タイのエコリゾートで出会ったのは30代で孫を持つ素敵な“おばあちゃん”プロイ・イッサラさん。なぜ彼女はこんなにも素敵なのだろう…。
「自分らしい人生」を歩み続ける彼女からの学びについて、ヨガトラベラー土屋愛が書きました。■世界で一番、若くて素敵なおばあちゃん

みなさん、明けましておめでとうございます! ヨガトラベラーの土屋愛です。新年早々、いきなりですが…みなさんにお聞きしたい事があります。

「自分に合った生き方してますか?」

タイ・チェンマイにあるマラダーラというエコリゾート。そのオーナーであるプロイ・イッサラさんは、なんと39歳にしてもうすぐ3歳になる孫を持つおばあちゃん。

滞在中、彼女が歩んできた人生を聞かせてもらった時に「自分だけの生き方」を見つけるヒントを頂きました。今回はその学びを皆さんとシェアしたいと思います。

タイの田舎で育ったプロイさんは、家業である農業の手伝いをしながら育ちました。果物を収穫して販売する手伝いをし、1日100バーツほど(約360円)の収入を得ながら生活していたそうです。高校に進学するも学校に馴染めず中退、17歳で出産。シングルマザーとして娘を育てる為にバンコクで様々な仕事に就きます。

そして7年前の2012年、10年後に自分がどうなっていたいのかを考え直し、わずかなお金で土地を買い、自分が住む家と食べるお米を作り始める決意をしました。

市街地から車で50分かかる、周りに何も無い土地でした。

砂・粘土・ワラなどの有機素材を用いた地球に優しい「アドベ建築」を学び、少ない作業員と共に、朝から晩まで泥だらけになりながら作業をしたそうです。一つ一つ丁寧に決めたデザインや内装も徐々に形となっていき…建築作業と同時進行で無農薬の米栽培に精を出していたプロイさんの生き方、ビジョンに賛同した出資者も現れ、今のエコリゾート建設に至ったそうです。

でも、一見完璧に見えるマラダーラの建築も、本人曰く「まだ完成していないの」だそう。

■諦める理由を探さない

最初は自分と家族の為だけだった「自然との暮らし」も、今では世界中から年間1,000人以上の滞在者が訪れるようになったマラダーラ。

無農薬のお米はもちろん、果物・きのこ・野菜も自ら育て、自家菜園した30種類以上のハーブと共に調理し、宿泊者に振舞います。

何もなかった更地から大人気のエコリゾートを築き上げた彼女、その原動力の源を尋ねてみると、こんな言葉が返ってきました。

「私には、何の力も無い。最初はただ、自分が食べるお米を作りたかっただけ。だけど、7年前になりたい自分になると決めた。迷ったり、分からなくなった時は『これって本当の私なの?』と問いかける。一人で自然の中に行く。

携帯や家族、友達から一度離れてみる。そしたら、自ずと向かいたい道が見えてくるはずよ」

彼女の言葉は、シンプルだけど私に大きなインパクトを与えてくれました。どんなに強い彼女でも、なりたい自分になる為の最初の一歩を諦める理由は山ほどあったはずだからです。だって…

幼い娘を抱えたシングルマザーだから。

田舎でやっていける保証などないから。

考え出したらキリのない悩み事や恐怖心に負けなかったからこそ訪れた、違う未来。

私たちは、どうしても大きな木を育てる為に種を蒔いてしまいがちです。多くの人は、成功が先に待っていると確信出来なかったら、種すら蒔かないかもしれません。

プロイさんの話を聞きながら、本当の成功への道は、小さな芽を毎日丁寧に手入れする事なのかもしれないと思いました。

■あなたの「好き」はなんですか?

時代が変わり始め、5年・10年前の「成功法」が通用しなくなってきている気がします。例えば、「好きな事で生きていく」という考え方がYouTuberたちを育て、2020年には市場規模が約500億円以上になるとも言われています。

10年前には考えられなかった生き方・仕事のあり方が、今こうして現実的に起こっています。

この流れを活用しない手はないのではないでしょうか?

皆さんの「好き」はなんですか?

プロイさんにとっては、「自然」でした。

私は、「言葉」が好きだという事に気付きました。今までの人生を振り返ってみると、語学留学、レポーターやライター・翻訳家というお仕事、そして、ヨガインストラクターも、全て言葉で繋がっていました。

ずっと行き当たりばったりだと思っていた自分の人生の中に、言葉という共通点を見つけられた事で、初めて漠然としていた「なりたい自分」の方向性を見つけました。

方向性が決まったら、どうやって最初の一歩を踏み出すか。

少ない貯金を握りしめ、10年以上住んだ東京を離れる勇気を私が持てたのは「今の生活を5年続けたらどうなっているか?」を考えたからです。未来ベースではなく、今ベースで未来を考えてみたのです。

「夢は大きく」とはよく言いますが、私は、「無理だったらどうしよう…」と諦めてしまうタイプなので、10年後を踏まえて逆算するのが苦手なのです。この気持ち、共感してもらえる方もいらっしゃるのでは無いでしょうか。

大きすぎる目標を掲げると、今起こっている日常生活とのギャップが大き過ぎて、頑張る意欲が継続できない気がします。なので、今の生活を5年続けたらどういう自分になっているかを考えてみたのです。そして、自分に聞いてみます。

その5年後の自分は、なりたい自分ですか?

■確かな事は「今」しかないという考え方

方向性が決まったのに足踏みしてしまう原因や理由は「過去の経験」と「未来の恐怖」どちらかに当てはまるのではないでしょうか。

私たちの思考は、過去と未来を行ったり来たりするあまり、「今」に留まる事が出来ません。でも、集中すべきは、「今」だと思うのです。過去を変えるには、未来を変えるしかありません。未来を変えるには、今を変えるしか無いはずなのです。

逆境と呼ばれる状況からの挑戦で未来を変えたプロイさん。自分だけの生き方を見つけるという事は、とても難しいように思えてしまいますが、もしかしたら「今」を目一杯生きるというシンプルな事なのかもしれません。

今日は、携帯を家に置いて少しだけ散歩に出てみませんか?

自分の中や自分のまわりにある小さな点達に隠れた共通点を探してみてください。それが、あなたの「好き」なはずです。

そして、その「好き」を大切にできる生き方こそが、あなただけの生き方だと思うのです。

いかがでしたか?

新たな一年を迎える新年という事で、今年こそは違う事に挑戦したいと思ってらっしゃる方に、プロイさんを紹介したくて記事を書かせて頂きました。

それでは、また近いうちにお会いしましょう!

「ナマステ!」

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