出た。上位5社のうち4社は、こういったメモパッドが主力商品だ。
一方、台数シェアで5位の富士通クライアントコンピューティング(FCCL)は異色の存在。「QUADERNO」ブランドで展開するメモパッドの2モデルだけを展開する。A5モデルにおける税別の平均単価は3万台。A4モデルは5万円台もする高機能製品だ。画面に電子ペーパーを採用しているため、消費電力が小さく、3週間程度は充電なしでも使える。
もちろん、PDFファイルなどを使ったPCとの連携も可能。「紙」の使用感を電子的に実現するというコンセプトで作られており、専用のペンによる書き心地も、ペンで紙に書く感触に近い。価格が高いため、販売台数では5位ながら、販売金額シェアで9月は43.0%に拡大。これまでトップを走っていたキングジムを逆転し、堂々1位の座を獲得した。
販売金額で3位のソニーが「デジタルペーパー」、4位のシャープが「電子ノート」という名称で、FCCLと同様の製品を販売し、金額シェアを稼いでいる。いずれも、ディスプレイに電子ペーパーを採用している。一般的な液晶画面と異なり、電源を切っても表示が維持できるという特徴がある。
ただし、書き換え速度は遅く、動画に使えない。表示はモノクロ。スマートフォンやタブレット端末のフルカラーで美しい画面を見慣れた目からすると、どうしても見劣りがしてしまう。メモ用途であれば、実際はモノクロで十分なのだが、どうしても古臭く感じてしまうのは、いかんともし難い。
電子ペーパーは、電子書籍リーダーにも採用されている。小説など、文字だけの書籍を読むにはとても快適だ。炎天下でも視認性は落ちない。しかし、カラー図版や写真を楽しむ雑誌となると、モノクロでは無理だ。
そこで、カラーの電子書籍リーダーが登場し始めている。中国・深センのOnyx Booxが11月に発売する「ONYX BOOX Poke 2 Color」もその一つ。カラーの電子ペーパー「E Ink Kaleido」を搭載するのが最大の特徴だ。
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