ドラマ『アンナチュラル』や『MIU404』(いずれもTBS系)などで知られる脚本家・野木亜紀子の新作オリジナルドラマ『連続ドラマW フェンス』(WOWOW)に、JO1のリーダー、與那城奨が出演する。3月19日(日)から放送スタートする本作は、2022年に本土復帰50年を迎え、今も世界最大規模の米軍基地を抱える沖縄の現在を描くエンターテインメント・クライムサスペンスだ。

今回クランクイン!トレンドは、本作で米軍基地従業員の仲本颯太を演じる與那城に、出演にあたり意識したことや沖縄への思い、そして日頃から考える仕事への姿勢などを語ってもらった。(取材・文=於ありさ/写真=小川遼)

■JO1のリーダーと兄役 共通した責任感

ーー今回が連続ドラマ初出演となりますが、沖縄出身の與那城さんが、沖縄を舞台にした作品である本作の出演オファーをもらったときの気持ちを教えてください。

最初、事務所のスタッフから「沖縄を舞台にしたドラマがある」と言われて、ドラマの内容を聞く前に「まじですか! ぜひ出たいです!」と即答したんです。それくらいうれしくて、そこから改めて脚本を読ませていただき、僕が演じる仲本颯太の生い立ちを考えた上で「ぜひお引き受けしたいな」と思い「お願いします」と答えました。

ーー本作の出演に対し、メンバーの皆さんはどのような反応をしていましたか?

今回僕が演じた颯太は、普段の僕とは真逆の存在で、メンバーからは「できるの?」「大丈夫?」と心配されました。だからこそ、完成した作品を見て「できてるじゃん!」って言わせられたら、僕の勝ちだなと思っています(笑)。


ーー與那城さん自身は、脚本を読み込む中で颯太はどんな人物だと感じましたか?

颯太はすごく苦しい立場にいると感じました。家族のことも、働いている米軍基地のことも考えながら生きていかないといけない。自分にとって大切なものの間で板挟みになっているのはつらいだろうなと、僕自身そういう経験をしたことがないからこそ感じました。

ーー颯太はとても責任感が強い人物ですよね。演じる際に意識されたことはありますか?

JO1にいるときもそうなのですが、責任感を持ちすぎると、それに縛られすぎてしまって、できなかったときのダメージが大きくなってしまいます。颯太は長男だし、責任感も強い子ですが、まだ子どもの部分もあるというか、全部を抱え込めるほど器用じゃないし、完璧ではないと感じたんです。
だからこそ、心の中では「もう逃げ出したい」という気持ちもあるのかなと意識しながら演じていました。

ーー與那城さん自身が「責任感を持ちすぎると縛られてしまう」ということに気付いたのは、いつ頃でしょう?

JO1になる前、大学生の時にしていたアルバイトを通して気付きました。一つのところで長く続けていたこともあって、アルバイトの中での地位が上がって、任される仕事が増えていったんです。

でも、長く続けているからといって、全部を完璧にできるわけではなくて、ミスをすることもたくさんありました。そのときに、自分を責めるのではなく「100%できないといけないわけではない」「分からないときは、正直に相談しよう」と割り切ることで、無理せず続けられましたし、一人で抱えすぎないことを意識するようになったんです。無理はよくない!

■あえて余白を残して撮影へ

ーードラマの撮影は地元・沖縄で行われたそうですね。
沖縄出身のキャストの方もたくさん出演されていますが共演してみていかがでしたか?


皆さんの演技から「この作品で沖縄のことを知ってほしい」という芯の強さを感じました。僕は沖縄にいた頃は芸能について全く知らなかったので「同じ沖縄出身で、演技のお仕事をされている方がこんなにいるなんて格好いいな」「うちなーんちゅ(沖縄生まれの人)も頑張っている」と誇らしくなりましたし、パワーをもらいましたね。

ーー撮影までに準備したことはありますか?

まず、セリフに関しては、今まで言ったことがないようなことをポンポン言うので、言い方というか、言い回しをずっと練習しました。あとは、妹の仲本琉那(比嘉奈菜子)に対して兄としてどうあるべきかを想像したり…。正直なことを言うと、準備はそれくらいで、あえて「仲本颯太とは、こういうキャラクターだ」と固めすぎないようにしました。

ーーそれはなぜでしょう。


JO1としてレコーディングするときもそうなんですけど、固めすぎると、そこから抜け出せなくなってしまうんです。ある程度の想像はしていくけど、現場で要求されたものに対して柔軟に対応できるように、余白を残す方が自分には合っているなと。

今回の現場でも、現場の雰囲気や相手の言い回し、監督が求めることに対応できるよう、作りすぎないようにしました。そのおかげで自分が持ってきたものを外したり、オーダーされたことを余白に埋めたりすることができたなと思います。

ーーなるほど。與那城さんは以前より「沖縄のために何かをしたい」と語られていましたが、本作の出演を通して、考えたことはありますか?

19歳で沖縄を出ているので、まだまだ知らないことがあるなと改めて思いました。
例えば「沖縄のおいしいご飯屋さんを教えて」と言われることもあるのですが、実は全然知らないんです(笑)。だから、まずは沖縄のことをもっと知りたいなと思いました。

■今の癒やしは“シュワシュワの入浴剤”

ーー與那城さんはもちろん、現在JO1メンバーの皆さんのドラマ出演が続いています。メンバーの皆さんと演技について話すことはありますか?

悩みを共有するというか「なかなかセリフが入ってこない」というメンバーもいて「難しいよね」と話すことはあります。でも、おのおの出演している作品が違うので、そこに対して僕からアドバイスをしたり、提案をしたりといった余計なことはしないようにしています。

ーー聞くに徹しているのですね。
それは、なぜなのでしょう?


不安に思っていることって自分の中で答えが分かっているというか、聞いてもらって安心したい場合が多いと思っているんです。だから、僕が何かを言ったとしても、おのおのの中に答えがあるんだろうなと思うので、聞くだけにしています。

ーーなるほど。ちなみに今回の出演を経て、今後の活動に還元できそうな学びはありましたか?

まずは、今回の作品を通して、自分の知らない世界があることに気が付けたことが大きな学びになりました。それから、お芝居の経験を通して表現の幅が広がったと思うので、それはJO1の活動の中に還元したいなと。どういう形で還元できるかはまだ分からないですが、メンバーそれぞれの経験がJO1にとってプラスになると僕は信じています。

ーーありがとうございます。最後に多忙な毎日を過ごしている與那城さんが、「これって癒やされるな~」というものを教えてください。

最近は入浴剤にハマっています! 沖縄は暑いので湯船にあまり入ることがなくて、ずっとシャワー派だったので、長風呂するメンバーが理解できなかったんです(笑)。でも、最近、湯船に浸かると「は~」って疲れが取れる感覚が分かってきたんです。特に炭酸系の丸いシュワシュワってなる入浴剤がお気に入りです。しっかり疲れをとって毎日頑張りたいと思います!

【『連続ドラマW フェンス』概要】
放送日時:3月19日(日)から毎週日曜22時00分(全5話) ※WOWOWオンデマンド配信:各月の初回放送終了後、同月放送分を一挙配信
放送局:WOWOW