個人事業主は、確定申告業務にあたり、手書きで伝票を起こし、帳簿に転記、集計は電卓で手計算、申告書は税務署に出向いて提出するといった手書き・紙ベースのフローが一般的だった。
調査によると、令和3年(2021年)分の確定申告におけるe-Taxの利用意向は39.3%と、令和2年分の確定申告でe-Taxを利用した人に対して、+2.9ポイントの微増にとどまったが、令和元年分と比較すると+9.9ポイントと、わずか3年でe-Tax利用が進んだと分かる。
増加の背景は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための非接触・非対面の推奨や令和2年分からの青色申告特別控除の要件変更があると考えられる。
国税庁は、個人の確定申告を含め、e-Taxの利用を推奨しているが、e-Taxを利用したくないと回答した個人事業主(青色・白色申告者)は、その理由の最多が「紙での提出に慣れているから(49.4%)」で、「ICカードリーダ/ライタを買いたくないから(22.1%)」「税務署/確定申告会場で相談したいから(17.4%)」が続いた。
e-Taxの二つの方式のうち、今後の標準となるマイナンバーカード方式でタブレット端末からe-Tax送信する場合、従来は公的個人認証サービス対応のICカードリーダが必要だったが、21年1月以降、スマートフォン(スマホ)向けアプリ「マイナポータル」対応スマホ(iPhone 7以降など)を保有していればICカードリーダは不要になった。PCの対応ブラウザからe-Tax送信する場合も、22年1月以降、同様にICカードリーダ不要になった。つまりe-Taxの利用を阻害する要因は、慣れている方法から変えたくないことや、直接相談したいというニーズにあると推察される。
また、証憑整理や取引記録を自動取込・自動仕訳をするインプットのデジタル化について、27.6%が利用していると分かった。利用した人の満足度は、「非常に満足」「やや満足」をあわせて9割以上に達し、かなり高い。
弥生では、個人事業主の利便性向上と不安を取り除くため、個人事業主向け情報サイト「確定申告あんしんガイド」などで情報を発信し、全ての個人事業主を支援していく。
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