2021-2022日本カー・オブ・ザ・イヤーを戴冠、2023年の国内販売でコンパクトカー販売台数No.1の「NOTE e-POWER」がマイナーチェンジしたというなら、紹介しないわけにはいきません。今回は、隠れ日産ファンのASCII.jp自動車部“ゆみちぃ部長”とともに、気になる新型NOTE e-POWERをご紹介します。
元の使い勝手の良さはそのままに
フロントフェイスを大幅改良
ゆみちぃ部長の前では「単推し」というか「忠誠」を誓う部員K。今回はゆみちぃ部長のメンバーカラーであるアクアに似た新色「ターコイズ」を選択。さらに「四駆にあらずんばクルマにあらず」という言いつけに従いAWD仕様「X FOUR」をご用意致しました。ターコイズのボディーカラーを見たゆみちぃ部長は「いい色ですね」とご満悦です。
ボディーサイズは全長4045mm、全幅1695mmと、日本の道幅にピッタリな5ナンバーサイズ。全高は1520mmですので、高さ1.55mの立体駐車場にもスンナリ入ります。しかも、アンテナはシャークフィンですから、アンテナがバーに当たってボキッと折れる心配もありません。
ホイールベースは2580mmで、最小回転半径は4.9mと取り回しの良さも魅力的です。ちなみに車両重量は1350kg(FF仕様は1230kg)。実際街乗りをすると、このサイズがストレスフリーで運転できるばかりか、キビキビした走りで、コンパクトカーのお手本といいたくなります。
まずは外観をチェックしましょう。最初に気づくのは、日産自動車が「デジタルVモーション」と呼ぶ、セレナやルークスなどと同じようなフロントフェイスに変わったことでしょう。
ちなみに、有彩色のボディーカラーには同色のカラードグリルを、無彩色のボディーカラーにはダークメタルグレーのグリルになります。「前よりイイ感じになりましたね」というゆみちぃ部長。さらにLEDヘッドランプが全グレード標準装備へ。
16インチホイールカバーも変更。和モダンな印象を与えるデザインです。タイヤサイズは前後とも185/60R16 86H。
ラゲッジはコンパクトカーとしては標準的。開口部の幅は1050mm、開口部の高さも710mmあって、日常的な使い勝手はとてもよいといえそうです。さらに後席を倒せばゴルフバックがラクに入ります。トランクルームにアクセサリーソケットの用意がないのがちょっと残念なのと、取り外したプライバシートレイを収納する場所が車両内にないのが気になりました。
車内は落ち着いたカラー
グローブボックスの容量が拡大
それでは運転席へ。インテリアカラーはブラックとエアリーグレーの2色展開。どちらもファブリックシートです。ゆみちぃ部長は明るい室内色がお好みなので、部員Kはエアリーグレーをチョイス。ですが、彼女はレザーシート派でして……。部員Kは断然ファブリック派。「単推し」であっても、そこは“ゆずれない願い”なのです。
室内の変更点はというと、インストルメントパネルに水引をモチーフにしたデザインを採用。シート地にランダムストライプを施すことで、エクステリアと調和した雰囲気に仕上げています。
助手席側にあるグローブボックスは容量を拡大。収納スペース内部に上下2段と仕切ることで、取扱説明書やティッシュボックスなど、かさばりやすいものがすっきりと収納できるようになりました。
せっかくなので、運転席まわりの他の部分もチェックしましょう。ゆみちぃ部長的にイイと仰っていたのが右手側のドリンクホルダー。
iPhoneもAndroidも接続できる
インフォテインメントシステム
ASCII.jp的にスマホ充電環境は触れざるを得ないところ。ワイヤレス充電器とUSB電源ソケットはオプションとのこと。
またまたASCII.jp的に重要な、スマホとインフォテインメントの親和性について。純正ナビは9インチのワイド画面で、ワイヤレスApple CarPlayに対応しています。画面は光沢ですが、光の加減で見づらいという状況にはなりませんでした。
後席を見ると、前期型とは変更ないようです。Bセグメントのコンパクトカーながら、きちんと座れるあたりが、日本車のよいところ。輸入Bセグメントの場合、頭がつっかえたり、足元が狭かったりします。一方、USB充電端子がないのは残念ポイントです。
パワーユニットは、日産自慢のe-POWER。先代NOTEからe-POWERは始まりました。
「中身は変わったんですか?」と部員Kに尋ねるのは担当編集で会計係の部員S。ゆみちぃ部長も「e-POWERの写真、撮りましたよね? 変わったから撮ったんですよね?」と、素直な質問をぶつけます。
正直申し上げます。変わっていません。「え? 変わってないんですか? 足回りは変わったんですよね?」変わってません。「ということは、フロントとリアバンパーとホイールキャップ、あと内装の助手席側が変わっただけ?」と部員S。ゆみちぃ部長も「変わってないのに、ボンネットを開けてe-POWERの写真を撮ったんですか?」と同調します。「でも部長は過去にAURAの試乗はありましたけれど、NOTEはないでしょ?」とごまかしに成功。それでは試乗へと移りましょう。
変わっていない=変える必要がない
電気の走りはほぼ完成の域かも
走行モードはNOMAL、ECO、SPORTの3種類。そのうちECOとSPORTはワンペダル(e-Pedal)動作になります。
「電気の力でスーっと走りますね」というのがファーストインプレッション。「ワンペダル動作なのですが、ワンペダルらしい急な加減速感がしないのもいいですね」とニッコリです。
欠点として気になったのは、太陽光の角度によって、ダッシュボードがフロントガラスに映り込み、運転がしにくい場面があったこと。これはNOTEに限らず、ライバルのコンパクトカーでも起こりやすい現象で、反射防止のダッシュボードマットを用意した方がいいかもしれません。
「運転席は結構静かで、エンジンが動いているかは、注意をしないとワカラナイですね」というように、国産コンパクトカーの中では最も静かだという印象。ただ、後席に座るとリアモーターの音は結構聞こえるようで、後席の静粛性を求めるならFF仕様を選ぶといいかもしれません。
「乗り心地もよいですし、良いクルマですね」というのが、ゆみちぃ部長の評価。
変わってないとは言うものの
明らかに走りや静粛性が上がった気がする
さて、マイナーチェンジ前のNOTE e-POWERとは内外観の違いだけという話だったのですが、以前NOTE e-POWERを試乗したことがある部員Kからすると「ホントに内外装しか変わっていないのか?」というのが正直な感想。というのも、明らかにワンランク上の「乗り心地」と「静粛性」が得られているのです。
乗り心地という点では、リアの動きがスムースになった印象。タイヤの接地感が高まって「しっとり」という表現がピッタリで「前、こうじゃなかったよなぁ」と頭の中はクエスチョンマークがいっぱい(新型「NOTE e-POWER」はモーターが小型軽量化された走るガジェットだ!)。
さらにエンジンの静粛性が向上しているようにも感じました。最近のエンジンは、コールドスタート時は早く温めるようと景気よく動くのですが、その時の音と振動が明らかに減っているのです。たとえるなら、高価なエンジンオイルを入れ替え、さらに謎の添加剤を入れた直後のような感じ。これまた「前はもっと普通のエンジン車のような音だったよなぁ」と、頭の中はクエスチョンマークがいっぱい。
さらにe-Pedal動作の動きが、よりスムーズで自然なフィールに。ここらへんは、プログラムで何とでもなるような気がするので、予告なき変更がなされたのかなと。
……という事を日産自動車の広報に伝えたところ「本当に内外装しか変更はないですよ。気のせいじゃないですか?」とのこと。となると、生産が進むにつれてデキがよくなったのかなとか、慣らし運転が上手いのかなぁとか。
「いやぁ、コレいいじゃないか。有村架純さんがCMやっているし、次のクルマは……」とプライスリストをみたら258万600円。軽自動車の日産「ルークス」の最上位グレード「ハイウェイスターGターボ アーバンクロム プロパイロットエディション」が224万8400円ですから、価格差は30万円程度。ルークスもよかったけれど、NOTEの方が静かでパワフルだから、30万差だったらコッチだよなぁと価格表を見たら……。
なんとメーカーオプションが65万円分も載っているではありませんか! しかも、よく見るとナビはともかく「アラウンドビューモニター」や「USB電源ソケット」、さらに「プロパイロット」もオプションです。これら欲しい機能を足すと46万2000円というわけで、実質300万円のクルマだったのです。
ともあれ「これは売れるだけのことはあるわ……」と、熟成したでき栄えに脱帽したのでした。
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寺坂ユミ(てらさかゆみ)プロフィール
1月29日愛知県名古屋市生まれ。趣味は映画鑑賞。志倉千代丸と桃井はるこがプロデュースする学院型ガールズ・ボーカルユニット「純情のアフィリア」に10期生として加入。また「カードファイト!! ヴァンガード」の大規模大会におけるアシスタント「VANGIRLS」としても活躍する。こだわりが強く、興味を抱くとのめりこむタイプであることから、当連載でお気に入りの1台を探す予定。