イカは、コレステロールを多く含み、睾丸の男性ホルモンのアンドロゲンを作り出すために、きわめて役に立つ食材であることは、すでに説明いたしました。とくに、干したスルメイカは、まるでコレステロールの固まりのように、この成分を多く含んでいるのですが、生のイカにも同じようにたっぷりと含まれています。
生のスルメイカ100グラムには、約250ミリグラムのコレステロールが含まれています。成人男性の一日に必要なコレステロールの量は、約750ミリグラムですから、生のイカを300グラム食べただけでも、この必要量を満たすことができます。
300グラムというと、いかにも多い量に聞こえますが、料理に工夫を加えると、そう難しい摂取量ではありません。イカの食べ方には色々な方法があります。
我々日本人は、このイカとの縁が深く、もっとも好まれる海の幸の一つではないかと思われます。このイカ料理の中で、とくに食欲を誘い、男の精力保持のために役立つ食べ方は、なんといっても刺身です。中でもイカソーメンは、生のイカの味を徹底的に引き出す料理として、極めつけの刺身と言えるかもしれません。
イカソーメンの作り方は、とても簡単です。まず、一杯のイカの足を抜き、身の部分の皮をはがします。
イカの刺身をつくる場合も、まず皮をむいた身の部分を灯に照らして、虫がいるかいないかを確かめ、さらに念のために細かく身の部分を切ることによって、虫を排除することができるのです。
こうして食べると、安全なうえに、なおかつイカの旨みが十分に引き出せるようになります。
とにかくイカソーメンは、文句なしにうまいの一言に尽きます。かつて、札幌に講演に招かれたときに、宿泊したホテルの寿司屋でこのイカソーメンを食べたことがあります。
そのときは、そうめん状に切ったイカを載せた軍艦巻きを出してくれました。
札幌には三日ほど滞在しましたが、夜になるとあの軍艦巻きが忘れられずに、毎晩寿司屋に通ったものでした。
近頃では、東京や横浜の寿司屋でも、このイカソーメンを握りで出してくれるところも増えてきました。私のように、イカの本当のうまさを知っている者にとっては、嬉しい限りです。ともかく、イカには男性の若さを保つ原料となる、コレステロールがたっぷりと含まれていて、なおかつ動脈硬化を防ぐEPAも含まれています。
シニアの声を聞く年になった男性諸君は、このイカソーメンをおおいに口にして、生涯現役を目指してがんばって欲しいものです。