世界が注目したビッグマッチを制していたガルシア。そんな彼の問題が次々と明るみになっている。

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 新たに浮き彫りになった“違反”に王者も怒りの声を上げている。

 去る4月20日(現地時間)に行われた王者デビン・ヘイニー(米国)とのボクシングのWBC世界スーパーライト級タイトルマッチで勝利した挑戦者のライアン・ガルシア(米国)は、ドーピング検査で陽性反応が出ていたと、米スポーツ専門局『ESPN』などが一斉に報じた。

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 前代未聞の展開だ。前日計量でリミット140ポンド(63.50キロ)を3.2ポンド(約1.45キロ)も上回る体重超過を犯していたガルシアは、試合でヘイニーから3度のダウンを奪うなど圧倒。判定(112-112、114-110、115-109)の末に勝利を収めていたが、この度、試合前の時点でドーピングの陽性反応が出ていたことが明らかになった。

 詳報を伝えた『ESPN』のマイク・コッピンジャー記者は、厳格な薬物検査を実施することで知られるVADA(ボランティア・アンチ・ドーピング協会)の文書として、ガルシアがヘイニーから勝利を挙げた日と試合前日に「PEDオスタリン陽性と判定されていた」と報道。

「ガルシアはBサンプルを検査してもらうよう要請できる期間が10日間ある。Aサンプルは19-ノルアンドロステロンも陽性と検査されたが、こっちは未確認だ」と現況を伝えている。

 ガルシアの陽性反応が明るみになって間もなく、公式な見解を発表したヘイニーは「俺たちは少し前に現在の状況について把握した」と切り出し、「ライアンが汚い戦いをし、一度だけでなく二度も陽性反応を示したという事実は、ファンとボクシングの両方を軽んじたことは残念だ」と断言。そして、次のように怒りの胸中を記している。

「俺は常にクリーンな戦いを提唱してきたが、今回の件もその一例だと言える。ライアンは謝罪する義務があると思うが、最近のツイートを見る限り、彼はまだジョークかなんかだと思っているようだ。

 俺たちはファンを楽しませるために命を懸けてプランを立てている。彼がやっていることはボクシングじゃない。これで戦いはまったく違ったものになった。不利な状況にもかかわらず、私は盾を持って戦い、立ち直った。このスポーツでは人が死ぬ。これは冗談で済む問題ではない」

 当のガルシア本人は自身のXで「俺はステロイドを一度も飲んだことがない。

サプリメントもほとんど飲んでいない」とキッパリと否定しているが、果たして事態はどう展開していくのか。いずれにしても、ガルシアの行いによって、先のビッグマッチのイメージが悪くなった感は否めない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]