たばこの値上げが続いています。現在、たばこは1箱いくらするのか、たばこの価格のうち、税金はどのくらいを占めるのかなど、たばこの値段にまつわる興味深い事柄をご紹介したいと思います。
また、30年前のたばこの値段と比較して、どのくらいたばこが値上がりしたのか銘柄ごとに比較しているので参考にしてみてください。

たばこの価格の6割以上が税金

2018年から2022年まで、たばこの値上げが続きました。2023年は価格を据え置いた銘柄が多かったものの、2024年度の税制改正で、たばこ税の増税が発表されていることから、今後も値上がりが続くものと思われます。

そもそも、たばこがなぜこんなに値上がりしているのか、その理由として、たばこの価格に占める「たばこ税」が大きく関係しています。

代表的な紙巻きたばこ1箱(20本入り)580円のうち、52.73円は消費税、136.04円がたばこ税(国税)、16.4円がたばこ特別税(国税)、21.4円が道府県たばこ税(地方税)、131.04円が市町村たばこ税(地方税)となっており、たばこ税と消費税を合わせると357.61円になります。たばこの価格に占める負担割合は61.7%となります。
(令和5年4月時点)

約6割が税金というたばこの価格。これには、たばこが食料品などの生活必需品とは異なる特殊な嗜好品であることが、多くの税金を課す理由となっているようです。
現在のたばこの価格

現在のたばこの価格を紹介する前に、たばこの種類について確認しておきましょう。たばこには大きく分けて、昔からある「紙巻きたばこ」と近年登場した「加熱式たばこ」があります。加熱式たばこは、たばこ葉を使用し、たばこ葉を燃焼させず、加熱により発生する蒸気を味わうたばこです。この他にも、次世代たばこと呼ばれる「電子タバコ(タバコ葉を使用しない、液体を電気加熱して発生する蒸気を味わうたばこ)」もありますが、日本国内では「たばこ製品」として販売されているものはありません。
ここでは、「紙巻きたばこ」と「加熱式たばこ」についてみていきます。
<紙巻きたばこ>

<加熱式たばこ>

加熱式たばこは下記商品以外に別売りの加熱式たばこ用デバイスが必要です。

参考までに、加熱式たばこ用デバイスの価格は、Ploom X ADVANCED(プルーム・エックス・アドバンスド) ・スターターキットが1,980 円、with(ウィズ)2・スターターキットが1,980 円などとなっており、この他にカバーやケース、充電スタンドなどのアクセサリー類も購入すると、初期投資として3,000~4,000円程度かかる場合があります。

参照: たばこ JTウェブサイト

20本入りで比較すると加熱式たばこの方が紙巻きたばこよりも若干安くなっていますが、加熱式たばこはその分初期投資が必要になります。一般社団法人日本たばこ協会によると、紙巻たばこと加熱式たばこの販売数量(2023年度 第3四半期累計)は、紙巻たばこが678億本に対し、加熱式たばこは435億本となっています。紙巻たばこの前年比が95.2%に対し、加熱式たばこの前年比は111.8%となっているので差は縮まってきているようです。

30年前のたばこの値段は?

30年前のたばこ(紙巻きたばこ)の価格はどのくらいだったのでしょうか。総務省の「小売物価統計調査(動向編)」から、1994年のたばこの価格をみてみます。

「ホープ」1箱10本入りが120円、「ハイライト」1箱20本入りが220円、「ピース」1箱10本入りが120円、「しんせい」1箱20本入りが130円、「ゴールデンバット」1箱20本入りが90円となっています。
<30年前と現在のたばこの価格比較>

現在も残っている銘柄をみると、30年前に比べて2.5倍ほど値上がりしています。たとえばポープを1日に1箱消費する人がいた場合、1か月のたばこ代は、30年前は3600円でしたが、現在では9000円になります。年間のたばこ代にすると、30年で4万3,200円から10万8,000円になったわけです。
愛煙家には厳しい現状です。
なぜ値上がりし続けるのか

たばこが値上がりし続けている大きな理由は、先述したように、6割以上が税金であることが関係しています。たばこ税などの税収は、概ね2兆円程度で推移しています。これに対し、紙巻きたばこの販売数量は1996年度の3,483億本をピークに年々減少しており、2021年度は937億本となっています。つまり、販売数量が減っている中で、2兆円の税収を維持するためには、1本あたりの税収を上げる必要があるというわけです。このような理由で、たばこが値上がりし続けているのです。


このままいくとたばこ1箱1000円?

たばこ税が上がっていけば、たばこの価格も上げざるを得なくなります。30年前に比べて2.5倍ほど価格が上がっていますが、このままいけば、たばこ1箱1,000円という時代がやってくるのでは? と考えてしまいます。

NUMBEOが発表している国別の価格ランキング(※NUMBEO タバコの国別価格20パック(マルボロ) 2024年3月19日時点を参照)によると、20本入りの紙巻きたばこ「マルボロ」の価格を日本円に換算した価格ランキングでは、1番高いのはオーストラリアで4,308円、2番目ニュージーランド3,457円、3番目アイルランド2,531円と続き、日本の600円は53番目となっています。1,000円超えは21か国あります。世界的にみると、決して日本のたばこの価格が高いわけではないのです。

このような理由からまだまだ税率を上げられると国が判断したら、たばこ1箱1,000円という未来も突拍子もない話ではなくなるでしょう。


石倉博子 いしくらひろこ ファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP認定者)。“お金について無知であることはリスクとなる”という私自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。ブログ「ファイナンシャルプランナーみかりこのお金の勉強をするブログ」も運営中! この著者の記事一覧はこちら