服を収納する方法は2つあります。ハンガーを使って「掛ける」収納と、引き出しなどにしまう「たたむ」収納です。

服は、素材や形状によって「掛ける」か「たたむ」のどちらかに適しています。どちらで収納するか、その選択を誤ると、あまり収納できなかったり、出すときにシワになってしまったり、ということも。今回は「掛ける」と「たたむ」をうまく使い分けて、賢く服を収納する方法を紹介します。

片付けが苦手な人は「掛ける」収納を中心に

 外出から帰って、脱いだ服をソファやいす、ベッドの端などに置きっぱなしにしてしまう人。片付けが苦手な人は、そもそも「元の位置に戻すのが面倒」という人が多いです。この癖は簡単には直せないので、「戻すのが楽になる収納」にするのが一番です。

戻すのが楽なのは……断然掛ける収納です。

 ハンガーに掛けてあるものを取り出し、帰ってきたらまた掛けて戻すだけなので、出しっぱなしにしにくく、服にシワもつきにくい。最近は干すときとクローゼットに掛けるとき、どちらにも使えるハンガーも出ているので、掛ける収納はより快適になっています。

 とても楽な半面、たたむよりは収納量が少なくなるというデメリットもあります。またハンガーパイプいっぱいにギュウギュウに掛けると、取り出しにくくなり、逆に戻すのが面倒になることも。掛ける服は、ハンガーパイプの7割までに抑えるのが理想です。

掛けるルールを決めるだけで戻すのも出すのも楽になる

 掛ける収納をより使いやすくするにはコツがあります。以下の3つのルールを守れば、より使いやすい収納に。

1.掛ける服は長さをそろえる

 トップス→ジャケット→スカート・パンツ→コート、というように、服の長さをそろえて掛けます。こうするとおよその定位置が決まり、出し入れもスムーズに。

2.同じ長さのなかで色をそろえる

 長さごとにそろえたら、そのなかで色ごとにまとめ、薄い色→濃い色になるようグラデーションをつくります(白→ベージュ→水色→紺→黒など)。色ごとにまとめることで、コーディネートする時間も短くなり、似たようなアイテムが多ければ整理することもできます。

3.手持ちの服に合ったハンガーを選ぶ

・木製の厚手ハンガー…ジャケットや厚手のコートなどは、型崩れしないよう厚みがあるしっかりしたものに。必要な数を数えて購入します。

・マワハンガー…つるつるした素材のブラウスや、肩ひものトップスも滑り落ちない特殊なハンガーです。防水性も高いので、シャツなどは洗濯時に掛けて干し、乾いたらそのままクローゼットに戻すこともできます。

 一度定位置が決まれば、服を戻す習慣は自然につきます。さらに掛ける収納を成功させるには、クローゼット下に服を外したハンガーの置き場をつくるのがおすすめです。

10センチの隙間があれば置ける、ファイルボックスを使います。着る服を外したらハンガーをここに入れ、帰ってきたらまたここから出して服を掛けて戻します。こうしておくと戻しやすいだけでなく、バーの中から空いたハンガーを探す手間も省けます。クローゼットもすっきりきれいになるので、一石二鳥です。

たたむ収納は掛ける収納の3割多く収納できる

 掛けるのは楽ですが、すべての服は掛けられません。ニットなど掛けると伸びてしまう服や、下着類など柔らかい服は、やはりたたんで収納する必要があります。

たたむ手間はかかりますが、同じスペースなら、掛けるより3割多く収納することができます。また、たたみ方、しまい方次第ではとてもスムーズに出し入れができるようになります。大事なポイントは以下の3つ。

1.たたむ幅を引き出しに合わせる

 引き出しサイズに合わせて服をたたむと、無駄なスペースがなくなり、きれいな状態でたくさん収納できます。2列に並べるなら引き出しの半分の幅に。高さは引き出しの高さより少し低めにするとぴったり納まります。

2.「わ」を上にして立てて収納する

 必要な一枚だけを取り出せるよう、たたんだ服は「わ」の部分を上にして、立てて収納します。平置きにしてしまうより、立ててしまうほうが収納量は2割アップ。下のほうにある服を探すこともなくなります。

3.仕切りを入れて服を自立させる

 立てて入れると、柔らかい服や枚数が少ない時は、やはりクタっと崩れてしまうことも。そんな時は引き出しのサイズに合ったプラケースや、服の間にブックエンドを入れます。これで服の間に隙間ができても崩れることはなくなります。

 掛けるとたたむ、それぞれの特徴を理解すれば、収納量も取り出しやすさもまったく変わり、快適なクローゼットが完成します。夏は、服も薄く軽いので整理をしやすい季節です。お手持ちの服の収納をリセットしてみませんか?

(文=中山真由美/整理収納アドバイザー、インブルーム取締役)