●前モデルの機能を踏襲しながらさらに使い勝手が向上
コロナ禍が収束した2021年度以降、洗濯機の国内出荷台数は前年割れが続いている。25年度もシャープでは前年割れと予想。だが、乾燥機能による家事の負担軽減や省エネ性能の向上などにより、洗濯機に占める洗濯乾燥機の構成比は年々、増加している。
この洗濯乾燥機ではドラム式洗濯乾燥機が主流だ。24年度の洗濯乾燥機の出荷台数では約88%がドラム式洗濯乾燥機で、25年度は90%を超えるとシャープでは予測している。
新製品はドラム式洗濯乾燥機で、ハイブリッド乾燥NEXTを搭載したES-12X1(以下、12X1)とヒートポンプ乾燥タイプのES-12P1(以下、12P1)の2機種。12X1は25年9月11日発売予定で、価格はオープンだが市場想定価格は37万6000円前後。12P1の発売予定は9月18日で、市場想定価格は33万7000円前後。いずれも洗濯容量は12kg、乾燥容量は6kgである。
12X1は24年発売のES-X12C(以下、前モデル)の後継モデルという位置づけだ。ヒートポンプとサポートヒーターを組み合わせたハイブリッド乾燥NEXTやファンにモモンガの滑空姿勢を応用したネイチャーテクノロジーをはじめ、衣類に高速噴射するマイクロ高圧洗浄、槽内の衣類をほぼ垂直の170度から落としてたたき洗いをする170度たたき洗いなどは前モデルから踏襲されている。
しかし、デザインは大きく変わっている。
また、外形寸法も高さが前モデルより5mm高いが、逆に奥行きは20mm小さくなっている。さらに液体洗剤・柔軟剤自動投入タンクの容量も前モデルは600mLだったが、新製品では950mLと1.5倍以上大きくなり、液体洗剤・柔軟剤補充の頻度を軽減。さらにタンクの底にある液だれ防止用の逆止弁も構造を見直して改善されている。
●タオルの機能性をキープするタオルケアコースを新搭載
12X1では新たにタオルケアコースを搭載している。同社が実施したユーザー調査によると、タオルをほかの衣類と分けて洗濯乾燥しているユーザーは34.8%。3人に1人がタオルのみで洗濯乾燥している。タオル専用コースが必要と回答したのは49.6%で、回答者のほぼ半数がタオル専用コースを欲しているということが分かった。
このタオル専用コースが必要と回答した人に求める効果を聞いたところ、「除菌・消臭効果」が9割を超え、「ふんわりさせる」が5割以上、「(タオルの)機能性を維持」が5割近い結果となった。これらのニーズを反映したのが、タオルケアコースである。
使い始めのタオルは吸水性に優れ、肌触りもふっくらしている。
タオルケアコースは洗いもすすぎも標準コースより多い水量を使って布傷みを抑える。脱水では脱水しながら風を送ってタオルのパイルを整え、乾燥では約50度の低温風かつ大風量で時間をかけて乾燥させる。これらによってパイルの縮みや倒れを抑制し、同時にパイルの捻れも抑える。
つまり、洗濯乾燥を繰り返してもパイルが使い始めの頃と同じような状態でキープされるため、吸水力や肌触りが劣化しないというわけである。
誰しもタオルはふわふわが好みと思いきや、同社ではごわごわな肌触りを好む人は3割程度いるという。そのごわごわ派に向けたコースが「カラッとタオルコース」だ。このコースは洗いから脱水までは標準コースと同等だが、乾燥時の温風を60度に設定して槽を低回転で動かすことによりパイルを立たせすぎないようにする仕組みだ。なお、同コースは12P1には非搭載である。
●COCORO HOME AIは洗濯の悩みごとを生成AIが解決
シャープでは18年発売のドラム式洗濯乾燥機からAIoT機能の「COCORO WASH」を導入し、クラウド上のAIを活用してユーザーフレンドリーでラク家事を提案。19年には各商品カテゴリーで導入していたCOCORO+サービスを「COCORO HOME」に連携し、カテゴリー横断的なAIoT機能に進化させている。
今回の新製品は、同社が培ってきたAIoT技術・データと生成AIを組み合わせた新サービスの「COCORO HOME AI」に対応。
その仕組みは次のとおり。クラウド上のAIが所有している取扱説明書やサポートページに掲載しているQ&A、洗濯にまつわる全般的な情報、ダウンロードコース情報をデータベースとして、ユーザーが質問するとAIがこのデータベースから回答を導き出して質問者に返す。
例えばダウンジャケットを洗濯したいと質問すると洗濯方法や洗濯時の注意点を画面で示し、ダウンロードコースに対応している衣類であれば、ダウンロードコースの送信も提案してくれる。
取扱説明書の中に質問と関連したページや回答となるページがある場合は、該当ページをPDFファイルで提示する。質問者はその場でスマートフォンを操作し、PDFを拡大して確認することもできるため、取扱説明書をめくって調べる手間が不要だ。
なお、ダウンジャケットや浴衣などに特化したダウンロードコースは、スマートフォンに表示されたボタンを押すだけで本体にダウンロードされ、手間のかかる設定などは全くいらない。ダウンロードコースに設定できるコースは一つのみ。前回と異なる衣類コースをダウンロードすると前回のコースに上書きされるが、本体を操作して設定する必要はないのでストレスはない。
このところ洗濯機も含めた白物家電の価格は上昇し、その価格ゆえに購入機種に悩むケースが増えているのではないだろうか。洗濯機の買い替えサイクルは約10年。それだけの期間使用するので、価格で選ぶのではなく、やはり品質や機能に優れた商品を選びたい。
そのような観点で、前モデルからブラッシュアップされた操作性や新機能を搭載したシャープの新製品は、検討する価値がある商品に仕上がっているといえるだろう。
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