「ザ!世界仰天ニュース」という番組がある。メイン企画のひとつがダイエットで、ビフォーアフターの紹介が人気だ。
12月3日の放送では、プロボウラー・安藤瞳が味わった制限型の拒食(と、その後の過食)経験が語られ、小学校4年の女子が2~3歳児並みの12キロまで痩せたエピソードなどが衝撃をもたらした。が、それとは別の理由で、ネットはざわついたものだ。スタジオゲストのひとりがスレンダー芸能人の代表格・桐谷美玲だったため「美玲ちゃんは拒食症じゃないの?」「コメント動揺してるように見えた」「こんな回に出して大丈夫?」といった声がツイッターで飛び交った。
ちなみに、前出の安藤は38キロまで増量して小学校を卒業したが、そのときの写真でもまだ細い印象だ。一方、桐谷は現在、39キロだといわれる。身長(164センチ)はそのときの安藤より間違いなく10センチ以上高い。
スタジオトークでは、司会の中居正広からダイエット経験をめぐる質問が向けられ「ないでしょ」「ないですね」「あんまり食べない?」「食べます!」というやりとりが。そして「体質?」と振られると、彼女の口からこんな言葉が出たのである。
「そうなんです。わりと、垂れ流し系なんで(笑)」
食べても身につかないことを冗談めかして語ったわけだが、ちょっと気の毒にも感じた。というのも彼女は結婚後、仕事をセーブしていて、テレビ出演は貴重なものになっている。
とはいえ、ここで大真面目に答えるだけだと、嫌味になったりもする。スレンダー芸能人のつらいところだ。
そういえば、同じくスレンダー系の芸能人で、桐谷とも仲のいい河北麻友子はデヴィ夫人にその細さを揶揄されたことがある。一昨年「イッテQ」のロケ企画で「栄養失調の足みたい」「爪楊枝」「ぺチャパイ」などと面と向かって言われ、それが全国に放送されてしまった。
ただし、夫人は河北について「最高の秘書。麻友子ちゃんがいたら誰もいらない」とその機転や手配りを絶賛してもいるので、悪意はないともいえるが、今の世の中では、太った人より痩せた人のほうがその体型をいじられやすかったりする。「デブ」とは言わないほうがいいけど「ガリガリ」なら言っても構わない、みたいなところがあるのだ。
そういう意味でも、彼女たちは意外と大変なのである。
■スレンダー芸能人たちにも悩みはあるさて、話を「仰天ニュース」に戻すと、この回ではもうひとつ、特筆したい場面があった。「ポップティーン」などで活動する17歳のモデル・生見愛瑠がこんな告白をしたのだ。
「まわりのモデルさんが細すぎて、これじゃダメだと思って、ダイエット始めたんですけど、食べちゃダメだと思いすぎて、食べたら吐くみたいな感じになっちゃって」
そのうち、肌の調子がおかしくなったため、このダイエットはやめたそうだが、生見の身長体重は165センチ44.4キロ。
また、今年「激痩せ」で騒がれた代表が若手女優の浜辺美波である。小柄ながらほぼ標準体型だったが、昨年後半から痩せ始め、今年の5月31日には「さんまのまんま」「全力!脱力タイムズ」に出演して、その変化が話題になった。彼女のファンだという明石家さんまが実物を見て「細いし、ちっちゃいねんなぁ」と驚いていたものだ。
何キロ痩せたかは不明ながら、彼女は以前、上半身に比べ脚が太いなどとネットで指摘されていたりした。そのあたりも意識したのか、痩せていった期間には雑誌でこんな発言をしている。
「お腹いっぱいまで食べず、腹6分目くらいで止めておきます。(略)野菜や鶏胸肉をしっかり食べて、炭水化物は基本控えめですね」(「ar」)「目的の駅より一つ手前の駅で降りて歩くのもルーティン。周りからはそんな時間があるなら絶対寝たほうがいいよと言われるんですけどね」(「non-no」)
ただ、ネットで今度は痩せすぎという声も出たせいか、最近は「激痩せ」感がうすれつつある。意識的に体型を戻したのかどうか、ということもやはり不明だが、9月に行なわれたアニメ映画「HELLOWORLD」の舞台あいさつで気になる言葉が飛び出した。ストーリーに絡めて「過去に戻ってしたいこと」をきかれ、こう答えたのだ。
「自分が小学校1年生、2年生のときに戻って、そのときの年齢って、どれくらい脂肪細胞があるかによって、その後の太りやすさが変わるらしいんですよ。
この場面を紹介した「スッキリ」では「太りやすい体質じゃないでしょ」(加藤浩次)「スリムなのに、ねぇ」(山里亮太)といった声が出て、ぽっちゃりキャラの水卜麻美アナは唖然としたように目を丸くしていたものだ。
とはいえ、この気持ち、わかるという人もいるのではないか。浜辺も「じつは大食い」で「小さいクジラがお腹にいるみたい」などと言われるらしい。今の彼女がどんな体型を理想にしているのかはわからないが、少なくとも、食生活ひいては体型をもっと上手くコントロールしたいと考えていることは想像できる。「女優は人生をかけるに値する職業」とまで言い切る19歳にとって、それは一生続く死活問題であり「太りにくい体質」は過去に戻ってでも手に入れたいものなのだ。
とまあ、スレンダー芸能人たちにも悩みはある。また、細すぎることでとやかく言われることに共感できる一般人だって一定数はいるはずで、まして、自分の食生活や体型を上手くコントロールしたいという願望は万人共通のものだろう。
芸能界は必ずしも、世間と隔絶した別世界ではない。そこでは世の女性と同じ悩みを抱える人たちが、葛藤しながら生きているのである。