NGT48のメンバー山口真帆が、21日に卒業を発表したことが芸能界内外で大きな波紋を呼んでいる。山口は、「アイドルハンター集団」と呼ばれる一味の男から昨年12月に暴行被害を受けた。
この件について、NGTを運営するAKSは第三者委員会を設置して調査を行った結果、メンバーの事件への関与はなかったとし、一部のファンと私的なつながりが疑われるメンバーについても不問とすると発表した。
だが、この調査報告を発表する記者会見の最中に、その様子を見ていた山口がツイッターで「なぜ嘘ばかりつくんでしょうか」とつぶやき、運営側を批判したことから、騒動は拡大した。
被害者である山口を守ろうとしないAKSに対し、世論やファンは厳しい目を向け、芸能界の内部からも批判の声が続出した。そうしたなかAKSは4月11日、NGTについて現行の2チーム体制を解体してひとつにまとめ、再出発すると発表した。だが、目先を変えるだけで問題の解決を図ったとはいえない決定に対し、かえって非難の声は高まった。
このとき、『山口百恵→AKB48ア・イ・ド・ル論』(宝島社)などの著者でアイドル評論家の北川昌弘氏も、「運営側の意図がわからない」と首をかしげた。さらに、山口の処遇について「その山口さんを去らせるようなことがあれば、NGT48は危険な状況になります。運営側は、なんとしても山口さんに残ってもらう努力をしなければなりません。彼女をどう受け止めるかが問われています」と語り、卒業させてはならないとの見解を示していた。
だが、北川氏の提言とは反対に、21日に行われた公演に姿を見せた山口は卒業を発表した。しかもその際、社長から暴行事件について「不起訴になったので事件じゃない」と説明され、さらに「会社を攻撃する加害者とまで言われています」と明かし、運営サイドに対する不信を暴露。
前出の北川氏は、AKBグループ終焉の危機だと警鐘を鳴らす。
「運営が事態の収拾に失敗したという印象で、最悪の事態に近いです。一旦、完全に解散して一から出直しのほうが、まだすっきりします。このままでは、地元の自治体やスポンサー企業も撤退するでしょう。
これで新たなファンが獲得できるのか、さらには新メンバーを募集しても、まともなメンバーが集まるのかは疑問です。
いちローカルアイドルとして地道に活動していくことは可能かもしれないが、悪影響がAKB48グループ全体に波及しかねないという恐れがあります。
2009年から続いてきた『AKB48選抜総選挙』が今年は中止されたこともあり、CDの売上も落ちるでしょう。事件の影響かどうかはわかりませんが『AKB48 SHOW!』(NHK BSプレミアム)も3月で終了しています。年末の『NHK紅白歌合戦』への出場も、黄色信号から赤信号に変わったといえるかもしれません。
平成の終わりとともにAKB48グループの時代も終わる印象です。もっとも、AKB48グループが廃れても、(ライバルグループの)“坂道グループ”の時代が続くのであれば、(総合プロデューサーの)秋元康さんとしては、問題ないのかもしれませんが……。
本当は、指原莉乃がスキャンダルを起こしたときのような、ピンチをチャンスに変える“起死回生の一撃”を繰り出してほしかったです」
多くのメンバーを抱え、それぞれに多くのファンがついているため、運営側は山口をひとり切り捨てたところで、グループ全体に大きな影響はないと判断した可能性もある。だが、ほとぼりが冷めれば人気が回復すると考えるのであれば、それは甘いかもしれない。
(文=編集部)