持ち運びもできるポータブルゲーム機として思い浮かぶのは「Nintendo Switch」でしょうが、よりハイエンドなゲームに特化したゲーム専用機が最近増えています。中でもSteamが配信する豊富なゲームをプレイするために、ゲームに特化した小型PC(UMPC)も登場し、ディスプレイにゲームパッドを取り付けたゲーム機のようなPCが様々なメーカーから発売されています。本家からも「Steam Deck」が登場し、PCゲームも外出先や移動中でも手軽に楽しめるようになっています。ROG Allyも見た目はゲーム機ですが中身はWindows 11が動作するPCです。
ディスプレイは7インチですがゲームパッドが装着されているため、左右に長い形状となっています。
CPUはRyzen Z1 Extremeでメモリ16GBとストレージに512GBを搭載。拡張性も考えられており、独自のXG Mobileインターフェイス、USB Type-C、マイクロSDカードスロット、3.5mmヘッドホン端子などを備えます。内部は冷却性能も向上しており、デュアルファンを搭載するなどゲーム中の本体の発熱をすみやかに抑えられます。
いくつかゲームを楽しみましたが、608gのボディーは両手でしっかり持てる重さですし、十字キーやジョイスティックの動作も快適。
ゲーミングPCとして使いやすいと感じられるROG Allyですが、ゲーム用途だけに使うのはもったいないとも思います。十字キーなどを多用するアプリケーションであれば、タブレットを使うよりもゲームパッドが搭載されているROG Allyのほうが使いすいでしょう。たとえばVRグラスを使わずにメタバースに参加するときなど、ROG Allyのコントローラで空間内の移動や動きを操作できれば便利です。
またWindowsが動くことから、教育関連のアプリを入れて学校などで使うというのも悪くないでしょう。
子供たちも「ゲームも勉強もできるマシン」ならより大切に使うでしょうし愛着も沸くはずです。「学習アプリで一定の成果を出せば、ご褒美推としてゲーム時間を30分開放する」といった管理の仕方もこれからの時代、必要かもしれません。
そしてROG Allyは変換ケーブルを使い外部モニターに表示を出力できます。学校や電車の中ではROG Ally単体で使い、自宅に戻ったら机の上のモニターに接続、さらにキーボードとマウスをつなぐことでPCとしても使えるのです。
本体の持ち運び用の「ROG Ally Travel Case」は移動中の破損を防ぐほか、ケースを開いてROG Allyを立てかけるスタンドにもなります。学校で使うならこのケースに学校名を入れる、などのカスタマイズもあるといいでしょう。
ROG Allyの本体性能は高く、持ち運びができ、コントローラー内蔵で操作も手軽、外部ディスプレイに接続すればPCとして使えます。ゲーミングPCがゲーム用途だけではなく動画編集など高度なグラフィック作業用途に使われているように、ゲーミングPCもこれからは他の用途への応用も広がるかもしれません。
富永彩乃+山根康宏 富永彩乃(とみなが あやの) ITジャーナリスト/自撮り端末研究家。日本や海外各国のIT事情、特に海外の最新スマートフォンやビデオコンテンツサービスに精通。海外展示会の取材も積極的にこなし、現地からライブ配信によるレポートや動画撮影・編集も自身で行っている。スマートフォン複数台を常に使いこなし、TVやメディアへの出演も多数。 山根康宏(やまねやすひろ) 香港在住の携帯電話研究家。海外(特に中国)のスマートフォンや通信事情に精通。