現在放送中の『ストロベリーナイト・サーガ』に対する賛否両論が渦巻いている。

 累計400万部を誇る小説『姫川玲子シリーズ』(光文社)を原作に、竹内結子主演でスペシャルドラマ『ストロベリーナイト』が生まれたのは2010年のこと。

その後、連続ドラマを経て2013年には映画化され、21億円超の興行成績を記録するなど大ヒットを飛ばした人気タイトルが、二階堂ふみ主演で連続ドラマとしてリメイクされたのは既報の通り。しかし、視聴率は1桁台と低空飛行が続き、「二階堂ふみと亀梨和也じゃすぎる」「姫川シリーズの原作はほかにもあるのに、なぜ同じ話ばかりするのか」などと、SNS上では猛バッシングが吹き荒れているわけだ。

 今回の酷評ぶりを、あるテレビ局のプロデューサーは次のように分析する。

「オリジナルのスペシャルドラマ版で姫川を演じた竹内結子さんと、彼女を慕う部下役の西島秀俊さんがよすぎたんでしょうね。高校時代にレイプされたという暗い過去を持つ姫川玲子の年齢は、原作小説だとアラサ―。当時の竹内さんはちょうど同い年ぐらいでまさに適役でしたが、二階堂さんは現在24歳。どう考えても若すぎます。最初に榮倉奈々さんにオファーしたようですが、彼女は現在31歳。原作ファンの多い作品ですから、年齢設定は合わせたほうがよかったのではないでしょうか。

 また、オリジナル版は西島さんによる、陰ながら姫川を慕う“引きの演技”が好評でしたが、本作で同じ役をやっている亀梨くんは顔や存在感が派手すぎるからなのか、引きの演技が白々しい。そんな亀梨くんがソロで主題歌を歌っているのも、同じく“引き”イメージからはさらにかけ離れていますよね。さらに本来の主演は二階堂さんなのに、“ジャニーズ行政”で二階堂さんと亀梨くんとのダブル主演を謳っているのも、どうかと思います。
すでにオリジナル版で映像化済みの原作を、このミスキャストでリメイクするなんて、そりゃ視聴率も取れないですよ」

小出恵介のゴシップでついた悪印象をロンダリング

 とはいえ今回のリメイク版では、姫川玲子シリーズ第6作の長編小説『ブルーマーダー』が初映像化されることが公式発表されている。原作ファンならずとも、これからの巻き返しに期待したくなるところだが……。

「低迷が続くフジテレビにおいて、『踊る大捜査線』や『ガリレオ』に続く“刑事モノ”をヒットさせるというのは悲願ともいえるミッションなんです。とはいえなかなかいい刑事モノに恵まれず、ゆえに今回のリメイク案が浮上した。しかしここまで不評となると、局内ですら『やらないほうがよかった』という声が上がっているようです。

 また、凄惨な事件がたくさん出てきて、その残虐性をしっかり描くのがこの原作小説の魅力のひとつだと思うのですが、“コンプライアンス”を強く求められる昨今、なかなかそこまでリアルには描けないという制約もあります。どうせなら、キリよく『オリジナルから10年』と謳える来年にすれば、まだよかったのではないでしょうか」(前出のプロデューサー)

 また、低迷が続くフジテレビを象徴するかのような、こんな側面も。ある芸能関係者は次のように明かす。

「オリジナル版は小出恵介が捜査班のひとりとして出演していて、2013年のスペシャル短編では主演も務めています。小出といえば、2017年の未成年との飲酒および不適切な関係を持ったことによる不祥事がありましたが、事務所は実質的にクビ、その後は不起訴処分にもなっているため、厳密には再放送をしても問題はないはず。しかし、今のフジテレビにそれをやる勇気はないでしょう。元所属事務所であるアミューズとの関係もあるし、今のご時世、未成年相手の不祥事を起こしたようなタレントが出演しているドラマを何事もなかったかのように再放送なんてしようもんなら、SNSで炎上しまくりますからね。
ましてや、この作品で小出が刑事役、となればお蔵入り確定ですよね。とはいえ、原作は累計400万部超えの人気小説ですから、このまま眠らせておくのももったいない。今回のリメイクは、小出によってケチがついた人気ドラマシリーズをロンダリングする、という意味合いもあったと思います」

 主演女優が若返ってもフジテレビがどうしてもリメイクしたかった理由――。それは、役者の不祥事によって泥を塗られた「フジテレビが誇る人気刑事モノ」という金看板を、こっそり“浄化”させるためだったのかもしれない。
(文=藤原三星)

●藤原三星(ふじわら・さんせい)
ドラマ評論家・コメンテーター・脚本家・コピーライターなど、エンタメ業界に潜伏すること15年。独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を中心に量産中。<twitter:@samsungfujiwara>

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