神舘盛充(ハイパフォーマンスセンター)
神舘さんは、元は水泳選手であり、早稲田大学大学院を卒業されたと伺っています。
「スポーツ科学研究科を卒業しました。
卒業後、今の仕事に?
「3年半、製薬会社の営業をやっていました。2017年から、ここ『ハイパフォーマンスセンター』で映像分析を行っています。いくつかの競技団体に携わっているのですが、その中の1つがスポーツクライミングですね」
普段の業務内容は?
「代表練習や大会を撮影して、その映像を選手やコーチに提供しています。ボルダーとリードに関しては大会の各ラウンド終了後にも、リクエストされたら選手に直接渡しています。最初は選手たちも私たちをどう使っていいかわからなかったんでしょうけど、今では積極的にリクエストしてくれますね。中には海外選手の競技映像を欲しがる選手もいます。スピードは分析も行っていて、そのデータはコーチに渡しています。映像を資料化することもありますよ」
様々な競技の代表チームを見る中で感じる、スポーツクライミングの異なる点とは?
「練習時間ですかね。海外遠征した時も、現地のジムに午前10時から入って、最後の選手が出るのが夜7~8時頃。もちろんお昼休憩などは挟みますけど、誰かは必ず登っている。練習時間がすごく長いなって。
ボルダリングとリードは、人が設定した毎回異なる課題に挑むという特性もありますよね。
「それもすごく感じています。あまり他の競技ではないんですよね。セッターさんという、競技者じゃない人間が環境要因を作るって。例えばテニスには決められたコートがあるので、残りの環境要因は風や気温だったり、人間ではどうしようもないもの。第三者が成績に大きな影響を与えるのに、きちんと競技が成り立っているのはすごいですよね。選手とセッターさんの信頼関係が大きいのかもしれません」
映像分析という仕事の魅力や楽しさは?
「もともとPCを叩いて数字をパーンって出すのが好きなんです。新しい発見があるとすぐコーチにメールしちゃいます(笑)。
反対に難しさは?
「正解がないことです。他競技全般で言えますが、良かれと思って出したデータが、実は選手にはマイナスになる可能性だってあるんです。提供するデータの量や質のさじ加減も難しい。また、いつ伝えるべきかのタイミングも気を付けるようにしています。選手やコーチのその時の状態やチームの雰囲気を考えるのも大変だったりしますね。いつも映像を欲しいと言ってくる選手も、成績が良くなくて落ち込んでいる時は声掛けを控えようと思いますし。でも、少しは前職の営業経験が活きているんだと思います。
今後の目標を教えてください。
「やっぱり東京2020オリンピックで、クライミングをはじめとした、特に自分が携わっている競技の選手たちが満足のいく結果を出せればいいなと思います。そのために、私たちにできることをこれからもやっていきたいですね」