「ユダヤ商法に商品はふたつしかない。それは女と口である」この教えを実践したのが、日本マクドナルド創業者の藤田田だ。
学生起業家として輸入業を手がけ、ハンドバッグやダイヤモンドなど女性をターゲットとしたアイテムを取り扱った。そののち、日本マクドナルドを創業。ハンバーガーを日本人の口に押し込み、大成功をおさめた。著書『ユダヤの商法』より、その原理原則をひもとく。■女を狙え
女と口を狙え。日本マクドナルド創業者が実践した「ユダヤの商法...の画像はこちら >>
 

「ユダヤ商法に商品はふたつしかない。それは女と口である」

 私は20年近い貿易商生活の中で、ユダヤ人から何度、この言葉を聞かされたか分からない。ユダヤ人にいわせると、これは『ユダヤ商法4000年の公理』なのだそうだ。しかも『公理であるから証明は不要』なのだという。

 証明の代わりにいささか説明をつければ、こういうことだ。

 ユダヤ人の歴史は、旧約聖書以来。〈『ユダヤの商法』初版発売年である〉昭和47(1972)年は、5732年にあたる。ユダヤ人のカレンダーには、昭和47年という代わりに『5732年』と書いてある。

そのユダヤ5700年の歴史が教えるところでは、男というものは働いて金を稼いでくるものであり、女は男が稼いできた金を使って生活を成り立たせるものである。商法というものは、他人の金を巻き上げることであるから、古今東西を問わず儲けようと思えば、女を攻撃し、女の持っている金を奪え──というのである。これがユダヤ商法の公理であり「女を狙え」というのはユダヤ商法の金言なのである。

 商才が人並み以上備わっていると思う人は、女を狙って商売すれば、必ず成功する。ウソだと思うのなら、試しにやってごらんになるとよい。絶対に儲かる。

 反対に、商売で男から金を巻き上げようと思うと、女を相手にするより10倍以上もむずかしい。というのは、もともと男は金を持たないからである。はっきり言えば、金を消費する権限を持っていないのだ。

 ことほどさように、女性相手の商売はたやすい。

 妖しくきらめくダイヤモンド。豪華なドレス。

指輪、ブローチ、ネックレスなどのアクセサリー。高級ハンドバッグ。

 そうした商品は、そのいずれもがあふれるばかりの利潤をぶらさげて商人を待っているのだ。商売人たるもの、これを避けて通る手はない。襲いかかって、カバン一杯の利潤をむさぼるべきである。

■口を狙え

 女性用品はたやすく儲かるが、これを扱うにはある程度の才能が必要である。商品の選択からセールスまで〝商才〟が必要だ。

 しかし、ユダヤ商法の第二の商品である『口』は、凡人でも、凡人以下の才能しかない人でもできる商売なのだ。『口』──つまり、『口に入れるものを取り扱(う商売』のことである。

 例えば、八百屋、魚屋、酒屋、乾物(かん ぶつ)屋、米屋、菓子屋、くだもの屋が、そうであるし、それらの食品を加工して販売する、料理屋、飲食店、レストラン、バー、キャバレー、クラブのたぐいもそうだ。極言すれば、口に入れるものであれば、毒薬でもかまわない。口に入れるものを扱う商売は、必ずお金が入ってくるし、儲かる商売なのである。

 口に入れるものを取り扱う商売が儲かることは、科学的にも説明できる。

 口に入ったものは、必ず、消化され、排出される。一個50円のアイスクリームも、一枚1000円のビフテキも、数時間後には廃棄物となって脱糞される。つまり、口へ入れられた〝商品〟は、刻々と消費され、数時間後には次の〝商品〟が必要になってくる。売られた商品がその日のうちに消費され、廃棄されていく。こんな商品はほかには存在しない。土曜日も日曜日も、一日の休みもなく稼いでくれるのは銀行預金の利息と、この『口に入れる商品』だけだ。だから、確実に儲かる。

 といっても、口に入れる商品は、女性用品ほど、たやすく儲けることはむずかしい。ユダヤ商法で、女性用品を『第一の商品』とし、口に入れる商品を『第二の商品』としている理由もここにある。

 ユダヤ人につぐ商才を持つ、といわれている華僑に、この第二の商品を扱う人が多い。ユダヤ商人が自らを「華僑より商才がある」としているのは、ユダヤ商人の多くは、第一の商品を取り扱っているからなのである。

■ハンバーガーで日本人を金髪に改造するぞ

 私はハンドバッグやダイヤモンドなどの、第一の商品を取り扱ってきたが、今年から第二の商品にも手を出した。『日本マクドナルド社』という会社を作り、そこの社長に就任したわけだが、この会社はアメリカ最大のハンバーガー・メーカーのマクドナルド社と提携して、日本人にハンバーガーを安く食べさせようという会社である。

 日本人は総体的に蛋白質のとり方が少ない。だから、背は低いし、体力がない。国際的な競争に打ち勝つには、まず、体力から作らなければならない。私がハンバーガーに手を出したのも、日本人の体質を変えようと思ったからでもある。

 日本人が肉とパンとイモのハンバーガーを、これから先、1000年ほど食べ続けるならば、日本人も、色白の金髪人間になるはずだ。私は、ハンバーガーで日本人を金髪に改造するのだ。

 欧米では、ネクタイ一本にしても、金髪で青い眼の人に似合う柄とか、褐色の髪にグレイの眼をした人に似合う柄だとか、髪の色と眼の色に合わせて、似合う柄がデザインされている。

 ところが、日本人は全員、黄色い肌に黒髪黒眼である。となると、似合う色は一色しかない。忠臣蔵の色──浅黄色という、水色。

これしかない。デザインの分野が日本で発達しなかったのも、似合う色が一色しかなかったからだ。

 黄色い肌と黒髪黒眼の日本人は、典型的な一民族一国家である。こんな単純な国をコントロールできないような政治家や財界人では、世界制覇などは、夢物語にすぎない。

 日本人が金髪になる時こそ、日本人が世界に通用する人間になる時だ。日本人が金髪になる日まで、私は、一生懸命にハンバーガーを食べさせる。

『ユダヤの商法』より構成〉

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