そうですね。「日本は直系家族である」ということを学ぶのは、「人間は死ぬべきものだ」ということを認識するのと同様に、動かしようのない事実を知ること。知ってもどうしようもない決定論だ、という人もいるかもしれません。
しかし、それを知ることによって、直系家族的な悪弊に陥りやすい事象から避けることができるのではないでしょうか。会社にしてもなんにしても、日本では組織ができれば必ず直系家族的な思考が支配します。創業社長やカリスマ性のある人がいなくなると、みんな小物になってそうなりやすいですね。
まずは自分の家庭のことを考えてみても、役立つケースは多いと思いますよ。家庭のない人はいないですからね。「私は孤児です」というような人だって、自分は家庭を築かなくてはならなりませんから。
日本における直系家族は院政後期の京都で生まれた日本における直系家族の成り立ちをここで押さえておきましょう。
そもそも日本で直系家族が生まれたのは院政(平安時代末期から鎌倉時代が始まるまで)後期の京都を中心にした西日本。
そのため、北関東は直系の縛りがかえって強いですね。それと比べて日本の南西部は起源的で直系と関係がない核家族が半分ぐらいと考えていい。起源的というか、正しくは「双拠居住型」(夫の親族のもとに住む、妻の親族のもとに住む。いずれかの選択が可能)というべきかな。
まあ、直系家族というのは江戸時代に理念的に成立したものなんですね。徳川幕府はそれまでの核家族的なモノを全部排除して、支配を容易にするために直系家族理念を前面に押し出した。三河や尾張と縁が深い徳川は必ずしも直系家族ではなかったとみられますが、家康は東国武士の理念を支配するためにうまくこれを使うようになった。言ってみれば日本の直系家族は徳川家康が設計したようなものです。
こうしたいま自分たちが生きている国の家族類型、その歴史を知ること。