まず、私がこれまで生活保護世帯を取材してきた中でわかったのは、生活保護は上の代から下の代まで受け継がれ連鎖しているという現実だ。
体感ベースであるが、両親ともに健康体ながら生活保護を受給していた家庭で育った場合、その7割方は自分も大人になったときに生活保護を受給している。
子は親の背中を見て育つ、と言うがまさしくそのとおり。健康体の両親が仕事をしなくても生活ができていたのを目の当たりにしていたからだ。
また、親の方から「働くな」とストップがかかる場合もある。
16歳ぐらいの年頃になってバイトをしようとするとそういった家庭では両親がバイトをするのを止めるようになる。子供がバイトをしてしまうと世帯収入になるため生活保護の額が減ってしまうからだ。
■妊娠・出産を繰り返し…また、生活保護世帯の特徴として子沢山があげられる。私が見た家庭でも、そうだった。中には世帯主から見て娘の子供、つまり孫と自分の子供が同い年という例もあった。某市の担当職員もこう言っていた。
「これは大きな声では言えないんですけど、生活保護をもらっているにも関わらず妊娠・出産を繰り返す方もいます。
私生活がだらしないという傾向も見られる。担当職員も頭を悩ませているようだ。
「結婚と離婚を繰り返している方も多いですね。あとは、少年院あがりが多い印象があります。親が仕事をしないでだらだらとした生活を送っていると子供はぐれるんじゃないでしょか。最近では家賃の未払いも目立つようになっています。不動産業者から家賃だけは優先的に振り込んでくれないかというお願いの電話をもらうこともあるほどです」
■医療制度を悪用また意外と知られていないことだが、生活保護世帯には保険証がない。代わりに医療チケットを渡されて、無料で診療を受けたり、薬を処方してもらえる。
この制度を利用して皮膚科で人気のある「ヒルドイド」や「睡眠薬」などをあちこち病院を回って手に入れた後、転売する強者も存在する。
そうした行為を働く受給者のほとんどは、それを非合法な形で転売をしているものと推察される。
ちなみに、生活保護者が通うことができる病院はたいてい「生活保護指定」の看板を掲げている。
生活保護に関しては、受給者のモラルもそうだが、それをとりまく制度も大きな問題を抱えている。私が一番の問題だと思うのは年金生活者より生活保護を受けている者のほうが、月々の支給額を多く得られるということだ。
年金生活者が2か月に一度、16万円ほどが支給される(納めた年月にもよる)のに対して、生活保護者は月に13万円近く支給されている。
しかも年金生活者は、病院などは実費である。その他にも持ち家であれば固定資産税などもしっかりとその金額から納付しなければならない。
そこら辺の矛盾は早急に解決すべき課題と言えるのではなかろうか。