全世界で死者数が1万人を突破したと報道されている新型コロナウイルス。WHO(世界保健機関)などの関係機関が予防対策の重要性を訴えるなか、埼玉で強行開催されたK-1の試合が大きな波紋を呼んでいる。

 3月22日にさいたまスーパーアリーナで行われた「K-1 WORLD GP 2020 JAPAN ~K’FESTA.3~」。第3代スーパー・ウェルター級王座決定トーナメントの決勝戦をはじめ、ファンにとっては見逃せないカードが目白押しの大イベントだった。主催者はイベント開催に際して、席数を削減して密集状態を避けたほか、「マスク配布」「常時換気」「チケット半券に連絡先記入」などを徹底し、“最大限の予防策”を講じていると感染症対策を説明し、理解を求めた。

 プロ野球やJリーグだけでなく、多くの学校が卒業式まで中止しているなかで強行された同イベント。幾度も自粛の協力依頼を行ってきたという大野元裕埼玉県知事は22日、自身のSNSへ「誠に残念です」と投稿。苦肉の策として、主催者へ「可能な限りの防疫」を指示して万が一に備えたとコメント。

 高須クリニックの高須克弥氏は、「チケット半券に連絡先を記入」という対策について、「入場者全員に連絡が取れるのですか?」と実効性の薄さを追及。同イベントの強行開催に、「すごく心配してます。何ごともありませんよう」と懸念するツイートを投稿している。

 一方、元大阪市長の橋下徹氏は、イベント強行開催について「K1イベント埼玉アリーナで感染拡大すれば政治の責任」と、責任の所在を指摘。「社会防衛のために止めるなら『命令』の上、正当な補償を」「法があくまでも要請にとどめているのは補償を回避するため」との持論を展開した。

 インターネット上でも、強行開催について「補償はされないのに、(中止した際の負担を)主催者側に押しつけるのはひどいよね」「いつまでかわからないのに、自粛しろなんて無責任」と、同意する声は多い。

 他方、21日には宝塚歌劇団が公演の再開を発表。ファンからは歓喜の声が上がったものの、やはり批判意見が相次いだ。K-1と同じくエンターテインメント業界である宝塚歌劇団の公演決定には、「今じゃないでしょ!」「感染拡大を防げるかどうかの瀬戸際なのに、どういうつもり?」などの厳しい意見が寄せられている。

 ジャパンラグビー・トップリーグの2020年大会の中止や、東京マラソンの一般ランナー参加見合わせなど、国内でも大きな影響を与えている新型コロナウイルス。「世界的な危機だから仕方ない」と理解を示す声から、「ずっと楽しみにしていたから悔しい」という怒りまで、反応はさまざまだ。

 未知のウイルスに対して、どのような行動が“正解”なのかはいまだにハッキリしていない。

だが、できるかぎり一致団結して、最小の被害にとどめたいものだ。

(文=編集部)