お笑いコンビ「チュートリアル」の徳井義実が、自身が設立した個人会社の申告漏れ問題を受け活動を自粛する。所属する吉本興業が発表した。
徳井の個人会社「株式会社チューリップ」は、2012年までの3年分、2015年までの3年分を申告せず、それぞれ税務署から指摘を受け3年分まとめて申告をしていたほか、2018年までの3年分も申告せず東京国税庁から税務調査を受けていたという。さらに、2015年までの3年間の税務申告で経費として計上していた旅費・衣服代などの一部、計2000万円が否認されたほか、2009年の法人設立時から現在に至るまで社会保険の加入手続きをしていなかったという。都内の税理士はいう。
「3年間も申告をしないというだけでも驚きですが、それを3度も繰り返すというのは、ちょっと聞いたことがありません。かなり悪質といえ、金額によっては逮捕されてもおかしくない事案です。また、2000万円に上る私的な支出を不正に経費として計上していたというのも、結構すごい。自宅の家賃を事務所の家賃と偽って計上していたのかもしれません。そもそもタレントなどが個人事務所をつくるのは節税目的が大半なので、何度も申告漏れを犯して総額で数百万円単位の加算税を払うなど、本末転倒です。極めてレアなケースであることは間違いありません」
当サイトは、10月24日付記事『徳井義実、申告漏れは“確信犯&常習犯”と判明…活動休止免れず、会見で不可解な点』で、徳井の活動自粛の可能性について報じていたが、今回、改めて同記事を再掲する。
---以下、再掲---
お笑いコンビ「チュートリアル」の徳井義実が設立した個人会社「株式会社チューリップ」が東京国税局の税務調査を受け、2018年までの7年間で計約1億2000万円の所得隠しと申告漏れを指摘された問題。徳井は23日深夜、大阪市内で謝罪会見を開いた。会見で徳井は「このたびは私のだらしなさ、怠慢によりまして、しっかりとした納税をすることができず、ちゃんと税金を納めていらっしゃる国民の皆様方に対して、多大なるご迷惑をおかけして、それから、多大なる不快感を与えてしまったことを本当に申し訳なく思っております」と謝罪。
今回のケースで特に異質なのは、2016~18年の3年間、徳井がまったく申告していなかったという点だ。これに対して徳井は次のように説明した。
「納税の義務はわかっておりまして、税理士さんに『決算の時に申告しないといけませんよ』と連絡がきました。『わかりました、納税の作業やりますね』といいながら、本当に一般の社会人として考えられないようなことなんですけど、本当にだらしないルーズなところがありまして、明日しようとか、今日は時間ないし、銀行行って通帳やなんやとか明日にしようとどんどん先延ばしにしていまして、そこから延び延びになっていって、来年まとめて申告しようとなった。
また申告の時期がきて、税理士さんから『去年も払っていませんし、今年はしっかりやりましょうね』と連絡があって、支払う意思はあるんですけど、想像を絶するだらしなさ、ルーズさによって『やりますやります』というのが1日延び、1週間延び、1カ月延びという状態で3年経ってしまったということです。
税理士さんのほうも、僕からの領収書なりなんなり、資料がないと作業ができないので、その作業を僕が怠っていたので、税理士さんの作業がストップしてしまったということです」
税理士もなすすべなしこうした説明に対し、東京都内の税理士は次のように話す。
「確かに、領収書も帳簿もなく申告を作業しろというのは無理な話です。最低限、領収書や帳簿を渡してくれればなんとか仕上げることもできますが、この話し方では満足に提出していなかったのではないでしょうか。税理士は顧客に対して、領収書や帳簿を強制的に出させる権限はありません。あとはもう該当年に申告できなかったことを踏まえ、過少申告加算税として5~10%の追徴税を払うことを説明し、『今年こそ出してください』とお願いするしかできません。
なぜ、自分でできないのだったら経理担当の社員やアルバイトを雇わなかったのでしょうか。契約している税理士に頼んで、経理事務ができる人を紹介してもらうということもできたでしょう。税理士には広い人脈があります。人件費を気にするのなら、決算時限定の短期アルバイトでも良いはずです。怠惰というより、忙しすぎて精神的に参ってしまっている経営者にありがちな心理状態に見えます。ある意味で徳井さんが心配です」
ルーズだが領収書はしっかり保存?会見によると、徳井の事務所には経理担当者はいなかった。完全に彼1人の個人会社だったという。また経費処理しようとして、所得隠しの指摘を受けた過去4年分の2000万円分の衣装代や旅行費に関する領収書について、徳井は「正直そこも、ルーズな感じになっていました。申告の時期ですよってなって初めて領収書を渡すという状態になっていました」と説明した。
ここでのポイントは、ルーズなのに領収書は紛失していなかったというところだろう。
「本当にだらしない経営者の方ですと、領収書をなくしてしまうこともあります。経費計上できる重要なものの場合、取引先やお店に再発行してもらうこともあります。
また徳井は3年間の無申告に関する国税とのやり取りを次のように説明した。
「3年間、無申告であったことで国税のかたからおしかりをうけまして、遡って調べさせてもらいますということで、調べたところ、その前にも修正したほうがいい部分がありますよということになりました。
本当に情けないのですけど、国税の方にも、そのへんの納税に関する感覚が本当に甘くて、意識が低くてということを正直にお話ししまして、国税局から『だったらうちのほうで適正な税金をちゃんと提示しますので、お支払いください』と言われましたので、その通りに速やかにしました」
極めて悪質だが逮捕はなしこうした発言に都内の公認会計士は次のように指摘する。
「この話ぶりだと、修正申告も国税局に教えてもらってやったという感じを受けます。ガサ入れに来た国税局がそこまでするというのは、ちょっと聞いたことがありません。徳井さんが何度も繰り返しているように、ご自身がルーズな性格だとするなら、帳簿も領収書もしっかり記載したり、保管していたりしたのかな、という疑問も残ります。いずれにしても徳井さんは最も重い措置である重加算税を課せられているので、国税局としては一連の申告漏れを『極めて悪質』と判断したことにほかなりません」
徳井は会見で18年12月に東京国税局から同年までの3年間の無申告などの指摘を受け、事の重大性に気づいたと説明していた。ところがフジテレビは24日、「18年12月より数年前にも2015年までの所得について無申告を指摘され、納税していたことが新たにわかった」と報道。恒常的に徳井が無申告を繰り返していたことが明らかになった。
「つまり納税義務は知っていても、そのルールや期限は守らなくてもいいとずっと思っていたということなのでしょう。確信犯としか思えません。経営者以前に人間としての信用と資質を疑います。
今回の事案での徳井さんの追徴税は約3400万円です。一般に言われる『追徴税1億円』という基準に達しなかったため、運良く逮捕に至らなかったんだろうなと思います」(前出の公認会計士)
一連の展開について、テレビ局関係者は語る。
「そもそも所得隠しや申告漏れは重大な違法行為なだけに、謹慎や活動休止もあり得るという空気でしたが、世論や出演番組のスポンサー企業の反応次第では活動を継続できるかもしれないという一縷の望みがありました。しかし、過去にも国税庁から申告漏れを指摘されて納税していた事実があるにもかかわらず、昨日の会見ではそれを隠し、『もちろん支払う意思はあった』『ごまかす気はなかった』と言っていたことがわかり、完全に信用をなくしてしまった。確信犯的な常習犯といわれても仕方なく、活動休止は免れないでしょう」
結局、会見でわかったことといえば徳井の「怠惰さ」だけだ。だが「何もしないこと」によってルールや法律を破る行為を「怠惰」という言葉で片づけていいのだろうか。そこには「ちょっとくらい法律を破ってもいいだろう」というような未必の故意はなかったのか。いずれにせよ、徳井の所属する吉本興業がこのところ強調しているコンプライアンス遵守の姿勢に逆行しているのは間違いないだろう。
(文=編集部)