「オリオンビール」といえば、沖縄県内で最大シェアを誇るビールメーカー。2001年からはアサヒビールと業務提携し全国のスーパーやコンビニなどで流通するようになった。
同社では今年2024年から全国に向けて積極的にマーケティング活動を行っていくとのことで、沖縄県以外でも出会える機会がぐんと増えそうだ。そこで、知っているようで意外と知らないオリオンビールについてあらためて見てみよう。

オリオンビールが創業した1957年当時、沖縄はアメリカの統治下にあった。今後の沖縄を支えていく産業として誕生したが、当時は「輸入品は一級品、沖縄県産品は二級品」と言われていた時代。社員は一丸となって300軒もの飲食店がひしめく「桜坂」エリアで1軒ずつオリオンビールを売り込んでいく「ローラー作戦」を実施したという。その結果、オリオンビールの出荷数と人気は沖縄県内でも徐々に伸びていった。


1960年に誕生した瓶の生ビール「オリオン」から1973年にはスチール缶入りに、1977年にはアルミ缶入りになり、その後パッケージデザインなどをくり返しながら今日に至る。2007年には現在のデザインに変更。これは「太陽の赤」「空の青」「海の紺」「ビールのゴールド」がモチーフになっている。

現在、沖縄県内ではなんと5割以上のシェアをもつオリオンビールだが、製造工場は名護市にある東京ドーム1.2個分の工場1カ所のみ。創業当時の1957年から稼働しており、水質や水量などさまざまな面からこの土地が選ばれたという。
○定番「ザ・ドラフト」はのどごしの良さが特徴

ここからはオリオンビールの各定番商品について見ていこう。


まずは長年、沖縄で親しまれてきた主要ブランドの「ザ・ドラフト」。醸造には軟水でビールに適したやんばるの水を使用しており、原料には伊江島産の大麦を使用している。スッキリとしたのどごしの良さと、澄んだ麦のうまみが感じられるのが特徴だ。

○「オリオン ザ・プレミアム」はふわっと香る華やかさ

続いては「オリオン ザ・プレミアム」。2022年10月発売のため比較的新しく、オリオンビールのプレミアムラインとなる。「オリオンビールにしかできないチャレンジをしよう」ということで、沖縄本島にある何千種もの花や草木から自然に自生していたクローバー(シロツメクサ)から理想の酵母を発見し、使用している。
この酵母は、通常の酵母よりも発酵中のもろみに含まれる旨み成分の消費が少ないため、複雑でふくよか、そしてコクはあるのに苦くないビールができるのだ。

これまで「ビールは苦いから苦手」と思っていた消費者からも「飲みやすい」という声が続出しているそうで、苦みを理由にビールを敬遠していた人もぜひ一度飲んでみてほしい。

○個性豊かなクラフトビール「75BEER(ナゴビール)」

続いてはクラフトビール「75BEER(ナゴビール)」は75BEERは2018年10月に「Nago-75-Beer PROJECT」として期間限定商品として開発されたもの。パンチのある苦味と爽やかなホップの香りは特徴が強く、飲むほどクセになると話題に。かなりの反響があり、再販から定番商品へとつながった。

現在は「クラフトラガー」「IPA」を展開。
これまで(2020年~2022年)発売してきたものに「ピルスナータイプ」「ヴァイツェン」「スタウト」「フルーツセゾン」「ペールエール」、期間限定商品として「セゾン(沖縄限定)」「ケルシュスタイル」「PALE ALE」「BROWN ALE(沖縄限定)」「WHITE ALE(新商品/2月14日全国発売)」がある。
○「特別醸造オリオン いちばん桜」で日本一早いお花見を楽しむ

沖縄は気候が温暖なため日本一桜の開花が早く、毎年1月ごろには満開を迎える。そんな冬の人気商品が「特別醸造オリオン いちばん桜」だ。原料には八重岳の桜の花を採取し、原料として使用。ビスケットのような香ばしさが特徴の麦芽「ミュンヘンモルト」も使用することで桜のような華やかな香りと コクのある贅沢な味わいが同居している。

2002年に発売以来、沖縄では年末の贈り物としても人気が高く、お正月に親族が集まる場面で飲まれることも多いという。
沖縄ではお正月におせちやお雑煮ではなく、「中身汁」と呼ばれる豚のモツを使用した汁物が飲まれる。いちばん桜は華やかな香りが強く中身汁とも相性が良いのだとか。
○沖縄ならではの素材を使用したチューハイ

2019年から発売しているのは、沖縄ならではの素材を使用したオリオンビール初のチューハイ「WATTA(ワッタ)」。パイナップル・シークヮーサー・パッションフルーツ・雪塩糖シークヮーサー・無糖シークヮーサー・無糖アセロラの6種類の通年商品に加え、昨年12月からは季節限定のカーブチー(沖縄固有のみかん)も発売している。商品名の「WATTA」は沖縄の方言で「我々の」という意味。親しみやすさを表現している。


このほかこだわりの果物チューハイ「natura(ナチュラ)」(4種+季節限定フレーバー)も2022年発売。果実を絞ったまま加熱濃縮していない「ストレート果汁」を使用しており、果実そのままの風味を味わえるのだとか。

どれも個性豊かで特徴的な味わいがあるオリオンビールの商品。沖縄ファン、オリオンファンならコンプリートしてみたいところ。見かけたらぜひ手にとってみて。

松本果歩 まつもとかほ 恋愛・就職・食レポ記事を数多く執筆し、社長インタビューから芸能取材までジャンル問わず興味の赴くままに執筆するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり、店長を務めた経験あり。Twitter: @KA_HO_MA この著者の記事一覧はこちら