11月3日に放送されたNHKの大河ドラマ『いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~』は、冒頭に「10月1日にすべての収録を終了しています。徳井義実さん演じる日本女子バレーボールの大松博文監督を描くシーンについては編集などでできるだけ配慮をして放送いたします」などとテロップが入る、異例の事態となった。
これはもちろん、合計1億3800万円の所得隠しおよび申告漏れが発覚して芸能活動を自粛している、チュートリアル・徳井の問題を受けてのものだ。ドラマの流れを損なわない範囲で再編集したことで、3日放送の第41回は放送時間が通常の43分から42分に短縮された。
徳井が演じているのは、1964年の東京オリンピックで女子バレーボール日本代表監督を務めた大松氏。初登場となった第41回では、再編集されたものの、日紡貝塚女子バレーボールチームの練習シーンで合計4分ほど出演した。安藤サクラが演じる河西昌枝(女子バレーボール日本代表チームの主将)を「ウマ」と呼ぶなど、女子選手に罵声を浴びせながら厳しい指導を続ける“鬼の大松”になりきった徳井の演技には、「顔もそっくりだし、演技もうまくて違和感ない」「意外にハマり役」「超豪華キャストの大河ドラマの中でも馴染んでる」「これは名演。一部がカットされてしまうなんてもったいない……」と称賛の声が相次いでいる。
「放送前は徳井が映ることによる反発も予想されただけに、意外かつ皮肉な反応となりました。この回から、最終章の目玉キャストとして、徳井、安藤、そして浅野忠信(オリンピック担当大臣となる自民党幹事長・川島正次郎役)が登場しています。徳井は普段のソフトな雰囲気を一変させる“ドS監督”っぷりを見せており、このまま終盤まで登場し続ける予定です。前回に限って言えば、セリフの少なかった安藤よりも徳井のほうが目立っており、印象に残った視聴者も少なくなかったのではないでしょうか。
以前から、そのルックスの良さで『役者向き』とも言われていた徳井ですが、今回は演技で評価されたことになります。しかも、国民的ドラマとも言えるNHK大河で名を上げたとなれば箔もつく。
記録的な低視聴率が続いている『いだてん』だが、徳井が出演した第41回は平均視聴率6.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と第40回(7.0%)から0.4ポイントのダウン。一部で期待された視聴率アップにはつながらなかったようだ。
『いだてん』の再編集という対応は、すでにクランクアップしており、再撮影が事実上不可能なための苦肉の策といえる。一方、NHKは徳井について、新たな出演や収録をすべて見合わせることを発表している。これにより、徳井はもうひとつの“おいしいポジション”を失いつつあるという。
「それは“野球大好き芸人”という立場です。徳井は2014年から放送されている野球バラエティ番組『球辞苑』(NHK-BS1)に“編集長”として出演していましたが、12月から始まる今シリーズへの出演は取りやめになりました。野球好きの芸人は多いですが、カープ好きで知られる徳井はファン目線での軽妙なトークに定評があっただけに、このポジションを失うのも痛いでしょうね」(テレビ局関係者)
また、徳井降板の余波はほかにもあるという。
「同番組は本来なら11月から新作がスタートするはずが、徳井の問題で12月に延期されるということですから、NHKには迷惑のかけ通しです。『球辞苑』は毎回、元プロ野球選手の豪華なゲストが話題になり、現役選手も参考にしているというほどのマニアックな内容で根強い支持を得ています。徳井はスタジオでのトークを回す立場のため、露出も一番多い。
一連の問題で徳井が支払う代償は大きなものになりそうだ。
(文=編集部)