お笑いコンビチュートリアル」の徳井義実が計約1億2000万円の申告漏れを、東京国税局から指摘されていたことが物議を醸している。

 各社報道によると、徳井は、所属する吉本興業から支払われる出演料などを自身が設立した個人会社「株式会社チューリップ」を通して受け取っていた。

同社は2012年から15年までの4年間で個人旅行や洋服代、アクセサリー代などを会社の経費として計上。東京国税庁はこの経費部分約2000万円を認定せず、仮装隠蔽を伴う所得隠しとした。また16~18年の3年間の所得をまったく申告していなかったため、国税局はこの間の所得約1億円の申告漏れを指摘したという。

 重加算税を含め、追徴税額はあわせて約3400万円だったが、徳井はすでに納税と修正申告を済ませているという。

他の芸能人にも飛び火か

 こうした事態にネット上では徳井に対する厳しい意見があいつでいる。

「これは酷いな…申告無しで納税してない…無茶苦茶だ」(原文ママ、以下同)

「さすがに徳井の件は知らなかったじゃ通らんだろ。会社設立してまで節税しようとしてるのに申告しない意味がわからん」

 一方で、他の芸能人への影響拡大を予想する声も多い。

「徳井さんの件、経費の内容見ると議員とかも引っ掛かりそうな内容で庶民にはわからないけどお金持ちでは結構やってる人多い裏技的な感じなきもする」

 元大阪地検特捜部主任検事の前田恒彦氏はYahoo!ニュースのオーサー報告で、次のようにコメントした。

「個人的な旅行代などを会社経費に付け替えたという点も看過できませんが、特に重要なのは2016年から18年までの3年間、全く収入を申告しておらず、それが約1億円にも上るという点。その理由や経緯、手口などにもよりますが、国税当局が脱税事件として検察に刑事告発しても不思議ではない金額です。重加算税まで課せられており、悪質な仮装隠蔽の事案であることは間違いありません。

 闇営業問題が取り沙汰されたときも、報酬をきちんと税務申告していなかった芸人が数多くいました。

こうした納税逃れは芸能界でも『ありがちな話』では。

 消費税の増税を受け、『税負担公平』の観点から国税当局は脱税事件の摘発に力を入れていくはずです。『一罰百戒』の観点から芸能界がターゲットになる可能性もあり、幅広い税務調査で『飛び火』する芸人が出てくるかもしれませんね」

税理士はついていたのか?

 一連の報道に、政府系金融機関に勤務する公認会計士は次のように話す。

「経費処理が認可されないことは、芸能人のような職種の場合、あり得るのかなとも思います。ひと昔前は、大物俳優とかがアクセサリーなどを個人事務所の経費でごり押しで落としていた話も聞きましたが、最近ではまず通りませんよ。

 なにより問題は3年間分の所得を申告していないことです。個人会社とはいえ、税理士がついていないことは考えられません。脱税事件で、巧妙に所得隠しをする事案はあっても、『まったく収入を申告しない』という話は聞いたことがありません。そもそも税理士と契約していたのでしょうか。

 申告しなかったのは徳井さん個人の意志なのか、契約を結んでいた税理士が職務放棄をしたのか、もしくは税理士との契約がこじれたのか。今回の東京国税局の指摘以前はどんな会計をしていたのか。業界ならではのどんぶり勘定では済まされないのではないでしょうか」

 今回の件について、徳井が所属する吉本興業ホールディングスに見解を問い合わせているが、23日18時時点で回答を得られていない。

今後についてテレビ局関係者はいう。

「現在は徳井と同じ吉本興業に所属する板東英二が、2012年に約7500万円の申告漏れが発覚し、当時レギュラー出演していた全番組が降板・打ち切りとなりました。最近では不倫や反社会勢力への闇営業などが原因でタレントが活動休止においやられるケースが多いですが、所得隠しや申告漏れはれっきとした違法行為です。しかも、今回の徳井のケースは事実上の脱税行為で、かなり悪質な上に金額も巨額。

 どのテレビ局も自社の脱税や申告漏れにナイーブになり、日頃から国税庁の顔色を窺っているだけに、徳井に甘い対応を取るわけにはいかないという事情もある。そのため、ウチも含めて各局は徳井が出演するシーンの放送を自粛する方向だという情報も聞こえてきます。その流れになれば、吉本としても、活動休止という措置を取ることは免れないでしょう」

 吉本興行の「闇営業」問題で、詐欺グループの忘年会に参加したとして謹慎処分を受けた「雨上がり決死隊」の宮迫博之も税務処理の不手際から修正申告したことは記憶に新しい。吉本芸人の金に汚いイメージは当面払しょくできそうにない。

(文=編集部)

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