「受験の神様」にして精神科医の和田秀樹氏が上梓した初めての自伝的小説『灘校物語』(サイゾー)が面白いと評判だ。和田氏の青春の母校である灘校を舞台に主人公ヒデキの七転八倒の物語が描かれている。
ヒデキはとにかく好奇心旺盛で飽きっぽく、過集中という性格。和田氏はみずから、「発達障害人生を送ってきた」としみじみ語る。一方対談相手の「えらいてんちょう」こと矢内東紀氏は、双極性障害のうえ発達障害とのこと。人気Youtuberとして注目を浴びる一方、近刊『「NHKから国民を守る党」の研究』(KKベストセラーズ)では党首の立花孝志を徹底批判し、N国党の躍進を分析。どのメディアもN国党の圧力を恐れ、忖度して批判をしないなか、批判の急先鋒となって注目を浴びた。今日の対談では、「お金を貯めること」「お金を使うこと」の意味について考えていく。■金に汚い「ウソつき」に負けない「金を使える人間」になれ
『金に汚い“ウソつき”に負けない“金を使える人間”になれ』特...の画像はこちら >>

和田秀樹(以下:和田) 「いま、みんな、金というものを信じてるだけでさ。たとえば、ソフトバンクの孫正義さんが自分がいくらカネ持ってるか、1回、下ろして持ってきて、広げて見せてくれりゃ、わかるけどさ。要するに、預金通帳のケタが増えるだけの話じゃない。ちなみに、世の中で、いちばん金がかかる趣味は何でしょうか」

矢内東紀(以下:矢内) 「なんですか?」

和田 「貯金だと思ってるの」

矢内 「ああ、なるほど、なるほど」

和田 「そうするとさ、貯金が趣味になったら、1億持ってようが、1000億持ってようがさ、もう、何にも使えなくなるわけだよ」

矢内 「いい言葉ですね、それは。イスラムには“使ったお金だけが財産だ”という言葉がありますけど」

和田 「だから、残すより、使うほうがいいわけでさ。僕も自慢じゃないけど、映画はともかくとして、ワインだけが唯一の趣味でさ。

たぶん、相当な大金持ちより、いいワインを飲んでるよ。バカだと思いながらさ、100万のワインが手に入った時に、人集めて飲んだりするわけですよ。だから、そういう、ムダなことに金を使うことっていうのが、生きてる証のような気がするわけよ。貯金って、生きてる証にならないからさ」

矢内 「私は全然、趣味がないんですけどね。どうしたらいいんだろうなあ」

和田 「だからさ、アホでもいいから、スーパーカー、買ってみるとかさ」

矢内 「ねえ。前澤社長が、そういうことやってますけど。飛行機買うほどの金はないから」

和田 「みんなが前澤さんを、ボロクソにいったり、ひがんだりするけどさ。稼いだ金は使わないと、というのが、僕の発想だからさ」

矢内 「ホントですよね。まあ、下品か、上品かというと、微妙な気もするけど。最近、僕はね、大学生の家庭教師を雇うことにしたんですよ。中田考先生が、いま、数学を勉強するために、数学科の学生を雇っていて。これにはふたつ意味があって、自分が若い人から勉強を教えてもらって、脳の刺激を受けるというのがひとつと、若い人にお小遣いをあげるという。

お小遣いをあげるのに、ただあげるんじゃなく、名目というか、仕事をしてもらうという。それ、非常にいいなと思って、僕も、経済学部を出てるけど、全然、経済学がわからないから、経済学研究科の学生を雇って、1時間、毎日3000円とかで始めようとしてるんです」

和田 「ああ、いいじゃないですか。そういえば、カースト制のインドで、バラモンの人たちって、みんな貧乏らしいんだよ。それで、タタ財閥の上のほうの人とか、インドのITで起業家になる人って、下のカーストの人が多いらしいのね。でも、インドのすごいところは、バラモンの人って何にもしないで、1日中、哲学書を読んでいたり、数学の問題を解いてるらしいんだよ。そしたらね、バラモン以下の身分の人たちが、みんな、それを尊敬して、いっぱい、食べ物とかを持ってきてくれるらしいんだ。そういう社会って、僕は、すごい素敵だと思っててさ。だから、そのバラモンが金に汚くなったら、もう、世も終わりじゃん」

矢内 「私は、日本の大臣が財産公開とかっていって、小泉進次郎が金にキレイで、みんなと割り勘だとかっていってるのに、“小泉進次郎さんの財産はゼロ円です”とかって聞くと、“んなわけあるか!”って思って」

和田 「政治家の財産公開ほどインチキなものはなくてさ。普通預金は公開しないでいいんだもん。そんな茶番をやってだよ、公開したことにするっていうほうがさ」

矢内 「なんか、ウソつきじゃないですか。単純な話、もっと持ってるわけじゃないですか」

和田 「僕はね、やっぱり、悪いこと、いいことは別として。たとえば、詐欺稼業であろうがね、物事、いいこと、悪いことって、はっきり決められないじゃん。

殺人ですらさ、すごい恨みがあって殺すヤツだっているだろうしさ。でも、ウソっていうのはさ」

矢内 「常によくない。うん。ダブルスタンダードというかね。ウソついてる人って、やっぱり、何も、その、信用なくなっちゃうし」

和田 「そう。それを、ずーっと、やり続けてるわけだよ。でね、我々が小っちゃい頃は、閻魔大王に舌を抜かれるっていわれたのにさ。いまの子どもは、そんなこと聞かされてないみたいなんだよ。そうした時にさ、代々、政治家の家に生まれたヤツっていうのは、親に、この国の人間はみんなアルツハイマーで、3か月たつと、みんな忘れるから、その場をごまかしとけばいいって。僕は、小渕優子の家であれ、安倍晋三総理の家であれ、ずーっと、そうやって習ってきたんだと思うよ。だから、与党の世襲議員の人たちというのは、ウソをつくのが平気なトレーニングを受けてるわけですよ。そういう人に、絶対、勝てないですよ。

我々庶民は」

矢内 「ああ、そうですね。ウソつききったら、もう、忘れちゃうから、実際問題」

和田 「だから、日本人というのはアルツハイマー以下なんだよ。アルツハイマーみたいだっていうと、アルツハイマーに失礼だからさ」

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