“加藤の乱”と称され、吉本興業を揺るがす騒ぎを起こした極楽とんぼ加藤浩次が、今月1日付で所属する吉本興業と「専属エージェント契約」を締結し、事実上の残留を選択したと報じられた。

 加藤は7月、自身がMCを務める情報番組『スッキリ』(日本テレビ系)で、大崎洋会長、岡本昭彦社長ら経営陣の退陣を求め、退所する覚悟を表明。

だが両氏と話し合いの場を持った以降はトーンダウンし、8月に吉本が開いたアドバイザリー委員会で提案された専属エージェント契約が自身の発案であり、契約を結ぶ方向であることを明かした。各メディアで「残留」と報じられたが、加藤は再び『スッキリ』でこの表現を否定した。しかし、結果的に加藤が退所しない条件として挙げた経営陣の刷新は行われないまま、加藤は残留を決めた。

 加藤は専属エージェント契約という形態について、「現状の仕事は吉本というエージェントを通して、やる。ほかの仕事はほかのエージェントを通す」と説明しているが、テレビ局関係者はいう。

「加藤は、闇営業問題をきっかけに吉本に反旗をひるがえし、勝手に会社の内情を暴露するような発言をしたことで、退所に追い込まれた宮迫博之と、事実上活動休止中の田村亮に味方して、対吉本の盾になるとみられていました。しかし、2人の今後の処遇がうやむやの状態で、自分だけ“イイ所取り”した感じでイメージは悪いですね。これでイメージダウンしたら、個人で仕事を請け負えるようになっても、仕事の話はこないんじゃないでしょうか。当然テレビ局だって吉本に忖度するでしょうし」

 今回の加藤の決断について、吉本社員は語る。

「吉本のマネージャーはひとりで何組もの芸人を抱えて激務ですが、通常業務に加えて、宮迫の闇営業問題に端を発する一連の騒動にも対応しなければならず、本当にしんどい。そこへきて加藤が火に油を注ぐ発言をして、対応に追われる現場としては、本当に勘弁してほしい。加藤はただ感情的になって、大した考えもなく反射的に上層部批判をしていただけですよね。

はっきり言って、辞めたい芸人はとっとと辞めればいい、というのが多くの社員の本音です。加藤もあれだけ威勢のいいことを言って、社内では“辞める辞める詐欺”などと言われて、評判は最悪ですよ」

個人事務所

 実は専属エージェント契約に近いかたちをとる吉本芸人は、今もいると芸能事務所関係者は明かす。

「引退した島田紳助さんはじめ、宮迫博之を自身の個人事務所で面倒をみようと話をもちかけた明石家さんまのような大物は、みんなそれぞれ個人事務所を持ち、仕事上の細かいやり取りも吉本を通さず個人事務所サイドで行うこともあります」

 また、中堅クラスの吉本芸人のなかにも、同様のスタイルをとっているタレントがいるという。

「たとえば東野幸治は吉本に所属してマネージャーも付いているものの、東野は個人事務所の事業主というかたちで、確定申告などお金回りのことはすべて美容サロンを経営する奥さんがやらなければいけないので大変みたいです。それでも“吉本ブランド”の絶大な力を利用していることに変わりはなく、それを手放さずにタレント活動を続けるというのは賢いやり方ですね」(前出と別のテレビ局関係者)

 加藤の判断が吉と出るか凶と出るか、しばらく目が離せない。

(文=編集部)

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