ここ数年の車は、iPhoneの「CarPlay」や「Android Auto」など、スマートフォンをカーナビやディスプレイオーディオに接続して操作できる機能の搭載が主流になりつつあります。

スマートフォンを操作しているかのような操作性の高さと、好みの地図アプリで経路案内が行える点が便利なのですが、筆者が所有している車はあいにく非対応。
経路案内や楽曲の操作はカーナビから直接行う必要があります。

とはいえ、今さら車に搭載されているカーナビのデータをお金を払って更新するくらいなら、スマートフォンを固定できるホルダーを使ってスマートフォンをカーナビ代わりにしたい!と思うのが正直なところです。

スマートフォンを固定しつつ、安定して充電もできるようなアイテムがあれば……と探してみたところ、最近はMagSafe機構を採用したカーチャージャーが増えていることに気付きました。

これであれば理想の車内充電&カーナビ環境が作れるかもしれないと、ESRから発売されている「Made for MagSafe」認証を取得したカーチャージャーを購入してみました。
○USBケーブルや充電器など充実の付属品

ESRの製品サイトによると正式名称は「15W Car Charger with MagSafe + CryoBoost」。名称からも分かるように最大15W出力のMagSafe充電に対応していることが最大の特徴となっています。


カーチャージャー本体のほか、40W USB Type-C電源アダプタとUSB Type-Cケーブルが付属していて、これを購入すればすぐに車内で高速充電ができるようになっています。

車への取り付けは、充電器本体に付属しているクリップパーツを介して、エアコンの吹き出し口(フィン)に固定する形で行います。クリップ下部には滑り止めのステーも備わっているので、重量のあるスマートフォンを接続した場合も充電器が外れることは稀でしょう。

クリップパーツは360度自由に回転する作りになっているので、吹き出し口のフィンが直線型になっているエアコンであればほとんどに取り付けできそうです。

参考までに、筆者が以前まで使っていた同じESR製のMagSafe充電器と並べてみました。

以前まで使っていた画像右の充電器は「MagSafe互換」と呼ばれるタイプ。
MagSafeのマグネット吸着機能が使えますが、Qi2充電に対応していない充電器の場合は最大出力が7.5Wに制限されてしまいます。

一方、今回購入した「15W Car Charger with MagSafe + CryoBoost」の場合、Appleの「Made for MagSafe」認証を取得済み。これによって、Apple純正のMagSafe充電器と同じ最大15Wの出力ができるだけでなく、Appleの厳格なガイドラインに沿った製品として品質が担保されるというわけです。

充電器の背面からはMagSafeの吸着面に向かって冷却ファンが取り付けられていて、最大15W出力の恩恵を最大限まで高めるような作りになっています。

MagSafeなどのワイヤレス充電は充電時に発熱しやすく、熱によって充電速度が低下する場合があるという懸念点があるため、スマートフォン本体の温度を下げつつ充電速度を維持できるのは嬉しいポイントです。
○エアコンの吹き出し口に挟んで固定、すぐに使える

充電器の車への装着は簡単で、充電器本体に取り付けられているクリップをエアコンフィンに挟み込めば完了。
クリップの挟み込む力は強力で、そう簡単に外れることはなさそうでした。

実際に取り付けてみました。充電器本体とクリップとはボールジョイントで繋がっているので、充電器を取り付けた後でも角度の調整は簡単です。

現在使っているiPhone 15 Pro Maxを装着するとこんな感じになります。

クリップパーツにある滑り止めステーのおかげでかなり安定してiPhoneを支えられている印象。走行中の振動や、車が停止している状態でのiPhoneの操作で充電器の角度が変わってしまうことはありませんでした。

○配線や設置方法を工夫して理想系にカスタムしてみた

さて、そんな充電器ですが、筆者が現在所有している車だと「エアコンフィンが縦向きでスイングする」という事情があり、購入したままの状態ではうまく取り付けられません。

そこで思いついたのが、車への取り付けパーツを交換してしまうこと。幸いにもクリップパーツと充電器本体は直径17mmのボールジョイントになっているため、径が合えば付属品以外のパーツに取り替えられるようになっています。

今回はカーナビシステムの前面に取り付けたかったため、これまで車内で使用していたMagSafe充電器に付属していた、吸盤でダッシュボードに固定するアームを流用することにしました。

これならスイングするエアコンに干渉することもないですし、エアコンフィンに取り付けるよりも自由に角度を調節できるようになります。

カーナビの前面に充電器を設置するなら、いっそのこと充電ケーブルの配線にもこだわりたい!ということで、ケーブル周りもいくつか周辺機器を購入して整理することに。


まず充電器自体と接続するケーブルは、コネクタ部分がコンパクトになっていて径も小さいケーブルをチョイス。そこに端子の向きを変換できる「U字アダプタ」と呼ばれるものを接続し、ケーブルが充電器の背面を通るようにしました。

背面を伝わせたケーブルは、車内の邪魔にならないところに貼り付けたクリップを通すようにして、ヒューズボックスから取り出した電源を経由してUSB充電器に接続しています。

こうすることで、充電用のケーブルを極力見えないようにしつつ、見やすい位置にiPhoneを固定して充電できる環境が完成。車内のエアコンもこれまで通り使えるため、かなり使い勝手の良い車内にグレードアップできました。

この環境で2ヶ月ほど車を使っていますが、やはり自分の目に入りやすいところにカーナビゲーションアプリや各種情報を表示しておけるのは便利ですね。


スマートフォン自体もMagSafeによって固定されているため、車本体のカーナビを確認したいとき(バックカメラなど)もすぐに脱着できるのも気に入っています。

肝心の充電速度ですが、これまで使っていたESR製の充電器と比べても倍以上アップしているなと感じます。そもそもの出力が上がっていることもそうですが、熱による充電停止などもなくなったので、充電器本体への冷却ファンの有無が大きく影響していそうです。

Apple公式の「Made for MagSafe」認証取得済みの充電器は数が少なく、カーチャージャーというカテゴリに限っていえば記事公開時点でも2製品しか登場していません(編注:もう1つはBelkinの「BOOST↑CHARGE PRO Wireless Car Charger with MagSafe」)。

今回紹介した「15W Car Charger with MagSafe + CryoBoost」は、ケーブル・USB充電器含め周辺機器も揃っている上に冷却性能も高く、かなり満足度の高いアクセサリーに仕上がっていると感じました。

価格は13,000円前後と充電器にしては少し高価ですが、iPhoneを安全かつ高速に充電したい人にはこの上ない選択肢でしょう。