――つるのさんにとって『ウルトラマンダイナ』(以下『ダイナ』)はどのような作品ですか?
つるの:とても思い入れのある作品であるのは間違いないのですが、僕自身、子どもの頃からウルトラマンの大ファンだったこともあり、実はいまだに自分がウルトラマンだということが信じられない時があって。ヘンな感じなんですよ。『ダイナ』に関しても、いちファンとして外から見ている感覚があります。
でも、一方で『ダイナ』の主人公アスカ・シンを、単なる物語のキャラクターではなく、僕そのものだと感じている自分もいます。境遇も性格もそっくりなので。おかしな言い方かもしれませんが、きっとアスカも「僕はつるの剛士だ」と思っているんじゃないでしょうか。その意味では、僕にとっての『ダイナ』は、僕とアスカの成長記録であり、「実体験」でもあるんです。
『ダイナ』が終わった後も、僕はアスカとともに生きています。僕が年をとれば、アスカも年をとる。僕が成長すれば、アスカも成長する。体形も一緒に変わる(笑)。だから、別の作品でアスカが再登場する際には、その時その時の等身大の自分で臨むようにしています。
それくらい僕はアスカという存在を本当に大切にし続けているんですが、これからもアスカを生かし続けるためには僕が芸能界でがんばっていかないといけない。そう考えると、やっぱり『ダイナ』は僕が何かを表現する上での原点なんだと思います。
■今後の人生もウルトラマンダイナ――ウルトラマンになったことで、私生活に変化はありましたか?
つるの:『ダイナ』放送当時は、それこそチビッ子が僕とまったく同じ髪形にしたり、親御さんから「アスカ隊員からウチの子どもに歯を磨くよう言ってやってください」とか言われたりして、すごい影響力だなと思いました。僕を見つめる子どもたちの目のキラキラ感もすごい。
だから、日常生活でも子ども達の前ではヒーローであり続けなければいけないという自覚が生まれました。子どもの前では絶対にタバコを吸わないし、信号無視なんかもしない。もちろん、警察沙汰や世間に迷惑をかけるような行為なんて絶対にしてはいけない。僕の行動ひとつで、子ども達の夢を壊したくないので。あとは、僕に話しかけに来てくれた子どもに「変身して!」とお願いされたら、どうやって対処しようかも常に考えていました。
そうした意識は『ダイナ』が終了してからも持ち続けていますし、きっと今後も変わらないと思います。ウルトラマンシリーズはこれからもずっと残りますから。